クリニック経営・開業支援
病院経営支援
公式サイト
トップお役立ちコラム内科開業医の年収は実際どう?平均や手取り徹底解説

内科開業医の年収は実際どう?平均や手取り徹底解説

内科で開業したら年収はどのくらいなのか、勤務医より本当に多いのか気になっていませんか?さらに、開業にはどんな経費やリスクがあるのか、手取りがどれほど残るのかも不安ですよね。
この記事では、内科開業医の平均年収や手取り、勤務医との違い、経費やローン返済、税金などお金に関する情報をまとめています。
  • 内科開業医の平均年収と手取り額
  • 勤務医と開業医の年収や手取りの違い
  • 診療科・地域・クリニック規模ごとの収入差
  • 経営に必要な経費やローン・税金の内訳
  • 年収をアップさせる経営のコツと成功例
  • 経営リスク・廃業の現実
これから開業を考えている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

内科開業医の年収の実態と平均額

内科開業医の年収は「勤務医より大幅に高い」と語られる一方、実際には経営状態や地域性で大きく変動します。
ここでは全国統計から見える平均・中央値、そして年収 1 億円の現実性までを整理し、これから開業を検討する医師が“現実的な上限と下限”を把握できるよう解説します。

内科開業医の平均年収とは

厚生労働省や医師会の調査によると、内科開業医の平均年収は2,000 万〜2,800 万円で推移しています。この額は保険診療中心の売上に自由診療や在宅医療など付加価値サービスを加えた結果得られる最終利益に当たります。
患者数が安定しやすい分、経費管理と立地戦略の巧拙が収入を大きく左右し、経営努力を怠れば勤務医より低くなる可能性もあるため注意が必要です。

内科開業医の年収中央値と分布

中央値は1,600 万〜1,800 万円で、平均よりやや低い値です。分布をみると年収 1,000 万円未満が 1 割、1,000〜2,000 万円が 6 割、2,000〜3,000 万円が 2.5 割、3,000 万円超は 5%前後にとどまります。
都市部は競合過多で振れ幅が大きい一方、地方は患者の囲い込みがしやすく、同規模でも 1,000 万円超の差が出るケースも珍しくありません。平均や中央値だけでなく、こうした“幅”を把握することが事業計画の精度を高めます。

年収1億円は本当に可能?

年収 1 億円を実現するには年間売上 2 億円規模が不可欠で、1 日 100 名超の外来患者を安定確保しつつ、高単価な自由診療や複数医師体制、分院展開などを組み合わせる必要があります。
実際に達成しているクリニックは全体の 1〜2%未満と少数で、経営資金・人材・マーケティングを一体で回せる体制を持つ法人型が中心です。個人経営では年収 3,000〜5,000 万円でも“成功”と評価されるため、過度な目標設定は資金繰り悪化を招く恐れがあります。

実際の年収事例・体験談

地方都市で 1 日 40 名外来の A 医師(50 代男性)は年間売上 6,000 万円で人件費・家賃を抑え、手取り約 2,000 万円を確保しています。
一方、都市部で自由診療を積極導入する B 医師(40 代女性)は年間売上 1 億円超、法人化による節税で手取り 4,000 万円超を実現しています。
共通点は集患力・専門性・経費管理に優れ、IT や SNS を活用して患者との接点を広げていることです。

内科開業医の手取り年収の計算方法

売上が同じでも経費率や税負担が異なれば手取り額は大きく変わります。ここでは診療報酬の構造、経費の内訳、ローン返済、税金控除の順に“お金の流れ”を可視化し、開業資金を回収しながら安定収入を得るための計算思考を身に付けられるよう解説します。

売上から手取りまでの流れ

手取り年収は売上 → 経費 → ローン返済 → 税金・社会保険料の順で差し引くことで確定します。各段階での削減余地やキャッシュアウトの時期を把握しておかないと「黒字なのに資金繰りが苦しい」という状況に陥りがちです。
まずは年間・月間の現金収支表を作り、どの科目が利益を圧迫しているかを把握することが黒字経営への第一歩となります。
  1. 診療報酬(売上)の発生
  2. 経費・支出の差し引き
  3. ローン返済・設備投資の差し引き
  4. 税金・社会保険料の控除
  5. 最終的な手取り年収の確定

診療報酬による収入の構造

保険診療は「診療単価 × 患者数 × 診療日数」で算出されます。たとえば 1 日 40 名 × 単価 8,500 円 × 240 日で年間約 8,160 万円。ここに内視鏡検査・在宅医療・自由診療を加えると一気に売上が伸びますが、設備投資やスタッフ増員が必要になるため粗利と経費のバランスを常に確認する姿勢が欠かせません。

経費・支出の種類と割合

人件費が売上の 20〜30%、医療材料費が 10〜20%を占め、家賃・光熱費・広告費などを合算すると経費率は 40〜60%に達します。固定費の比率が高いと患者数減少時に一気に赤字化するため、人員配置や外注サービスの見直しで“変動費化”することが手取り確保のポイントです。

ローン返済や設備投資

設備資金 7,000 万円を年利 2%・10 年返済と設定すると、年間返済額は約 780 万円。返済が多い初期はキャッシュが枯渇しやすいので、3〜5 年目までに自由診療や専門外来を軌道に乗せ、返済比率を売上の 10%未満に抑える計画が理想です。設備の更新時期も考慮し、長期の資金繰り表を作成しましょう。

税金・社会保険料の負担

個人事業主の場合は所得税 45%・住民税 10%が最高税率となるため、利益が 4,000 万円を超えると手取り圧縮が顕著になります。医療法人化すれば法人税は約 23%に抑えられ、役員報酬を家族へ分散させることで社会保険料も最適化可能です。ただし設立・維持コストがかかるため利益水準と将来計画を総合的に判断することが大切です。

勤務医と内科開業医の年収・手取り比較

勤務医の平均年収は約 1,400〜1,500 万円で、安定した給与所得が魅力です。一方、内科開業医の平均は 2,000〜2,800 万円で高水準ですが、経営失敗時は勤務医より収入が低下するリスクもあります。
ここでは両者のメリット・デメリットを整理し、キャリア選択時に役立つ判断材料を提示します。

年収の増減要因とリスク

開業医の年収は患者数・診療報酬単価・経費率・設備投資・競合状況など複数要因に左右されます。特に診療報酬改定で単価が下がったり、近隣に大型クリニックが開設されたりすると、売上が急減するケースも少なくありません。反面、自由診療や専門外来で単価を上げれば、同じ患者数でも収益は大幅に伸びます。こうした“可変要素”をどう管理するかが安定経営の鍵です。

勤務医から開業医になる際の注意点

開業に踏み切る前に初期投資額の妥当性・資金調達条件・生活費の確保・家族の理解・リスク保険の整備を必ず確認してください。
開業後最初の 1〜2 年は患者数が計画比 7 割以下に留まるケースが多く、赤字スタートでも資金が尽きなければ立て直しは可能です。逆に、資金ショートが起きると黒字化前に廃業リスクが高まるため、運転資金 6 か月分以上を確保するのが望ましいといえます。

診療科や地域、クリニック規模による内科開業医の年収の差

内科は患者層の広さから安定収入が期待できますが、専門分野や立地、設備規模によって年収は数千万円単位で開きます。この章では診療科別ランキングや都市部・地方の具体例、規模拡大のメリットと落とし穴を整理し、自院に最適なポジショニングの考え方を示します。

診療科別の開業医年収ランキング

厚生労働省の医療経済実態調査では、産婦人科や小児科が平均年収 4,000 万円超と上位を占め、眼科・外科・皮膚科が続きます。内科は 2,800 万円前後で中堅ですが、患者数が季節変動しにくく慢性疾患の継続受診も多いため、売上の安定性と長期経営に優れます。
診療科をまたいだ比較では“稼ぎやすさ”だけでなく、投資額や経費率、働き方の自由度も見落とせない指標です。
診療科平均年収(万円)
産婦人科4,892
小児科4,185
眼科3,393
外科2,969
皮膚科2,792
内科2,800

内科以外との比較(外科・小児科など)

外科は手術設備とスタッフ充実が必須で初期投資が大きいぶん、高単価手術による売上拡大が見込めます。ただし高ランニングコストが利益を圧迫しがちで、閑散期には赤字リスクが高まります。
小児科は診療単価が低く少子化の影響を受けやすい一方、ワクチン接種や健診など社会的需要が継続するため平準化収入を確保しやすい特徴があります。
内科は生活習慣病や高齢化で患者数が伸びやすく、自由診療や在宅医療で単価を上げる余地も大きく、最もバランスの取れた“総合点高め”の診療科と言えます。

都市部と地方での年収の違い

都市部は人口が多く広告効果が高いため、集患に成功すれば年収 5,000 万円超も可能です。しかし賃料や人件費が高騰し競合クリニックも多いため、差別化に失敗すると患者数が急減し赤字転落のリスクが高まります。
一方、地方は家賃・人件費が抑えられ競合も少ないことから、患者1人当たりの利益率が高く、平均年収が都市部を 1,000 万円以上上回る調査例もあります。ただし人口減少エリアでは患者維持策として在宅医療や生活習慣病教室など地域密着型サービスを導入する必要があります。

クリニック規模別の収入と費用構造

小規模クリニックはテナント費とスタッフ数を絞ることで経費率を 40%以下に抑え、年収 1,500〜2,000 万円を安定確保できます。反面、設備余力が少なく患者増に対応しづらい点が課題です。大規模クリニックは検査設備や複数医師体制で売上を飛躍的に伸ばせますが、人件費と医療材料費の上昇で経費率が 60%を超えるケースもあり「売上が伸びても手取りが増えない」ジレンマに陥りやすい側面があります。このため、拡大戦略は売上伸長率>経費増加率を確保できるかが判断基準となります。

内科クリニックの経営にかかる主な経費とリスク

「売上は立っているのに現金が残らない」と悩む開業医は少なくありません。
ここからは開業資金の目安、月次経費の内訳、赤字に陥りやすいパターン、倒産リスクを下げる資金管理術を丁寧に解説します。

開業資金と必要な初期投資

内科の開業資金は居抜き物件を活用しても 3,000 万円超、ゼロから新築すると 6,000 万〜8,000 万円が相場です。内装工事や電子カルテ、内視鏡など画像診断機器が高額投資の中心で、金融機関の融資条件は自己資金 20%以上が一般的です。
初期投資を抑えるコツは設備のリース活用や段階導入で、キャッシュフローを守りながら段階的に検査メニューを拡充する戦略が有効です。

毎月のランニングコスト

人件費は売上の 20〜35%を占める最大コストで、給与テーブルの見直しや予約システム導入による省力化で 3〜5%削減できる可能性があります。家賃はテナント型で固定費化しやすく、地方路面店に移行するか郊外型モールを活用すれば 10〜20 万円/月の圧縮効果が期待できます。
医療材料費は共同購入やジェネリック活用で改善できる余地が大きく、総じて原価と固定費の二段管理が黒字維持の鍵となります。

経営リスクと赤字・倒産リスク

経営リスクは患者数減少、診療報酬改定、スタッフ退職、感染症流行など多岐にわたります。特に固定費比率が高い都市部クリニックは売上が 15%落ちるだけで赤字化するケースが多く、リスク分散策として自由診療導入や訪問診療への参入が推奨されます。また、診療報酬のマイナス改定に備えて複数年の損益シミュレーションを行い、資金クッション3か月分をキープすることで倒産リスクを大幅に低減できます。

廃業時の現実と再就職の道

廃業時は残債整理、スタッフ解雇、医療機器売却、患者紹介状の発行など多くの手続きが必要で、平均 300〜500 万円の追加コストが発生すると言われます。再就職ルートとしては病院常勤医、産業医、健診センター勤務が一般的ですが、開業経験を活かし医療コンサルタントや医療ベンチャーの顧問に転身する例も増えています。廃業リスクに備え、資格アップデートや人脈づくりを継続することがキャリアの保険になります。

内科開業医の年収をアップさせる経営ノウハウ

高収益を維持するクリニックは売上拡大と経費削減を両輪で実行し、スタッフ満足度と患者体験を同時に高めています。
ここでは集患・差別化・人材戦略の三本柱を、成功院の事例を交えて解説し、いますぐ取り組めるアクションリストを提示します。

集患戦略・マーケティングの工夫

Googleマップの口コミ返信や SEO ブログ更新で検索露出を高め、LINEや Instagramで検査結果通知や健康情報を発信すると来院ハードルが下がります。
さらに地域の調剤薬局やフィットネスクラブと提携し、生活習慣病セミナーを共催することで紹介患者が増加し、広告費を抑えながら月間新患を 20〜30%伸ばせた実例もあります。デジタルとアナログのハイブリッド戦略が地域密着集患の近道です。

診療内容やサービスの差別化

糖尿病専門外来や睡眠時無呼吸外来などニッチ領域を深耕すると、紹介患者が増え単価向上につながります。自由診療では AGA・美容点滴・高濃度ビタミンC点滴などを導入し、カウンセリングの徹底でリピート率を高めると売上の季節変動を平準化できます。またオンライン診療とキャッシュレス決済を組み合わせると遠隔地患者のフォローが容易になり、在宅医療移行の橋渡しにも有効です。

スタッフマネジメントと人件費の最適化

定着率を高めるには月次面談で目標共有し、資格手当や外部研修費補助でキャリアパスを可視化することが効果的です。また予約システム連携型の自動精算機を導入すれば会計業務が 30%短縮され、受付スタッフ1名分の人件費を削減しながら待ち時間も短縮できます。モチベーションと業務効率の両立が生産性向上のカギです。

まとめ

内科開業医の平均年収は2,000〜2,800 万円で、経営改善次第では勤務医の2倍近い手取りも狙えます。しかし患者数減少や経費増大で収入が激減するリスクもあり、資金繰り管理・差別化戦略・人材投資の3つをバランス良く強化する必要があります。
集患力を高め自由診療を組み合わせ、法人化や節税策で手取りを最適化すれば年収 3,000 万円超も十分に達成可能です。開業準備と継続的な経営改善で、理想の医療提供と安定した高収入を両立させましょう。
ニューハンプシャーMCでは、医療に特化したコンサルティングサービスを提供しております。
開業や継承、集患に悩んでいる方は、ニューハンプシャーMCにご相談ください。
オンラインでの無料相談も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら

この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 廣野和也

株式会社ニューハンプシャーMC 
主任コンサルタント 廣野和也

大学卒業後、複数の職務を経験し、株式会社ニューハンプシャーMCに入職。
これまで、数十件のクリニック開業を支援し、経営難による閉院ゼロという成果を築く。

関連記事

2025.06.20

病院経営で大切なことは?黒字化を実現する施策・ポイントを解説

2025.06.20

医院継承の相場は?譲渡対価や仲介手数料などについて解説

2025.06.20

病院が潰れる際の前兆は?潰れる原因や共通する特徴・対策を解説

2025.06.20

クリニック開業の資金はいくら必要?自己資金・費用内訳や目安を解説

2025.06.20

電子カルテの保存期間は何年?運用や法律をわかりやすく解説

New

新着記事はこちら

Share on