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医院(クリニック)の継承に必要な手続きは?流れや費用・注意点を解説

コラム

2024.12.15

クリニックや医院(クリニック)の継承を考えている方にとって、必要な手続きやその流れが気になるという方は少なくないと思います。
今回の記事では医院(クリニック)の継承に関する手続きなどについて解説します。
今回解説していく主な内容は以下の通りです。

  • 医院継承の概要(親子間での継承 / 第三者への継承)
  • 医院継承の流れ
  • 医院継承のメリット
  • 医院継承のデメリット
  • 医院継承の費用相場
医院継承を考えている方は是非、参考にしてください。

医院(クリニック)継承の全体概要

医院(クリニック)の継承は、既に開業している医院を引き継ぎ運営することです。
医院の継承は主に「親子間での継承」と「第三者への継承」があります。
まずは、それぞれの継承について解説していきます。

親子間での継承

親子間での継承は、家族経営のクリニックにおいて一般的な方法です。この方法では、親から子へと医院の経営がスムーズに引き継がれることが期待されます。親子間でのクリニック継承は、事業の見通しが立てやすいという利点があります。
既存のクリニックの患者や設備、スタッフを引き継ぐことで、新規開業に比べてリスクを抑えることが可能です。また、親子間の継承においては、親の経験や知識が子に直接的に伝わるため、医院運営の連続性が保たれやすいです。
しかし、親と子の間で見解の相違がある場合は、事前にしっかりと話し合いを行い、合意形成を図ることが大切です。

第三者への継承

第三者への継承は、外部の医師や経営者が医院を引き継ぐケースを指します。この方法では、新たな視点を医院経営に取り入れることが可能ですが、患者やスタッフの信頼を新たに築く必要があります。
第三者への継承を成功させるためには、適切な候補者の選定が非常に重要です。候補者が持つ経験やスキル、さらには医院の現状との相性を考慮し、最適な人材を選ぶ必要があります。
また、継承までの流れは透明性を持たせ、関係者全員が情報を共有できる環境を整えることが望ましいです。これにより、スムーズな移行期間を確保し、患者やスタッフの不安を最小限に抑えることができます。

医院(クリニック)継承の流れ

継承の流れは複雑であり、多くの段階を含んでいます。
ここからは、継承における各ステップを具体的に解説していきます。

医院継承の専門家への相談

医院継承の初期段階で行うべきは、経験豊富な専門家への相談です。
継承先の医院を自身で見つけるのは時間・手間がかかる上、難しいです。
専門家は医院の複数の医院の情報を持っている事が多く、条件に合った医院を紹介してもらえる可能性が高まります。また、適切なアドバイスを得ることで、継承の計画が明確になります。

秘密保持契約書及び仲介契約書の締結

専門家に相談後、秘密保持契約や仲介契約の締結が必要です。
秘密保持契約書は個人情報や、継承医院の交渉の中で知り得た情報を第三者へ開示しないというのを定めた契約になります。

医院継承の継候補先を選定

継承候補の選定は、医院の将来に直接影響を与える重要なステップです。基本的に希望地などがある場合は、専門家から条件に合った医院を紹介してもらえますが、その際、医院名・所在地などの詳細はわかりません。
詳細を知りたい際は、継承者の名前や勤務先の情報を継承元に伝えた上で、詳細情報を開示する承諾を取る必要があります。
この流れをネームクリアと呼び、ネームクリアは複数の医院に同時におこなうことが可能です。

医院継承の内見(院長先生との面談)

選定した医院の中から興味がある医院へ実際に訪問し、現院長との対話を通じて、医院の運営実態や設備状況を把握します。
実際に自身の目で内装や医療機器・設備などを確認しておく事が大切です。

医院継承先の決定

全ての情報と評価を基にして、最終的な継承先を選定します。この決定は、将来の医院運営に大きな影響を与えるため、慎重におこないましょう。

継承先との条件調整・基本合意書の作成・締結

継承先との間で条件を調整し、基本合意書を作成し締結します。基本合意書には、継承の条件や費用、スケジュールなどの他に、契約内容に違反があった際の対応方法などが含まれます。
また、基本合意書は双方の合意した内容が記載された書面で、内容を証する書面のため、法的拘束力はありません。

買収監査を実施

基本合意書締結後に、医院の財務状況や法的問題がないかを確認するための監査が実施されます。これを買収監査といいます。
これにより、隠れたリスクを事前に把握することができます。
個人経営の医院や規模が小さい医院の場合、買収監査が省略されることもあります。

最終譲渡契約書の締結

買収監査後に調整が必要な場合は調整を経て、最終譲渡契約書に署名します。その後、最終譲渡契約書の内容に沿って継承を実行し、支払いを行い継承が完了となります。

各期間への届出

継承完了後は、関連する行政機関への届出が必要です。
保健所に診察所開設届を提出し、保健所の検査を通過する必要があります。
また、保険診療を行う際は、厚生労働省所管の地方厚生局に保険診療医療機関の指定申請を行う必要があります。

医院(クリニック)継承のメリット

ここからは医院継承することでのメリットを解説していきます。 医院継承の場合、新規開業と比較した際に「初期費用の削減」「患者さんの引き継ぎ」「事業の見通し」などのメリットがあります。
それぞれ順番に解説していきます。

初期費用の削減

既存の医院を継承することで、新規開業時に比べて必要な初期投資を大幅に削減することが可能です。

患者さんを引き継げる

継承により、既存の患者さんを引き続き診療することができます。これにより、開業初期の不安定な時期を乗り越えやすくなります。

事業の見通しが立てやすい

過去の実績やデータを基に、未来の事業計画を立てやすくなります。そのため、より確実な事業運営が可能になります。

医院(クリニック)継承の注意点

医院継承には上記で解説したメリットがある一方、注意が必要な点も存在します。順番に解説していきます。

財産や借入金の引き継ぎ

継承には医院の資産だけでなく、負債の引き継ぎも含まれることがあります。これらの財務状況を正確に把握し、対策を講じる必要があります。

患者離れが起きる可能性

長年同じ医院に通っている患者さんは、それまでの医師のやり方に慣れています。
その部分が変わると不安や不安につながり、患者さんが他の医院へ移る可能性があります。
このリスクを最小限に抑えるためには、継承前後のコミュニケーションが重要です。

診療スタイル・経営理念の相違

前院長と新院長の診療スタイルや経営理念が異なる場合、スタッフや患者に混乱を招くことがあります。理念の共有とスムーズな移行を心がけるべきです。

スタッフや看護師・医師の離職

継承により、職員が不安を感じることがあります。特に継承前の医師と継承する医師の年代が離れてる場合は、技術や価値観などが大きく異なる可能性があり、また、上述した診療スタイルや経営理念の相違から、反発を招き離職へつながるといったことも少なくありません。
職員の不安を和らげ、安定した職場環境を保つためには、適切な対話と情報提供が求められます。

施設・設備・医療機器の老朽化

継承する医院の設備が古い場合、更新の必要が生じることがあります。その場合、追加の投資が必要となるため、事前の評価が重要です。

医院継承にかかる費用相場

ここからは医院継承にかかる費用について解説していきます。

医院継承の費用概算

医院継承の費用は継承する医院の売上などが関係するため、変動がありますが、2,000万〜4,000万円ほどかかると考えておいた方がいいです。
対価の決め方としては、「継承元の希望価格」「専門家に依頼して適正価格を算出」といったケースが多いです。
また、専門家に継承を依頼している際は、仲介手数料を支払う必要があります。て手数料は依頼する専門家により異なりますが、10%ほどで設定されている事が多く、上記の費用目安に当てはめた場合200万〜400万円が手数料としてかかる計算になります。

追加発生する可能性がある費用

継承後に予期せぬ出費も考慮に入れる必要があります。注意点の段落でも解説しましたが、設備・器具の老朽化よる修繕・購入が必要な場合は追加投資が発生します。

法的留意点と厚生労働省のガイドライン

医院継承は、多くの法的要件を満たす必要があります。
これらを遵守することで、合法的かつ円滑な継承が可能となります。

法的留意点の詳細

医院継承には医療法などの法的規制が適用されます。これらの法律を理解し、適切に対応することが重要です。

医療法に基づく規制

医療法は、医院運営の基準を定めており、継承時もこれを遵守する必要があります。適切な運営が求められます。

事業譲渡に関する法的要件

事業譲渡を行う際には、契約の要件や登記など、多くの法的手続きをクリアする必要があります。これにより、法的なトラブルを未然に防ぎます。

厚生労働省のガイドラインの概要

厚生労働省は、医院継承に関するガイドラインを設けています。これに従うことで、法的な問題を避け、スムーズな継承が行えます。

医院(クリニック)継承の手続きのまとめ

医院(クリニック)の継承は、多くの手続きと法的要件が伴いますが、適切な準備と理解により、医療事業の持続的な成長と患者サービスの向上を実現できます。今回の記事が、医院継承を検討しているすべての方々にとって有益な情報源となることを願っています。

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この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 柴田雄一

株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役

米国MBA留学後大手経営コンサルティング会社を経て2004年当時では珍しかった医業経営コンサルティングに特化したニューハンプシャーMCを設立。20年以上にわたる深い知見とユニークな視点からの具体的な支援がクライアントからの高い信頼を獲得し続けている。またそのユニークな視点を言語化した医業のマーケティング、スタートアップ(開業)、マネジメントをテーマにしたプロフェッショナルシリーズをそれぞれ出版し、影虎(本の登場人物の経営コンサルタント)ファンも数多い。
南ニューハンプシャー大学経営大学院(MBA)卒

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