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開業しやすい診療科は?理由や開業資金の目安を解説

コラム

2025.09.17

「どの診療科で開業するのが良いのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。診療科によって開業の難易度や必要資金、患者層、働き方は大きく変わり、経営の安定性にも直結します。
開業を成功させるには、リスクとメリットを理解し、自分に合った診療科を選ぶことが大切です。
この記事では「開業しやすい診療科」を軸に、その理由や開業資金の目安を整理し、診療科選びのヒントを解説していきます。
地域需要や競合状況の見極め、資金調達や損益分岐の考え方など、実務的に役立つ情報も盛り込んでいます。
今回の記事で解説する主な内容は以下になります。

  • 開業しやすい診療科の特徴と理由
  • 診療科ごとの開業資金の目安と収益性
  • 安定経営につながる診療科選びのポイント
  • 働き方やライフスタイルとの適性
  • リスクを抑えるための準備と注意点

診療科選びに迷っている方が安心して第一歩を踏み出せるよう、参考になる視点を解説します。

開業しやすい診療科の特徴

どの診療科で開業するかを考えるとき、費用や患者層、地域の需要など複数の要素が関わってきます。診療科によって初期投資や経営の安定性は大きく変わるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
開業しやすい診療科には共通する条件があり、これを知っておくことで選択肢を絞りやすくなります。
ここでは代表的な特徴を挙げ、具体的に解説していきます。

初期費用や設備投資が少ない診療科

開業の大きなハードルとなるのが初期費用です。特に大型の画像診断装置や手術室が不要な診療科は、投資額を抑えられるため開業しやすいといえます。皮膚科や耳鼻咽喉科は比較的シンプルな機器で診療が成り立ち、2,000万〜3,500万円程度で開業できるケースも多いです。
設備費用が抑えられれば借入額を減らせるため、資金繰りの余裕が生まれます。投資リスクを下げつつ運営を開始できる点は、初めて開業する医師にとって大きな安心材料となります。

幅広い年齢層に需要がある診療科

多様な年齢層を対象とできる診療科は、患者数が安定しやすいのが特徴です。内科は生活習慣病の管理から感染症の診療まで対応範囲が広く、全年齢層の来院が期待できます。
小児科も予防接種や健診など定期的な受診機会があり、地域の子育て世帯から厚い信頼を得やすい分野です。患者層が偏らない診療科は季節や社会的な影響を受けにくく、経営の安定性を高めることにつながります。

地域性やライフスタイルに適した診療科

診療科が地域の特性と合致しているかは、集患を左右する大きな要素です。高齢者が多い地域では整形外科や内科が支持されやすく、子育て世帯が多いエリアでは小児科の需要が高まります。
都市部では通勤や通学の合間に受診しやすい皮膚科や眼科のニーズが目立ちます。自らの専門分野と地域住民の生活環境を照らし合わせることで、開業後に安定した経営を維持しやすくなります。

医療業界の動向と開業難易度の関係

医療制度や社会の変化も診療科選びに影響を与えます。診療報酬の改定で有利になる分野や、国が推進する在宅医療や予防医療は今後も需要が高まる可能性があります。
例えば生活習慣病の増加に対応する内科や、自由診療を取り入れやすい皮膚科は注目されています。制度改正や社会的なニーズの変化を意識して診療科を選ぶことで、開業後の経営リスクを抑えやすくなります。

開業しやすい診療科

実際に「開業しやすい」とされる診療科にはいくつかの例があります。それぞれの診療科には費用の大きさや患者数の安定性、地域性との相性といった特徴があり、強みや注意点も異なります。
ここでは内科や皮膚科など代表的な診療科を取り上げ、なぜ開業しやすいとされるのかを解説します。特徴を理解したうえで、自身の専門性や地域の需要と重ねて考える参考にしてください。

内科:患者層の広さと安定した需要

内科は幅広い年齢層の患者を対象にできるため、年間を通じて安定した需要がある診療科です。生活習慣病の管理や感染症の診療、健診など日常的なニーズが多く、慢性疾患を持つ患者は継続的な通院につながります。
地域に根ざした「かかりつけ医」としての役割を果たしやすい一方で、競合クリニックが多いのも現実です。差別化を図るには、予防医療や専門外来の導入、オンライン診療などを取り入れる工夫が効果的です。

整形外科:高齢化社会で拡大するニーズ

整形外科は高齢化に伴って需要が拡大している診療科です。腰痛や関節疾患、骨粗鬆症などの診療に加え、リハビリテーションを必要とする患者が多く、継続的な来院が期待できます。設備導入やスペースの確保など準備の負担は大きいものの、高齢者の増加によって安定した患者数を確保しやすい分野です。地域包括ケアや介護施設との連携を強化することで、長期的な経営安定が見込めます。

皮膚科:設備負担が少なく開業しやすい

皮膚科は診療に必要な設備が比較的少なく、開業準備の負担を軽減しやすい診療科です。アトピー性皮膚炎や湿疹など慢性疾患の患者はリピーターとなりやすく、安定した収益につながります。
さらに、美容皮膚科を組み合わせれば自由診療の収益拡大も可能です。日常的なトラブルでの受診が多いため、地域での需要を取り込みやすい点も強みです。

小児科:地域密着で安定した需要

小児科は地域の子育て世帯にとって不可欠な存在であり、予防接種や健診など定期的な受診が期待できます。地域の学校や行政と連携しやすく、長期的に信頼を得やすい診療科です。
ただし、急な発熱や感染症などで夜間や休日の対応が必要となるケースも多く、医師やスタッフへの負担が課題となることがあります。持続的な運営には、地域医療機関との協力体制や勤務体制の工夫が求められます。

眼科:専門機器が必要だが需要は安定

眼科は検査や治療に専門機器が欠かせず準備の負担はありますが、視力検査や白内障治療など幅広い患者層に対応できるため安定した需要があります。高齢化に伴い白内障や緑内障といった慢性疾患の患者が増加しており、今後もニーズが高まる分野です。
自由診療としてコンタクトレンズ外来を併設するなど、複数の診療スタイルを組み合わせることで収益基盤を強化しやすいのも特徴です。

耳鼻咽喉科:日常的な受診が多い

耳鼻咽喉科は風邪や中耳炎、アレルギー性鼻炎など日常的な疾患での受診が多い診療科です。花粉症シーズンやインフルエンザ流行期には患者数が増加するなど季節性の特徴もあります。
小児から高齢者まで幅広い患者層を対象にでき、地域密着型で信頼を築きやすい点が強みです。設備準備の負担も比較的軽いため、開業しやすさが際立つ診療科といえます。

近年注目される診療科の動向

近年は少子高齢化やライフスタイルの変化を背景に、新たに注目を集める診療科が出てきています。特に需要が高まっているのは在宅医療や予防医療の分野です。高齢者の増加により通院が難しい患者が増えていることから、訪問診療や在宅医療に対応できる内科や総合診療科が評価されています。
また、生活習慣病予防や健康管理への関心が高まり、健診や生活習慣指導を強化する内科クリニックも増えています。
さらに美容皮膚科やアンチエイジング医療など自由診療の市場は拡大を続けており、保険診療と自由診療を組み合わせる経営モデルとして注目されています。こうした動向を踏まえ、社会のニーズや政策の方向性に合った診療科を選ぶことで、将来的に安定した経営と成長を目指しやすくなります。

診療科ごとの開業資金と収益性

診療科ごとに必要となる開業資金や収益構造は大きく異なります。初期投資が少なく済む診療科もあれば、専門機器やリハビリ施設など高額な投資を要する診療科もあります。資金計画を立てる際には、費用の目安や収益の安定性を理解しておくことが欠かせません。

内科・小児科の開業資金と収益構造

内科は幅広い疾患を診療できるため安定した需要がありますが、開業資金は3,000万〜5,000万円程度と中規模から大規模の投資が必要になる傾向があります。心電図や血液検査機器、X線装置などが必要になり、検査設備に資金がかかる点が特徴です。収益面では生活習慣病や慢性疾患の患者が定期的に通院するため、継続的な収入を見込める強みがあります。
小児科は2,500万〜4,000万円程度が一般的で、内科と比べれば設備投資は少ない傾向です。予防接種や乳幼児健診など定期的な需要がある一方で、夜間や休日対応が増えると人件費がかさむリスクもあります。効率的な勤務体制を整えることが収益の安定化につながります。

皮膚科・耳鼻咽喉科の開業資金と収益構造

皮膚科は2,000万〜3,500万円程度の資金で開業できる場合が多く、設備投資が比較的少なく済む診療科です。顕微鏡や一部の検査機器が中心で、大型の設備を導入する必要がないため初期負担が軽い点が特徴です。患者は湿疹やアトピー性皮膚炎など慢性疾患を抱えるケースが多く、リピーターを獲得しやすいのも強みです。
さらに美容皮膚科を取り入れると自由診療による高収益化が可能です。耳鼻咽喉科は2,500万〜4,000万円が目安で、内視鏡や吸引装置などの基本設備が必要になります。花粉症や風邪の流行期には患者数が増加しやすく、地域性に合致すれば年間を通して安定収益を確保できる診療科です。

整形外科・眼科の開業資金と収益構造

整形外科は5,000万〜8,000万円程度と開業資金が高額になりやすい診療科です。X線装置やリハビリ設備の導入が不可欠で、広いスペースも求められるため初期投資は大きな負担となります。ただし高齢化に伴い腰痛や関節疾患、骨粗鬆症の治療需要は増加しており、リハビリ通院を通じて継続的な収益を得やすい点が強みです。
眼科は4,000万〜7,000万円が目安で、視力検査機器や白内障手術装置など専門機器の導入が必要です。初期費用はかかりますが、視力検査や白内障・緑内障治療などで安定した患者数を確保できるため、投資を回収できる可能性が高い診療科といえます。さらにコンタクトレンズ外来など自由診療を取り入れると収益性を強化できます。

初期費用を抑える工夫とコスト削減の考え方

診療科ごとの費用目安は異なりますが、共通して初期費用を抑える工夫が可能です。医療機器は新品購入にこだわらずリースや中古を活用する、内装工事は必要最低限にするなどの工夫でコスト削減ができます。
さらに金融機関の融資だけでなく、自治体の助成金や医師会のサポート制度を活用すれば資金計画に余裕を持たせられます。初期費用を抑えつつ運転資金を確保することが、長期的に安定した経営を続けるための大切な考え方です。

診療科 開業資金目安 収益の特徴
内科 3,000万〜5,000万円 慢性疾患患者による継続収入
小児科 2,500万〜4,000万円 予防接種・健診の安定需要
皮膚科 2,000万〜3,500万円 リピーター確保、美容皮膚科で自由診療拡大
耳鼻咽喉科 2,500万〜4,000万円 日常的な受診需要、季節変動に強い
整形外科 5,000万〜8,000万円 高齢者需要、リハビリ通院で安定収益
眼科 4,000万〜7,000万円 幅広い患者層、白内障・緑内障治療

診療科選びで失敗しないための工夫

診療科を選ぶ判断を誤ると、開業後に患者数不足や資金繰り悪化といったリスクに直面します。成功している事例やリスク軽減の取り組みを参考にし、開業前から多角に準備を進めることが安定経営のカギとなります。
ここでは診療科選びを後悔しないための実践的な工夫を解説します。

成功事例から学べる診療科選びの視点

すでに成功している開業医の事例から学ぶことは大きな参考になります。例えば高齢者が多い地域で内科に特化したクリニックを開業し、慢性疾患の患者を継続的に診ることで安定収益を実現した例があります。
また、皮膚科に美容分野を取り入れ自由診療を拡大し、保険診療とバランスを取りながら成長した事例もあります。これらの成功例には「地域の特性に合った診療科選び」と「差別化戦略」の共通点があります。自身の専門性と地域需要を掛け合わせる視点を持つことが、診療科選びの重要なポイントです。

リスクを減らすために意識したい要素

診療科選びで失敗を避けるには、複数の要素を意識することが必要です。立地は人口動態や競合医院の状況を調べ、ターゲットとなる患者層を明確にします。資金計画では、診療科ごとの初期投資と運営資金を区別し、複数の収支シナリオでシミュレーションを行うと安心です。
さらにスタッフ採用や教育体制を整えておくことで、開業直後から安定した診療を提供できます。これらの準備を組み合わせることで、診療科選びに伴うリスクを分散させられます。

診療科選びのチェックリスト

診療科を選ぶ際には、感覚だけで決めるのではなく、複数の観点から検討することが大切です。判断の基準をあらかじめ整理しておくと、自分に合った診療科をより明確に選びやすくなります。
以下のチェックリストを活用しながら、開業計画を具体化していきましょう。

  • 自身の専門性や経験と診療科が合致しているか
  • 地域の人口構成や疾患ニーズに適しているか
  • 初期投資と運営資金のバランスが取れているか
  • 競合との差別化が可能か
  • 長期的に継続できる働き方と経営スタイルか

上記の項目を一つひとつ確認することで、診療科選びの精度を高めることができます。事前に検討を重ねることでリスクを減らし、安心して開業準備を進められるようになります。

将来性を踏まえた診療科選び

診療科を選ぶ際には、現在の収益性だけでなく将来の需要や社会の変化も考慮することが欠かせません。高齢化やライフスタイルの変化、医療制度の改定などによって診療科ごとの需要は変化します。
先を見据えた診療科選びを行うことで、安定経営を長期的に続けやすくなります。

需要が拡大する診療科の予想

日本では高齢化が急速に進んでおり、それに伴い需要が拡大している診療科があります。代表的なのが整形外科と内科です。整形外科は骨粗鬆症や関節疾患、転倒による外傷など高齢者が抱える課題に対応でき、継続的なリハビリ通院が収益の柱になります。内科は糖尿病や高血圧など生活習慣病の患者が増加しており、定期的な診療が必要となるため安定した需要が見込めます。
さらに、アレルギー性疾患や呼吸器系疾患が増えている背景から、耳鼻咽喉科や呼吸器内科のニーズも伸びています。こうした需要の変化を把握し、将来性のある診療科を選ぶことが開業の成功につながります。

業界変化と開業チャンスの見極め

医療業界は診療報酬改定や政策による影響を強く受けるため、制度の動向を踏まえた診療科選びが重要です。在宅医療の推進や地域包括ケアシステムの整備により、訪問診療や地域連携を強みとする内科系クリニックには追い風が吹いています。加えて、予防医療や健診の需要増により、生活習慣病の早期発見や管理に力を入れるクリニックも注目されています。
一方で、美容医療や自由診療を取り入れる動きも拡大しており、皮膚科や眼科では保険診療と自由診療を組み合わせた経営モデルが普及しつつあります。業界の変化を的確に見極め、政策や市場の流れと合致する診療科を選ぶことが開業成功の近道です。

ライフワークバランスを重視した診療科選び

診療科選びでは、医師自身のライフスタイルや働き方の希望を考慮することも欠かせません。例えば皮膚科や眼科は夜間や救急対応が少なく、診療時間を比較的コントロールしやすい傾向があるため、家庭やプライベートとの両立を重視する医師に適しています。一方で、小児科や内科は急患対応や感染症流行時の対応が必要になることも多く、体力的な負担が大きくなる可能性があります。
長期的に続けられる診療科を選ぶには、自分がどのような働き方を望むのかを明確にし、無理のない範囲で経営を継続できる分野を選ぶことが重要です。ライフワークバランスを考慮した選択は、医師自身の健康やモチベーションの維持にもつながります。

まとめ|診療科選びで開業の第一歩を成功させる

開業しやすい診療科には、初期費用が抑えられる、患者層が幅広い、地域の需要に適しているなどの共通点があります。内科や小児科は安定した患者需要を確保しやすく、皮膚科や耳鼻咽喉科は少ない投資で始めやすい診療科です。整形外科や眼科は初期費用が大きいものの、高齢化や慢性疾患の増加で将来性が高い分野といえます。
診療科ごとの資金目安や収益性を把握し、自分の専門性やライフスタイル、地域特性を掛け合わせて判断することが成功への近道です。さらに、成功事例や業界動向を参考にすれば、リスクを軽減し安定経営につながります。診療科の選択は開業の第一歩であり、その後の経営を大きく左右する重要な決断です。準備を重ね、自身に最も適した診療科を選ぶことで、安心して開業を成功に導けるでしょう。
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この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 newhampshire-media

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