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医者の開業資金はどれくらい必要?必要な自己資金や資金調達方法を解説

コラム

2025.01.21

医者として開業する際、どれくらいの資金が必要なのか気になりませんか?

今回は、開業に必要な自己資金の目安や具体的な費用項目、さらに資金調達方法について詳しく解説します。

これから開業を目指す医師の方や資金計画を立てたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

 

医者の開業に必要な資金

医者として独立する場合、まず考えるべきは開業資金の確保です。 医者が開業する際には、「土地・建物の購入費用」や「医療機器の購入費用」「備品の購入費用」など様々な資金が必要です。 具体的な金額は診療科目によって異なりますが、1,500万円〜8,000万円ほどの資金が必要となります。

ここからは、医者が開業する際に必要な自己資金と、主な費用の内訳について解説していきます。

 

自己資金について

開業時に医者が準備すべき自己資金は、クリニックの設立や初期運営に必要な資金の1〜2割以上が一般的で、医師の年齢が高くなるほど自己資金が多く求められる傾向にあります。 自己資金が充分にある場合、金融機関からの融資条件が有利になることが多く、金利が低く抑えられる傾向にあります。

また、自己資金が多いほど、開業後の経営も安定しやすいと言われています。自己資金が不足している場合は、融資を受ける際の審査が厳しくなることもありますので、計画的に資金を準備することが重要です。

 

開業資金における主な費用内訳

開業資金には、診療所の設備投資、内装、医療機器の購入、初期の運転資金などが含まれます。 具体的には、地域によって異なる土地や物件の購入費、医療機器や設備の導入に必要な費用、クリニックのデザインや内装に関する費用などが考えられます。 これらの費用を詳細に計画し、必要な資金を見積もることが開業の第一歩となります。

また、開業初期には予期せぬ出費も発生するため、余裕を持った資金計画を立てることが望まれます。

 

診療科目別の開業資金

診療科目によって必要な開業資金は大きく異なります。 各診療科には特有の医療機器や設備が必要とされるため、それぞれの科目に応じた開業計画が求められます。 ここからは、代表的な科目ごとの開業資金について具体的に見ていきます。

 

内科

内科は、基本的な診療に必要な機器や設備投資が比較的少なく済む科目です。 しかし、専門性を高めるためには高額な医療機器の導入が必要となる場合もあります。 ここからは内科の種類ごとに開業資金の目安を解説していきます。

 

一般内科

一般内科の開業資金は戸建の場合、約1,000万〜2,000万円とされ、比較的抑えられる傾向があります。 主に診察台、血圧計、聴診器などの基本的な設備が中心ですが、患者の快適性を高めるための待合室の環境整備も重要です。 テナントの場合は、約6,000万〜8,000万円ほどが必要となります。

 

消化器内科

消化器内科では、内視鏡などの高価な機器が必要なため、開業資金は約7,000万〜8,000万円と高額になります。これには内視鏡検査機器や専用洗浄機の導入費用が含まれます。 さらに、高度な技術を提供するための研修や技術習得にも追加コストがかかる場合があります。

 

呼吸器内科

呼吸器内科では、呼吸機能検査機器や空調管理設備が求められ、開業資金は約6,000万〜7,000万円が目安です。 診療室の空調や感染対策設備も考慮する必要があります。

 

循環器内科

循環器内科では、心電図や超音波検査装置(エコー)の導入が不可欠で、開業資金は約1,000万程度です。 患者の高齢化に対応するため、バリアフリー設計や広い待合室も重要なポイントとなります。 テナント開業場合は、約7,000万〜8,000万円ほどが必要になります。

 

内分泌・糖尿病内科

内分泌・糖尿病内科の場合、自己資金が0円でも開業が可能です。 戸建開業の際に保証人を確保でき、勤務先の患者様を連れていける場合は、自己資金が必要ないです。 しかし、テナント開業の場合は開業資金は約6,000万〜8,000万円が目安です。 特に継続的な患者管理を行うため、ITシステムの導入が求められることもあります。

 

皮膚科

皮膚科は、自己資金が0円で開業できる場合もあります。 開業資金は、約2,000万〜6,000万円程度が目安です。 美容皮膚科としての診療を行う場合はプラスで機器の導入が必要となり、費用があがります。

 

整形外科

整形外科は、X線装置やリハビリ設備など幅広い機器を導入する必要があり、開業資金は約5,000万〜9,000万円ほどになります。 自己資金に関して、テナント開業の場合、必要ありませんが、戸建開業の場合は、約1,000万円ほどが目安となります。

 

眼科

眼科では、細かな診断や手術を行うための精密な機器が必要です。開業資金は約5,000万〜7,000万円が目安となります。特にレーシック手術などを提供する場合、高度な機器の導入により費用がさらに増加します。

また、眼科は自己資金0円で開業できる場合があります。

 

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科では、ファイバースコープや聴覚検査機器などの特殊な検査設備が必要で、開業資金は約5,000万〜8,000万円程が目安となります。 さらに、小児向けのクリニックとして開業する場合、子どもがリラックスできる環境整備に追加費用がかかることもあります。 戸建・テナント共に自己資金0円で開業できる場合があります。

 

産科・婦人科

産科・婦人科では、出産に関わる高度な設備や緊急時対応機器が必要となり、開業資金は約5,000万〜6,000万程が目安になります。 患者のプライバシー保護を考慮した設計や、長時間滞在する患者のための快適な環境作りも重要です。

 

脳神経外科・内科

脳神経外科や内科は、高度な医療設備が必要で、開業資金は約6,000万〜2億円を超える場合があります。 MRIやCTスキャンなどの大型機器を導入するケースでは、設備費用が開業コストの大部分を占めます。

 

精神科・心療内科

精神科や心療内科では、医療機器の費用は比較的抑えられる傾向にありますが、患者がリラックスできる空間作りに注力する必要があり、開業資金は約1,500万〜3,000万円程度が一般的です。

 

泌尿器科

泌尿器科では、専門的な検査や手術を行うための機器が必要で、開業資金は約3,000万〜5,000万円が目安です。 特に男性向けや前立腺疾患に特化した設備を導入する場合、追加コストが発生します。

また、泌尿器科は自己資金0円で開業できる場合があります。

 

精神科・心療内科

ここでは、患者のプライバシー保護や心理的なサポートを重視した設備が必要で、心のケアを重視するクリニックでは、患者さんが安心して通える環境作りが求められます。 自己資金0円で開業できるケースもあり、開業資金の目安は約1,500万〜3,000万円ほどです。

 

小児科

小児科では、子ども向けの診療設備や遊び場の設置が必要で、開業資金は約4,000万〜6,000万円が一般的です。 特に、親子が安心して利用できる環境作りに重点を置く必要があります。

 

開業資金の調達方法

開業資金を効率良く調達する方法は多岐にわたります。各方法の特徴を見ていきましょう。医者が開業するためには、様々な資金調達手段が利用可能です。これらの方法を理解し、自身の状況に最適な選択を行うことが開業成功の鍵を握ります。

特に、資金調達の方法は、将来の経営安定性にも大きく影響するため、慎重に選択する必要があります。

 

民間の金融機関

銀行や信用金庫など、民間の金融機関からの融資は最も一般的な資金調達方法です。 これらの機関では、医療業界に特化したローンプロダクトも用意されており、比較的低金利で長期の融資を受けることが可能です。

ただし、融資を受けるには厳しい信用審査が伴うため、事業計画の質が高く、返済能力をしっかりと示す必要があります。

 

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫からの低利の融資は、医療業界での開業に特に有効な手段とされています。公的金融機関であるため、安定した支援を受けることが可能で、特に若手医師や初めての開業者に推奨されます。

融資条件も民間金融機関と比較して柔軟であり、初期投資を抑えつつ事業を開始することができます。

 

リース会社

医療機器や設備をリースすることで、初期投資を抑えることが可能です。リースを利用することで、高価な医療機器を一括で購入することなく、月々の定額料金で使用することができます。

これにより、資金の流動性を保ちながらも、最新の設備をクリニックに導入することが可能となります。

 

補助金・助成金

国や地方自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、資金負担を軽減できます。これらの支援は返済の必要がないため、非常に魅力的です。

特に新規開業者や地域医療を支援するプロジェクトには、多くの支援が用意されています。申請には一定の条件がありますが、クリニック開業の大きな助けとなります。

 

開業の初期投資を抑えるポイント

賢く初期投資を抑える方法を探ることは、開業の成功に直結します。 開業資金を抑えることは、将来的な経営の安定にもつながりますので、効果的な資金運用が求められます。

医療モール

医療モールへの入居を検討することで、設備投資や運営コストを削減できます。医療モールは複数の医療機関が一箇所に集まるため、共同で設備を利用することが可能です。これにより、個々のクリニックの負担を大幅に減らすことができます。

 

居抜き物件を利用

既に医療用の設備が整っている居抜き物件を利用することで、大幅なコストダウンが見込めます。居抜き物件を選ぶ際は、設備の状態や立地条件をしっかりと確認し、適切な物件選びを行うことが重要です。

 

医院の承継

既存の医院を承継することで、患者基盤や設備をそのまま利用でき、スムーズな開業が可能です。承継は新規開業に比べてリスクが低く、即戦力となるため、経験豊富な医師には特におすすめの方法です。

 

リースの活用

高価な医療機器をリースすることで、初期の負担を減らしつつ、最新の機器を使用することができます。リースは特に高額な機器を導入する際に有効であり、経済的な負担を分散させることができます。

 

まとめ

医者としての開業は大きな挑戦ですが、適切な資金計画と戦略を立てることで、その開業までの流れをスムーズに進めることが可能です。 資金調達の方法を適切に選び、初期投資を賢く抑えることが成功への鍵となります。 開業に向けて、これらのポイントをしっかりと押さえておくことが重要です。
ニューハンプシャーMCでは、医療に特化したコンサルティングサービスを提供しております。
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この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 佐藤潤一

株式会社ニューハンプシャーMC 
主任コンサルタント

大学卒業後、複数の職務を経験し、株式会社ニューハンプシャーMCに入職。
これまで、数十件のクリニック開業を支援し、経営難による閉院ゼロという成果を築く。
さらに、院長向け経営マネジメント研修やスタッフ接遇研修を担当し、現場での実践的なノウハウを提供。多くの医療機関から信頼され、患者満足度向上や集患に貢献している。

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