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医師が開業した際の成功率は?開業のメリットや失敗しないポイント

コラム

2025.02.23

医師が開業を考えるうえで魅力となるのは、理想の医療を実現できる自由度や、自身の経営判断でクリニックを運営できる裁量権の高さなどです。しかし、立地選定や資金調達、スタッフマネジメントなど多岐にわたる課題を乗り越える必要があります。 本記事では、開業のメリットと勤務医との違い、成功率に影響する要因、そして開業準備から医院継承やM&A、開業後の運営までを解説します。 開業を検討中の医師の方に役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

医師が開業するメリットと勤務医との違い

医師としての専門知識を活かすだけでなく、経営者としての意思決定を行える点が、開業の大きな特徴です。勤務医とは異なる視点で医療を提供できるため、患者ニーズや地域の状況に合わせた柔軟な運営が可能になります。

自由度と裁量権の拡大

開業医になると、治療方針や診療時間の設定、スタッフの採用や教育方針などを自由に決定できます。勤務医時代には組織の方針に左右されやすい面がありましたが、開業後は自らがリーダーシップを発揮して運営できる点が魅力です。

理想の医療を実現できる具体例

たとえば、患者一人ひとりとじっくりコミュニケーションを取れる診療体制を整えたり、予防医療や健康増進に注力したサービスを提供したりと、医師自身が理想とする医療現場を作りやすくなります。

収入面・経営面の可能性

上手く経営が軌道に乗れば、勤務医時代よりも高い収入を得られる可能性があります。経営者として利益をコントロールできるため、診療報酬だけでなく自費診療や予防医療メニューなど、多角的なサービス展開が可能です。

安定した収入とリスクのバランス

勤務医よりも収入の上下幅は大きくなる一方、固定費や設備投資などのリスクも伴います。そのため、収支を予測しながら経営計画を立てることが不可欠です。初期投資や運転資金を十分に確保しておくと安心です。

地域医療への貢献とブランディング

地域密着型の医療を提供できるのも開業医の魅力です。住民に信頼されるクリニックとして、健康相談や予防接種、各種検診の実施などを通じて地域社会に貢献できます。また、地元の医療拠点としてブランディングを確立すれば、さらなる認知拡大が期待できます。

勤務医にはない地域密着の魅力

地域で長く愛されるクリニックを作れる点は、大規模病院の勤務医では得難い満足感をもたらします。地域住民との関係性が深まることで、口コミによる患者の紹介や、他の医療機関との連携もスムーズに進められます。

医師開業の成功率と押さえておきたい課題

「開業後の継続率はどの程度なのか」という疑問は多くの医師が抱きます。公的な詳細統計こそ多くはありませんが、準備不足や経営の見通しが甘いと廃業リスクが高まることも事実です。一方で、十分な情報収集と計画を行ったクリニックは、長期的に安定経営を実現しているケースが多数報告されています。

開業成功率の実情と背景

全体的には、数年以内に廃業するクリニックは少ないものの、赤字経営を続けざるを得ない状況に陥る例もあります。開業直後の数年間で経営の基盤を固めることが肝心となり、資金繰りや立地選定、スタッフマネジメントに失敗すると苦戦を強いられます。

数値から見る医師開業の現状

統計や業界調査によると、開業後すぐに廃業する割合は決して高くはありません。しかし、経営難で事業継承やM&Aに踏み切る事例もあるため、自分の専門科や地域の需要をしっかり見極めることが重要です。

成功を左右する3つの主要要因

医師が開業に踏み切る際、立地調査と資金調達、そしてスタッフの採用と教育は特に注意すべきポイントです。これらの要因が噛み合ってこそ、安定した経営基盤を築くことができます。

立地選定・市場調査・患者ニーズ

人の流れが多い、もしくは特定の診療科の需要が高いエリアを選ぶことで、患者獲得のハードルを下げられます。人口動態や競合医院の数、周辺施設の状況などを事前に調べることが、成功率を高める第一歩です。

資金繰りと経営戦略

設備投資や広告費、スタッフ給与など、開業初期は支出が大きくなるため、資金繰りの計画を慎重に立てましょう。金融機関や助成金、自己資金のバランスを考慮し、返済スケジュールも含めた経営戦略を組み立てることが不可欠です。

スタッフ採用・教育・組織づくり

どんなに医師のスキルが高くても、スタッフとの連携が取れなければ円滑な運営は難しくなります。採用時にはスキルだけでなく、クリニックの理念に共感してくれるかも重視し、教育研修を通じて組織力を高めていきましょう。

開業準備で大切な情報収集と計画立案

開業の成功率を上げるには、事前の情報収集と具体的な計画の策定が欠かせません。周辺医療機関との連携方針や、どのように差別化するかを検討しながら、事業計画書をしっかりと作り込むことでリスクを最小化できます。

事業計画書の作成とスケジュール管理

開業時には、多岐にわたるタスクを短期間で処理する必要があります。事業計画書を作成することで、経営ビジョンや投資回収の見込みを整理しつつ、スケジュールを管理しやすくなります。融資を受ける際にも、説得力のある計画書が大いに役立ちます。

融資獲得とリスクヘッジのポイント

金融機関へのプレゼンテーションでは、どのように安定収益を確保するか、返済計画はどうなっているのかを明確に伝えることが重要です。また、不測の事態に備えて予備資金を確保しておくなど、リスクヘッジ策も織り込むと信頼度が高まります。

周辺医療機関との連携と差別化要素

同じ診療科を標榜する医療機関との連携や、他科のクリニックとの相互紹介などを視野に入れると、地域医療全体で患者サービスを向上させることが可能です。同時に、オリジナリティのあるサービスで差別化を図り、独自の強みを打ち出すことも大切です。

競合調査とターゲット設定の手法

地図上で競合となるクリニックの位置や、口コミなどを含む評判を把握することで、自院が狙うべきターゲット層や専門性を明確化できます。高齢者向けにバリアフリーを強化する、子育て世代に向けてキッズスペースを充実させるなど、具体的な戦略につなげましょう。

開業にかかる費用と資金調達の考え方

開業には、物件取得費や内装・設備費、人件費、広告宣伝費など、大きなコストが一度に発生します。これらを正確に見積もり、資金調達計画を組み立てておかなければ、開業後の運転資金が不足し、経営が苦しくなるリスクが高まります。

主な費用項目と初期コストの内訳

下記のように、開業時に必要となる費用項目は多岐にわたります。どれも診療の質やクリニックの快適性に直結するため、バランスよく配分することが大切です。

  • 物件取得費(テナント契約・不動産購入など)
  • 内装・設備費(医療機器、備品、内装工事など)
  • 人件費(スタッフの採用・教育、給与)
  • 広告宣伝費(ホームページ・チラシ・看板制作など)

テナント・内装工事・医療機器など

テナントを賃貸する場合は敷金・礼金、内装費用、医療機器のリースや購入など、まとまった資金が必要となります。すべて自前で用意できない場合は、リースや分割購入なども検討し、資金繰りを圧迫しない手段を選びましょう。

運転資金確保と金融機関の活用

金融機関による医療専門の融資制度や、自治体の補助金・助成金などを有効に活用することで、自己資金の負担を軽減できます。返済期間や金利の交渉もしっかり行い、開業後の運転資金に余裕を持たせることが成功のポイントです。

自治体や各種支援制度のチェックポイント

自治体によっては、地域医療の充実を目的とした開業支援制度を設けている場合があります。公募情報を常に確認し、条件に合う制度を活用すれば、開業にかかる費用負担が大幅に減ることもあります。こまめな情報収集が鍵です。

医院継承・M&Aを検討する場合

近年は新規開業だけでなく、既存の医院を継承するケースやM&Aによって医院を引き継ぐケースも増えています。すでに患者基盤やスタッフが整っている反面、前院長の方針をどう引き継ぐかや、契約条件の調整など独特の課題があります。

医院継承のメリットとリスク

患者層やスタッフがある程度確立されている医院を継承すれば、早期に安定した経営を見込める利点があります。しかし、前院長の診療スタイルや運営手法が色濃く残っている場合、改革を進めるのが難しいことも。継承直後は特にコミュニケーションを密に取り、関係者と信頼関係を築くことが大切です。

患者・スタッフ基盤を引き継ぐ利点

既存のカルテや患者情報、スタッフのノウハウをそのまま活用できるため、ゼロから構築する労力を大きく省けます。業務フローの見直しや、設備更新のスケジュール策定を並行して行うと、スムーズな移行が期待できます。

M&Aによる開業の選択肢

医療機関を買収し、経営権を取得する方法は、開業までの時間短縮にもつながります。ただし、買収費用や交渉条件が大きな負担となる可能性もあるため、事前の精査が不可欠です。メリット・デメリットをしっかり把握することで、最善の選択ができます。

契約交渉と専門家の活用の重要性

医療機関の買収や継承では、法的な契約手続きや資産評価など複雑な手続きが伴います。税理士や弁護士、医療系コンサルタントなどの専門家を交えて協議を進めることで、リスクを最小限に抑えられます。契約条項の細部まで妥協せず確認しましょう。

開業後の経営戦略と患者獲得のコツ

開業がゴールではなく、そこから始まる経営の安定化と成長戦略が重要となります。患者が求めるサービスを把握しつつ、スタッフの士気を高め、継続的に経営状態を改善していくプロセスが大切です。

マーケティングとブランディング

ホームページやSNSを活用して、クリニックの特徴や診療内容を適切に発信することで、新規患者の獲得やリピーターの増加が期待できます。地域イベントへ参加するなど、オフラインの取り組みも含めた多角的なマーケティングで、地域に根差した認知度を高めましょう。

SNS・ウェブサイト・地域イベント活用

オンラインでは、わかりやすい医療情報の発信や診療予約システムの導入が有効です。オフラインでは、地元の健康イベントや広報誌への寄稿などを通じ、存在感をアピールできます。双方を組み合わせることで患者との接点を増やせます。

スタッフマネジメントと組織運営

スタッフの定着率を高めるには、給与や福利厚生の整備だけでなく、キャリアアップやスキル研修の機会を設けることも重要です。スタッフと定期的な面談を実施し、意見を聞きながらクリニック全体の組織力を底上げしていきましょう。

働きやすい職場環境づくりの秘訣

職場の人間関係や設備面の充実など、スタッフが気持ちよく働ける環境を整えることが離職防止につながります。休暇制度やシフト体制を見直し、ワークライフバランスを保ちやすい職場を目指すことも大切です。

患者満足度を高める施策

丁寧な診察と説明、予約システムによる待ち時間の短縮、バリアフリーへの配慮など、患者目線の施策を積み重ねることで信頼度が高まります。満足度向上は口コミによる集客につながり、経営の安定化にも寄与します。

診療品質の向上とサービスの充実

医療機器の定期的なメンテナンスや、最新情報のキャッチアップ、スタッフの接遇研修などに力を入れると、サービスの質を継続的に向上できます。患者から「頼れるクリニック」という印象を得られると、リピーターや紹介が増える好循環が生まれます。

まとめ

医師の開業は、理想の医療を実現できる一方で、立地選定や資金計画、スタッフ育成など多面的な課題が存在します。成功率を高めるには、事前の情報収集と地域ニーズに合った戦略が欠かせません。経営と患者満足度を両立する視点を持ち続けることが、継続的な発展の鍵となります。さらに、開業後も積極的に改善を繰り返し、信頼される医院づくりに注力しましょう。自分らしい医療を実践しながら、地域社会への貢献度も高めることが成功への近道です。
ニューハンプシャーMCでは、医療に特化したコンサルティングサービスを提供しております。
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この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 佐藤潤一

株式会社ニューハンプシャーMC 
主任コンサルタント

大学卒業後、複数の職務を経験し、株式会社ニューハンプシャーMCに入職。
これまで、数十件のクリニック開業を支援し、経営難による閉院ゼロという成果を築く。
さらに、院長向け経営マネジメント研修やスタッフ接遇研修を担当し、現場での実践的なノウハウを提供。多くの医療機関から信頼され、患者満足度向上や集患に貢献している。

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