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クリニックの経営にコンサルティングは必要?メリットや選ぶポイント

コラム

2025.04.25

クリニックを開業したものの、患者数が伸び悩み、人件費や設備投資の負担が重く「経営がうまく回らない……」と不安を感じていませんか?
本記事では、そんな院長の悩みを解決する手段として注目されるクリニック経営コンサルティングについて解説していきます。
コンサルを導入するメリット、選定のポイント、契約時の注意点まで網羅的に紹介するので、現在クリニックの経営に悩みを抱えていらっしゃる方は是非、参考にしてください。

目次

クリニック経営コンサルティングとは?

クリニック経営コンサルティングは、医療機関が抱える「集患が伸びない」「人件費が高止まり」「DX化が進まない」といった課題を、医療業界に精通した専門家が伴走して解決へ導くサービスです。 一般の経営コンサルと異なり、診療報酬制度・医療法などの法規制を踏まえた提案が得られる点が特徴です。

医療専門コンサルと一般コンサルの違い

医療専門コンサルはレセプト分析や医療連携加算などの制度面に強く、学会ガイドラインや厚労省通知を根拠に改善策を提示します。一方、一般コンサルはファイナンスや組織改革手法に秀でていますが、診療報酬や施設基準の知見が浅いことがあります。両者の得意領域を理解し、自院の課題に適したタイプを選ぶことが重要です。

依頼タイミングは開業前・後どちらがベスト?

開業前に依頼すれば、事業計画や立地調査、資金調達まで包括支援を受けられます。既に開業済みの場合は、収益改善やマーケティング強化、分院展開フェーズでの依頼が効果的です。ステージごとのサポート実績を確認しましょう。

オンライン型・訪問型・ハイブリッド型のサービス形態

近年はオンラインMTG中心のコンサルも増加しています。オンライン型は費用を抑えやすい反面、現場観察が不足しがちです。訪問型は院内オペレーションの課題抽出に強みがありますが、移動コストが上乗せされます。両方の長所を取り入れたハイブリッド型を採るコンサル会社も増えています。

クリニック経営コンサルティングを導入するメリットは?

第三者視点の分析により、院長自身では気づきにくいボトルネックを客観的に可視化できます。以下では代表的なメリットを順に確認しましょう。

経営戦略の客観的視点を得られる

医療圏調査や財務データを用い、患者構成・競合状況を多角的に分析します。短期戦略だけでなく、5年後の診療報酬改定を見据えた中長期プランを設計できる点が強みです。

集患・マーケティング力を強化できる

SNS広告やGoogleビジネスプロフィール最適化、紹介状連携などの施策を組み合わせ、地域シェアを高めます。効果検証はKPI(新患数・再来院率など)で行い、PDCAを高速化します。

人事・組織マネジメントの改善

人時生産性の指標を導入し、適正なスタッフ配置を提案。離職率が高い場合はキャリアラダーや面談フローを整備し、定着を促進します。

収益性向上とリスクヘッジ

加算取得や診療単価アップの提案だけでなく、保険請求リスクやコンプライアンス違反の予防策を示します。

DX推進とITインフラ最適化

電子カルテ、オンライン診療、RPAの導入効果を試算し、IT投資の優先順位を明確化します。結果として受付待ち時間の短縮や事務コスト削減を実現できます。

失敗しないコンサル会社の選び方は?

コンサル品質は会社によって大きく異なります。以下の観点で比較検討しましょう。

医療業界での実績と専門性を確認する

診療科別の支援件数、在籍コンサルタントの医療資格(看護師・診療情報管理士など)をチェックします。

料金体系とサポート範囲を比較する

月額固定、成果報酬、スポット支援などモデルは多様です。サポート範囲(財務・人事・IT・法務)を明示した見積書を取り寄せましょう。

伴走型か成果報酬型かのチェックポイント

伴走型は院内に常駐しながら改善を進めるため、文化浸透に強みがあります。成果報酬型は初期費用が低減しますが、短期KPI重視になりやすい点に注意が必要です。

相性を見極めるヒアリング質問例

コンサルと院長の価値観が合わなければ成果は出ません。事前面談で以下を質問しましょう。

  • 当院の理念をどう理解し、施策に反映しますか?
  • 過去の失敗事例と克服プロセスを教えてください。
  • 情報共有の頻度・方法はどう設計しますか?

回答に曖昧さがないかを確認することで、ミスマッチを防げます。

無料相談で確認すべき3つの質問

無料相談では①支援範囲②実施スケジュール③費用発生タイミングを具体的に聞き、後日の「言った・言わない」を防ぎます。

自院のビジョンを共有するための事前準備

院長のキャリアプラン、診療科拡大構想、地域医療連携の方針を文書化して提示すると、提案の精度が高まります。

契約前に押さえておきたい注意点

契約書を締結する前に、法的・実務的なリスクを確認しておくことでトラブルを未然に防げます。

秘密保持・個人情報の取り扱い

患者データを扱う場合は、個人情報保護法や医療情報システム安全管理指針に準拠したNDAが不可欠です。

成果目標とKPIの設定方法

「半年で新患+20%」「診療単価+5%」などSMARTな数値目標を契約書に盛り込み、毎月モニタリングします。

契約書で確認すべき条項

報酬形態、成果定義、業務委託範囲、知的財産権の帰属、損害賠償責任の上限を明記しましょう。

解約・途中終了時のペナルティと対策

違約金率や最低契約期間をチェックし、必要に応じて解除条項の修正交渉を行います。

コンサル費用の相場と投資回収シミュレーション

費用は「月額固定30〜80万円」「成果報酬 売上増加分の10〜20%」など幅があり、依頼するコンサル会社により上記の金額よりも高額になるケースもあります。
そのため、費用に関しては初回相談時などにしっかり確認しましょう。
また、以下はコンサル費用の簡易的な投資回収シミュレーションになります。
実際の回収にどのくらいの期間かかるのかの参考にしてみてください。

支援モデル月額費用想定増収(月)ROI(半年)
伴走型60万円+120万円300%
成果報酬型増収の15%+150万円356%
スポット診断30万円×2回+50万円167%

表はあくまでモデルケースですが、ROIが100%を超えるかを目安に投資判断を行うと良いでしょう。

クリニックがコンサルを最大活用するコツ

外部コンサルを入れれば「プロが全部やってくれる」と誤解しがちですが、実際は院内の主体性現場への落とし込みが成果を左右します。
コンサルが描く施策を“絵に描いた餅”にしないためには、院長自らがビジョンを示し、スタッフが腹落ちできる運用体制を整え、数値で効果検証を行うサイクルが不可欠です。
ここでは、その具体的な実践ポイントを4つに分けて解説します。

院長が主導権を握るプロジェクト設計

院長はステアリングコミッティ(推進委員会)の議長として、経営課題の優先順位とゴールを宣言しましょう。
✔ RACI マトリクス(責任/説明/協力/報告)で役割を明確化
✔ 90日ロードマップで短期成果を設定し、モメンタムを維持
✔ 週次 30 分の進捗レビューで方向修正を即時実施

「決定権は院長」「実行は現場+コンサル」という線引きを可視化することで、権限移譲の混乱を防ぎます。

スタッフ巻き込みと院内コミュニケーション

変革に抵抗はつきものです。成功クリニックは“小さな成功体験”から共有し、心理的ハードルを下げています。

  • 朝礼 5 分プレゼンで KPI を共有し、目標を「自分ごと化」
  • クロス職種ワークショップで受付・看護・医師が課題を言語化
  • 匿名フィードバック箱を設置し、不満の早期発見+改善

さらに ADKAR(認識→願望→知識→能力→定着)モデルを用いた段階的教育を行うと、変革への抵抗が大幅に減少します。

データドリブンな意思決定フローを構築

「感覚で運営」から脱却するには、リアルタイムダッシュボードが有効です。

  1. 指標選定:新患数・再来率・平均在院時間・診療単価など
  2. 可視化ツール:無料 BI(Google Looker Studio 等)で自動更新
  3. レビュー習慣:月初に“経営ミーティング”を固定化し、数字→要因→施策を議論

コンサルにはダッシュボード設計と分析テンプレート作成を依頼し、院内ではデータ入力の標準手順書(SOP)を整備すると運用が定着します。

補助金・助成金を活用した導入事例

資金面がネックの場合でも、国の施策を活用すれば初期コストを大きく抑えられます。

制度名対象経費補助率・上限活用例
IT導入補助金電子カルテ・予約システム2/3・最大450万円受付DXで待ち時間30%短縮
業務改善助成金RPA・勤怠管理3/4・最大600万円事務作業を週10時間削減
事業再構築補助金新規診療科開設2/3・最大1億円美容皮膚科併設で月商+200万円

申請には事業計画書が必須です。コンサルに「補助金採択率◯%」など実績があるか確認し、書類作成を委託すると採択確率が高まります。

クリニック経営でよくある質問

最後に、クリニックの経営において「よくある質問」を紹介します。
同じ悩みや疑問・不安をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

クリニックのスタッフ管理で気を付けるべきことは何ですか?

スタッフ管理では、コミュニケーションを密にし、業務負担が偏らないように配慮することが大切です。定期的なミーティングを行い、スタッフの意見や要望を取り入れることや、適切な評価とフィードバックを行うことも重要です。さらに、スタッフのスキルアップを支援するための研修や教育も効果的です​。
ニューハンプシャーMCではスタッフの研修、教育についてもサポートしており、時にはコンサルタントが講師として登壇することもあります。

クリニックの経営を改善するためには、まず何から始めるべきですか?

経営改善の第一歩は、現在の経営状況を正確に把握することです。財務状況、患者数の推移、スタッフの労働環境、診療効率などを分析し、問題点を特定します。その上で、改善が必要な領域に対して具体的な施策を講じます。
院長一人で実施するのではなく、コンサルタントも一緒に考え、改善案をご提案致します。

クリニックのマーケティング戦略はどう進めるのですか?

効果的なマーケティング戦略として、地域に密着した広告や、WEB広告(リスティング広告、ディスプレイ広告)、SNSを活用した情報発信が挙げられます。
また、クリニックのWebサイトを充実させ、オンライン予約の利便性を高めることも患者獲得につながります。口コミや紹介を促進するために、患者との良好な関係を維持することも重要です。

まとめ

クリニック経営コンサルティングは、集患強化・収益向上・DX推進など多面的な課題をプロと共に解決できる手段です。医療専門性・料金体系・相性を見極めれば投資対効果は高く、院長主導でスタッフを巻き込みデータを活用すれば成果はさらに加速します。信頼できるパートナーを選び、未来志向の経営を実現しましょう。

ニューハンプシャーMCでは、医療に特化したコンサルティングサービスを提供しております。 開業や継承、集患に悩んでいる方は、ニューハンプシャーMCにご相談ください。 オンラインでの無料相談も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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また、弊社の考え、ノウハウが凝縮された書籍も販売しております。 弊社にお問い合わせいただく9割以上の方が、本を通じて弊社の考えに共感しお問い合わせいただいております。
詳しくはこちらのページをご覧ください。

この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 柴田雄一

株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役

米国MBA留学後大手経営コンサルティング会社を経て2004年当時では珍しかった医業経営コンサルティングに特化したニューハンプシャーMCを設立。20年以上にわたる深い知見とユニークな視点からの具体的な支援がクライアントからの高い信頼を獲得し続けている。またそのユニークな視点を言語化した医業のマーケティング、スタートアップ(開業)、マネジメントをテーマにしたプロフェッショナルシリーズをそれぞれ出版し、影虎(本の登場人物の経営コンサルタント)ファンも数多い。
南ニューハンプシャー大学経営大学院(MBA)卒

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