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クリニック開業で多い失敗の要因は?失敗例や成功のポイントを解説

コラム

2025.03.24

「クリニックを開業したいけれど、失敗したらどうしよう…」「開業してもうまくいかないケースってあるの?」「成功するためには何に気をつければいいの?」と悩んでいませんか?
実際、クリニック開業には多くのリスクが伴い、資金計画の甘さや立地ミス、集患の失敗など、思わぬ落とし穴にはまってしまうケースも少なくありません。しかし、よくある失敗のパターンを事前に知っておけば、リスクを回避しやすくなります。
本記事では、クリニック開業で陥りがちな失敗パターンとその事例を解説し、成功するためのポイントもあわせて紹介します。
今回の記事で解説する主な内容は以下の通りです。

  • クリニック開業でよくある失敗要因
  • クリニック開業の失敗例
  • クリニック開業を成功させるためのポイント
クリニック(医院)開業を検討している方は是非、参考にしてください。

クリニック開業でよくある失敗要因

クリニックを新規に開業することは医師としての大きな挑戦ですが、しっかり準備しないまま開業に踏み切ってしまうと経営が行き詰まるリスクがあります。
ここでは代表的な失敗要因を8点解説していきます。

  • 事業戦略を策定していない
  • 十分な開業資金・運転資金を準備していない
  • 経営知識やマネジメントスキルが不足している
  • スタッフが定着しない
  • 集患対策が不十分
  • 不要な設備を導入している
  • 立地・物件選びに失敗している
  • 予期せぬ外部要因(感染症流行など)の影響を受けている
それぞれ順番に解説していきます。

事業戦略を策定していない

明確な事業戦略やコンセプトを持たずに開業してしまうと、地域の医療ニーズを満たせず差別化も図れないまま経営難に陥るケースがあります。
「何を強みに、どのような患者層をターゲットにするのか」が曖昧だと集患もうまくいきません。特に周辺の競合クリニックが多い場合は、独自性を示す施策が必要です。開業前には市場調査を行い、地域ごとの患者ニーズや年齢構成、既存医療機関の強みなどを分析し、自院のビジョンや強みを具体化しましょう。

十分な開業資金・運転資金を準備していない

開業時には物件取得費や設備導入費、人件費など大きな初期投資が必要です。さらに、開業してすぐに患者数が安定するわけではないため、運転資金も確保しておかなければいけません。
資金が足りずに広告・マーケティングを後回しにしてしまうと、認知度が低いまま経営が悪化する懸念もあります。事前に金融機関や自治体の支援制度を調べ、余裕をもって6か月から1年分の運転資金を備えておくと安心です。

経営知識やマネジメントスキルが不足している

医師としての優れたスキルがあっても、経営者としてのマネジメント能力が備わっていないと、スタッフ管理や経理・会計、法務・労務への対応などで混乱しがちです。
経営知識を習得せずに開業すると、意識せず赤字経営に陥ることも。開業セミナーへの参加や医療経営コンサルタントの活用などで、経営に必要な知識を学んでおくと、開業後のトラブルを回避しやすくなります。

スタッフが定着しない

クリニックの規模は病院より小さい分、スタッフ一人ひとりの役割が重要です。しかし、採用や人間関係、労働条件などに問題があるとスタッフが定着せず、患者対応に支障が出ます。
例えば看護師が辞めてしまうと一気に診療体制が崩れ、院長や残ったスタッフへの負担が集中するケースも少なくありません。
面接時には職場見学や細やかな条件擦り合わせを行い、開業の理念や方針に賛同してくれる人材を慎重に確保することが大切です。勤務環境の整備やキャリア支援も、スタッフのモチベーションと定着率を高めるポイントになります。

集患対策が不十分

クリニックを開院しただけで患者が集まるとは限りません。ライバルが多い地域や都心部では特に、ホームページの整備やSNSでの情報発信、内覧会や地域向けイベントなど地道な集患活動が不可欠です。
利用者の多い医療ポータルサイトへの掲載やオンライン予約システムの導入も検討すると良いでしょう。集患対策を怠れば、知名度不足から患者数が伸びず、開業後すぐに経営難に陥るリスクがあります。

不要な設備を導入している

最新の医療機器や内装にこだわりすぎると、設備費が膨らんで資金繰りが厳しくなります。患者ニーズに直結しない高額設備を導入しても、費用対効果が悪ければ経営を圧迫するだけです。
段階的な導入やリース契約などを活用し、開業初期は本当に必要な設備に絞るなど、投資の優先順位を明確にして資金を有効に配分しましょう。

立地・物件選びに失敗している

立地が不便な場所、駐車場不足、駅から遠いなどの条件が重なると患者が来院しにくく、広告費をかけても集患に苦戦します。周辺環境や競合状況を踏まえた上で物件を選ばなければ、開業後にリフォーム費用の追加や移転コストがかかる事態に陥るかもしれません。
専門家と相談しつつ、事前の診療圏調査や現地リサーチを綿密に行ってから契約に進むことが大切です。

予期せぬ外部要因(感染症流行など)の影響を受けている

開業後にコロナ禍のような大規模感染症や自然災害、医療制度改革など、外部要因によって想定以上の影響を受けるケースがあります。急激に来院患者数が減ったり、診療報酬改定によって収益が減少したりと、経営に大きく響く可能性があります。
リスク管理策を整え、オンライン診療や訪問診療など新たな収益源を検討しておくと、非常時でも柔軟に対応できます。

クリニック開業の失敗例

上記の失敗要因が実際にどのような形で表面化するのか、主なケースを4つ紹介します。

  • 立地選びに失敗し患者が集まらない
  • スタッフ採用のミスマッチで運営が混乱
  • 設備への過剰投資で資金ショートに陥る
  • 運営体制の不備で患者離れが発生
開業後に取り返しがつかない状況にならないよう、事例から学んで事前対策を取ることが大切です。

立地選びに失敗し患者が集まらない

通院の利便性を軽視して開業場所を選び、アクセスが悪いエリアにクリニックを構えたケースです。想定した以上に患者が来られず、駅前や競合クリニックの立地に流れてしまいました。
集患に予算を割いても効果が限定的で、経営不振が長引く結果となりました。

スタッフ採用のミスマッチで運営が混乱

十分な説明や面接を行わずにスタッフを採用し、価値観やスキルが合わずに早期退職が相次いでしまうケースです。残ったスタッフの負担が増え、患者対応や診療にも悪影響が出てしまう可能性があります。
結果的に患者満足度が低下し、口コミでも評判が落ちてさらなる集患難に陥る可能性があります。

設備への過剰投資で資金ショートに陥る

開業当初から最新機器をフル導入してしまい、高額なリース代やローン返済が重荷になるケースです。開業直後は患者数が少ないため、想定以上に収益が伸びずすぐに資金不足に繋がる可能性があります。
本来なら広告やスタッフ研修に回したかった予算が機器の維持費に費やされ、負の連鎖に陥る可能性があるため、注意が必要です。

運営体制の不備で患者離れが発生

マニュアル作成やスタッフ研修を十分行わずに開業した結果、受付や会計処理に時間がかかるなど運営上のトラブルが頻出するとったケースもあります。
待ち時間の長さやスタッフ対応への不満から患者のリピート率が低下し、クレームが増加し、評判悪化によって新患の獲得にも苦戦するといった傾向があります。

クリニック開業を成功させるためのポイント

失敗事例を見た上で、同じミスを避けるためにはどうすれば良いでしょうか。
開業準備段階から意識すべき重要ポイントを8つのポイントを解説していきます。

  • 市場調査に基づく綿密な開業計画の策定
  • 十分な開業資金・運転資金を確保する
  • 過剰投資を避け、本当に必要な設備に絞る
  • 効果的な集患対策とマーケティングの実践
  • 信頼できるスタッフの採用と育成
  • 経営マネジメントの知識とスキルを習得する
  • 不測の事態に備えるリスク管理を行う
  • 専門家のアドバイスを積極的に活用する
それぞれのポイントについて順番に解説していきます。

市場調査に基づく綿密な開業計画の策定

闇雲に開業するのではなく、診療圏調査や競合分析などに基づき「どんな患者に、どんな価値を提供するか」を具体的に計画しましょう。
開業ビジネスプランを作り込み、収支シミュレーションやリスク対策まで織り込むことが重要です。
ターゲットとする年齢層やライフスタイルに合った診療時間の設定や専門性の打ち出しなど、実務レベルの具体性が問われます。

十分な開業資金・運転資金を確保する

開業時の初期投資に加え、運転資金を余裕を持って準備しておくと心強いです。半年から1年程度は収支が安定しないことを想定し、融資や補助金・助成金を活用しつつ、計画的に資金調達を行いましょう。
資金不足で広告や人件費を削減してしまうと、さらに集患できず経営の悪循環に陥る可能性が高まります。

過剰投資を避け、本当に必要な設備に絞る

開業時から何もかも最新にしようとするのではなく、必要度の高いものから導入する姿勢が堅実です。
医療機器は高額なものが多いので、投資額と見込める収益のバランスを慎重に判断しましょう。リース利用や中古機器の検討なども賢い選択肢です。予算に余裕が出てから拡充しても遅くありません。

効果的な集患対策とマーケティングの実践

クリニックを知ってもらうためのマーケティング施策は必須です。ホームページやSNSを通じて診療科目や診療時間、専門性などをわかりやすく発信するほか、オンライン予約や医療ポータルサイトへの登録も有効です。
内覧会や地域イベント参加など地元住民との接点を増やす取り組みも重要となります。開業直後だけでなく、定期的に情報を発信し続けることで継続的な集患につながります。

信頼できるスタッフの採用と育成

スタッフはクリニックの印象を左右する大きな要素です。良質な医療サービスに加え、受付や看護師が感じ良く対応するかどうかも患者満足度に直結します。採用時にはスキルだけでなく協調性や患者への接遇マインドを重視し、勤務条件やクリニックの方針を丁寧に共有しましょう。
採用後もマニュアル整備や研修、定期面談などを通じてスタッフが働きやすい環境づくりに取り組むことが重要です。

経営マネジメントの知識とスキルを習得する

開業医は「医師であり経営者」であるという自覚を持ち、会計・労務・税務・マーケティングなど広範な知識を学び続ける必要があります。医療経営に特化したセミナーや勉強会、資格取得などの機会を活用し、業界動向にもアンテナを張りましょう。
診療報酬改定など行政の動きは収益に直結するため、常に最新情報を把握して柔軟に対策を講じられるようにしておきます。

不測の事態に備えるリスク管理を行う

感染症の再流行や自然災害、制度変更によってクリニック経営が揺らぐことは珍しくありません。そのため、オンライン診療や訪問診療の体制をあらかじめ整えておく、非常時の連絡網やバックアップ方法を決めておくなど、リスク対策を講じておきましょう。
スタッフの多能工化(複数の役割をこなせる体制づくり)や、異なる診療科との連携先確保などもリスク管理の一環です。

専門家のアドバイスを積極的に活用する

医療系の開業支援コンサルタントや税理士、弁護士など専門家の力を借りることで、リスクや問題点を客観的に把握しやすくなります。物件の契約や各種届出の手続きもスムーズに進められる場合が多く、院長が医療に専念できる時間を確保するうえでも有効です。
特に初めての開業では独力だけで見落としがちなリスクやノウハウが多いため、早い段階で専門家に相談してアドバイスを受けることが失敗回避につながります。

クリニック開業で失敗しないためには

多くの開業支援の専門家は、「開業は事前準備が8割を占める」と強調します。医療サービスの質だけでなく、経営戦略、資金計画、スタッフ管理、そして集患施策がしっかり形になっていれば、開業後の失敗リスクを大幅に下げられます。
事業計画書の段階で売上や経費の試算を現実的に行う、複数の融資先を比較検討しつつ計画的に借入額を設定する、競合医院との差別化を徹底するなど、開業前の準備によって経営の土台が固まります。
専門家に早めに相談し、課題を洗い出すのが安心な方法です。院長自身の経営マインドを高めることも忘れずに、医療者と経営者の両面から開業に取り組みましょう。

クリニック開業で多い失敗のまとめ

クリニック開業は医師にとって大きな決断ですが、事前準備を徹底すれば成功に近づきます。失敗要因を知って対策を講じ、資金やスタッフ、立地などを最適化すれば長く地域医療に貢献できるでしょう。
最後は「医師であり経営者である」という意識が大切になります。
専門家からのアドバイスを活用しつつ、堅実かつ柔軟な経営方針を持つことで、クリニック開業のリスクを大幅に抑えられます。

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この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 佐藤潤一

株式会社ニューハンプシャーMC 
主任コンサルタント

大学卒業後、複数の職務を経験し、株式会社ニューハンプシャーMCに入職。
これまで、数十件のクリニック開業を支援し、経営難による閉院ゼロという成果を築く。
さらに、院長向け経営マネジメント研修やスタッフ接遇研修を担当し、現場での実践的なノウハウを提供。多くの医療機関から信頼され、患者満足度向上や集患に貢献している。

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