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クリニック(医院)継承で多い失敗は?トラブルのケースや注意点を解説

コラム

2025.01.24

クリニック(医院)の継承は、医師にとって新たなキャリアのスタートとなる一方で、トラブルや失敗がつきものです。スムーズなスタートを切るためには、事前の準備と注意が欠かせません。
今回の記事では、クリニック(医院)継承のトラブルについて解説していきます。
主な内容としては、よくある失敗の例やその対策、継承時に気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。
医院の継承を考えている方は、参考にしてみてください。

クリニック(医院)継承でよくある失敗例

クリニック(医院)の継承は、経営がうまくいかなかった事例が存在します。 継承を考える際には、医院が直面する可能性のある失敗例を理解し、それらを避けるための対策を講じることが重要です。 以下では、クリニック(医院)の継承時に特に起こりやすい失敗事例を挙げ、それに対する具体的な解決策を提案します。

患者離れ

クリニックを継承した後、患者離れが発生するケースは珍しくありません。特に、地域密着型の医院では、長年の患者との信頼関係が診療継続における大きな要素となります。
しかし、新しい院長の診療スタイルが既存患者の期待に合わなかったり、対応が変化したりすると、患者が他院に流れる可能性があります。また、継承に関する情報が患者に十分に共有されていない場合、「突然経営が変わった」という印象を与え、信頼を損なう要因となることもあります。
たとえば、新院長が導入した診療時間の変更や、スタッフの入れ替えによって待ち時間が増加するケースなどが挙げられます。

経営状態が悪い

継承する医院の経営状態が不明確な場合、引き継ぎ後に深刻な問題が発覚することがあります。たとえば、過去に未払金が存在したり、設備や施設の維持費が予想以上にかかったりする場合です。
また、収支が赤字である医院を継承した場合には、立て直しに多大な労力とコストが必要になることがあります。 具体的には、適切な財務デューデリジェンス(経営状況の精査)を行わないと、見落としが発生するリスクが高まります。

スタッフの離職

医院のスタッフが離職することは、クリニック運営において大きな問題となります。特に長年勤務してきたスタッフが辞めると、現場の連携が崩れ、患者対応に支障をきたす可能性があります。
さらに、スタッフの離職は新しい院長に対する信頼感の低下や、労働条件の悪化が原因となることも多いです。
たとえば、継承後に診療方針が急激に変化したり、労働条件の見直しが一方的に行われたりすることが挙げられます。

医療機器や建物の老朽化

医院を継承する際、医療機器や建物の老朽化が問題となることがあります。これらの更新や修繕にかかる費用が過小評価されている場合、経営に重大な影響を与える可能性があります。
また、設備が古く、最新の診療技術に対応できない場合、患者からの信頼を失う恐れもあります。
たとえば、レントゲン機器や電子カルテシステムが旧式である場合、更新コストが高額になることがあります。

希望内容との相違

医院継承において、引き継ぐ側と譲渡する側の希望が一致していない場合、トラブルの原因となることがあります。特に診療方針や患者対応のスタイル、地域医療への貢献方法について意見が食い違うケースは少なくありません。
v また、継承後の運営方針について明確な合意がない場合、双方の信頼関係が損なわれる可能性があります。
具体例としては、譲渡側が「地域密着型の診療を継続してほしい」と望んでいる一方、引き継ぐ側が経営効率を優先して診療時間を短縮するなどの方針転換を行うケースが挙げられます。

契約上の問題

契約内容が不明確である場合、クリニック継承後に法的トラブルが発生するリスクがあります。たとえば、建物や土地の賃貸契約の条件、医療機器の所有権に関する取り決めが不十分だと、後々大きな問題に発展する可能性があります。
また、退職金やスタッフの雇用条件に関する取り決めが曖昧だと、従業員との関係が悪化する要因となります。
具体的には、契約書において設備の譲渡条件や、運営権に関する詳細が正確に記載されていない場合、トラブルの解決に時間と費用がかかることがあります。

クリニック(医院)継承時のポイント

クリニックの継承を成功に導くためには、事前の準備が非常に重要です。
ここからは、継承時の7つのポイントを解説していきます。

  • 事前にしっかり調査をする
  • 前院長と譲渡条件の交渉する
  • 診療方針・経営理念を引き継ぐ
  • 経営計画をしっかり立てる
  • 患者様・スタッフへしっかり説明する
  • 事前に勤務医として働く
  • 開業・継承に詳しいコンサルタントに相談する
それぞれのポイントについて順番に解説していきます。

事前にしっかり調査をする

医院の継承前には、財務状態や設備の状態を詳しく調査し、問題点を把握しておくことが重要です。
また、地域の医療需要や競合他院の状況も調べ、継承後の戦略を立てるための重要なデータとして活用します。

前院長と譲渡条件の交渉する

スムーズな継承のためには、前院長との間でしっかりと条件交渉を行うことが必要です。期待のすり合わせを行い、双方が納得する条件で契約を結ぶことが、後のトラブルを避けるためには不可欠です。

診療方針・経営理念を引き継ぐ

クリニックの持つ診療方針や経営理念を理解し、これを継承することが、患者に対して安心感を提供し、スタッフのモチベーションの維持にも繋がります。
継承者は、これらの価値を尊重し、可能な限りその精神を維持し続けることが求められます。

経営計画をしっかり立てる

継承後の経営を見据えた計画を事前に立て、具体的な行動計画を用意することで、未来的なトラブルを避けることができます。
資金計画やマーケティング戦略、人材育成計画など、継承後のクリニック運営に必要なすべての要素を事前に計画することが成功の鍵を握ります。

患者様・スタッフへしっかり説明する

継承による変更点や将来のビジョンを患者やスタッフに適切に説明し、不安を和らげることが重要です。開かれたコミュニケーションを心がけ、継承の意義と目的を共有することで、組織全体の理解と協力を得ることができます。

事前に勤務医として働く

実際に勤務医として働きながら、クリニックの運営を学ぶことで、スムーズな継承が可能になります。
また、継承前にクリニックの日常業務に携わることで、問題点や改善点を発見し、改善策を講じることができます。

開業・継承に詳しいコンサルタントに相談する

専門的な知識を持つコンサルタントのアドバイスを受けることで、多くの問題を事前に解決できます。
また、法的な問題や契約の際の注意点など、専門家の意見を聞くことで、より確実な継承が可能となります。

クリニック(医院)継承時の注意点

クリニックの継承には多くの注意点があり、それらを見落とすと大きなトラブルにつながる可能性があります。
ここでは、特に重要な注意点を詳しく解説し、適切な継承プロセスを確立するためのアドバイスを提供します。

親族間継承の際は税金対策をする

親族間での医院継承は、贈与税や相続税が発生する可能性があります。事前に税理士と相談し、税負担を最小限に抑えるための計画を立てることが重要です。
また、医療法人への移行を検討することで、税負担をさらに軽減できる場合があります。

行政手続き・雇用契約

医院の継承には、必要な行政手続きが伴います。特に、医療機関としてのライセンスの更新や新規申請が必要になることがあります。
また、スタッフの雇用契約についても、適切に法的な手続きを踏み、トラブルを未然に防ぐことが求められます。

患者様のカルテの引き継ぎ

患者のカルテは医療の連続性を保つために非常に重要です。適切なプライバシー保護とともに、スムーズなカルテの引き継ぎが求められます。これには、事前の準備と正確な情報の移行が必要となります。

新規開業と継承どちらが良いか検討する

医院を新規に開業するか、既存の医院を継承するかは、多くの要因を考慮して決定する必要があります。立地条件、既存患者の状況、財政的な側面など、総合的に評価し、自身のキャリアプランに最も合った選択をすることが重要です。

クリニック(医院)継承の流れ

クリニックの継承は計画的に進めることが必要です。
ここでは、「親族内承継」と「第三者への承継」の分けて、それぞれの流れについて説明します。

親族内承継

親族内でクリニックを継承する場合、家族間の信頼関係や合意形成が重要です。
まず、後継者を選定し、その後、経営や診療の引き継ぎを計画的に行います。
また、財産分与や相続に関する問題を避けるため、弁護士や税理士の助言を受けながら適切に手続きを進めることが求められます。
さらに、後継者の能力向上やスタッフとの連携強化を図ることで、スムーズな運営が可能となります。
親族内承継は慎重な計画と家族間の協力がポイントとなります。

第三者への承継

第三者への承継は、親族以外の適切な後継者を見つける方法です。
この場合、クリニックの経営状況や資産価値を客観的に評価し、候補者に必要な情報を提供することが必要です。適切な情報公開と透明性を確保することで、信頼関係を築くことができます。
さらに、契約条件を明確にするため、専門家の助言を受けながら譲渡契約書を作成します。これにより、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
第三者承継は、公正な評価と丁寧な交渉が重要なポイントとなります。

まとめ

クリニック(医院)の継承は、新たなスタートとなる一方で多くのトラブルが発生し得るため、事前準備が重要です。患者離れや経営状態の不明確さ、スタッフの離職、老朽化した設備の問題などが主なリスクです。
さらに、譲渡側と引き継ぐ側の希望不一致や契約の不備がトラブルを引き起こす要因となります。これらを防ぐためには、財務調査や譲渡条件の明確化、患者やスタッフへの丁寧な説明が欠かせません。
また、専門家の助言を受け、法的・経営的観点から準備を進めることが成功の鍵です。医院継承をスムーズに進めるためには、地域医療の需要や競合の状況を把握し、具体的な経営計画を立てることが不可欠です。
適切な準備や段階を踏むことで、継承後のトラブルを防ぎ、円滑な運営が可能となります。

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この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 柴田雄一

株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役

米国MBA留学後大手経営コンサルティング会社を経て2004年当時では珍しかった医業経営コンサルティングに特化したニューハンプシャーMCを設立。20年以上にわたる深い知見とユニークな視点からの具体的な支援がクライアントからの高い信頼を獲得し続けている。またそのユニークな視点を言語化した医業のマーケティング、スタートアップ(開業)、マネジメントをテーマにしたプロフェッショナルシリーズをそれぞれ出版し、影虎(本の登場人物の経営コンサルタント)ファンも数多い。
南ニューハンプシャー大学経営大学院(MBA)卒

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