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クリニックの集客方法は?集患の成功のコツとよくある失敗を解説

コラム

2025.05.22

「患者数が伸び悩んでいる」「新規患者の獲得に頭を抱えている」こうした悩みはクリニック経営者にとって深刻な課題です。
人口構造の変化や競合クリニックの増加、情報過多の時代において、従来の口コミやチラシだけでは十分な集患効果が得られにくくなっています。
今回の記事では、クリニックの集客(集患)を成功させるために押さえておきたい方法と、その際に陥りがちな失敗例を解説します。
経営コンサルやクリニック開業支援に携わるプロならではの視点を交え、オンライン施策や地域連携など効果的かつ実践的なアプローチを紹介しますので、クリニック(医院)の集客・集患が課題と感じている方は、ぜひ参考にしてください。

クリニック集客が伸び悩む背景

患者数の確保に苦戦している経営者は少なくありません。住民の生活様式や医療の受け方が多様化し、昔ながらの方法だけでは新患を増やしにくい状況が続いています。特に複数の医療機関が競合するエリアでは、患者が選択する際の基準が細分化され、自院の強みを適切に打ち出さないと埋もれてしまう恐れがあります。継続的に患者との接点を持ち、地域から信頼される医療機関となるためには、基本的な集客の考え方を押さえつつ、オンラインとオフラインの施策をバランスよく取り入れることが大切です。

患者ニーズの多様化と選択肢の増加

以前は「病院が近いから」「家族が通っているから」という理由だけで来院する方が大半でした。しかし、インターネットやSNSの普及によって情報が簡単に手に入るようになり、患者はクリニックを探す際に複数の選択肢を比較検討するようになっています。たとえば、オンライン予約の有無や待ち時間の長さ、医師やスタッフの雰囲気などを事前に調べる方も増えました。こうした背景を踏まえると、ただ診療を行うだけではなく、患者に選んでもらうための情報提供や接遇がより重要になってきます。

周辺エリアの競合状況

同じ診療科目を取り扱う医療機関が半径数キロ以内に複数ある場合は、患者の取り合いが起きやすくなります。自院が選ばれるためには、診療時間の延長や専門的な検査機器の導入など、他院との違いを積極的にアピールすることが有効です。さらに、地域包括ケアシステムが進むなかで、近隣の病院やクリニックとの連携も考えられます。患者紹介や連携先との情報交換を通じて、地域全体の医療体制の一部として評価される機会を逃さないようにしましょう。

集患成功に欠かせない基本の考え方

多彩な施策を打つ前に、なぜ自院が患者から選ばれるのかを明確にしなければなりません。土台となる考え方が固まっていないと、せっかくの集患施策が散発的な取り組みで終わる可能性があります。

ターゲット患者層の明確化

まずは、周辺エリアの人口動態や既存患者の特徴を分析し、優先的に来院してほしい層を明確にしておきましょう。例えば、働き世代が多い地域なら土日診療や夜間診療が人気を集めやすい傾向があります。一方で、高齢化が進む地域なら通院支援や在宅医療に力を入れることで、患者の負担を減らせます。ターゲットを絞ることで、必要な設備投資や宣伝方法を見極めやすくなります。

強みを活かしたブランディング戦略

医師の専門資格や、スタッフの接遇力、最新の医療機器など自院ならではの強みを整理し、ブランディングに活用することが大切です。ただ情報を並べるだけでは伝わりにくい場合が多いため、患者の視点で「どのように役立つか」をわかりやすく発信する工夫が求められます。実際に来院した患者の感想をホームページで紹介したり、SNSでスタッフの日常を発信したりすると、クリニックの雰囲気が伝わりやすくなり、集客効果が高まります。

クリニック規模に応じた運営計画

小規模なクリニックは、限られた人員や予算のなかでどこに注力すれば最も効果が出るかを見極める必要があります。丁寧な接遇やスタッフの顔が見えるコミュニケーションで、口コミを地道に広げる方法が適しているケースも多いです。一方で、中・大規模のクリニックでは専門外来の設置や設備投資による差別化も検討できます。どのような方向性であっても、自院の規模や経営資源を踏まえた無理のない計画を組むことがポイントになります。

オンラインでの集客施策と注意点

インターネット経由の情報収集が当たり前になっている現代では、WebサイトやSNSを活用した発信が不可欠です。ただし、医療機関ならではの法規制や注意点を理解し、誤った情報掲載をしないように気を配らなければなりません。

検索エンジン対策(SEO)の重要性

「○○市 内科」や「診療科目 地域名」で検索したときに、自院のホームページが上位に表示されると、新規患者が見つけやすくなります。SEO対策では、以下のような点が特に重視されます。
- 地域名や診療科目に関連するキーワードを意識したページ構成 - 適切なメタタグ設定とモバイルフレンドリーなデザイン - コンテンツ品質を高めるための見やすいレイアウトと正確な医療情報 これらを継続的に改善していくことで、検索エンジンからの評価が高まり、クリニックでの集客を強化できます。

WebサイトのUI/UX改善とオンライン予約システム

ユーザーが欲しい情報に素早くアクセスできるサイト設計は、集患拡大につながる重要な要素です。診療時間や休診日、医師の担当曜日などをわかりやすく掲載することはもちろん、問い合わせフォームやオンライン予約システムを整備すると、受診を検討している段階でスムーズな来院を促せます。さらに、スマートフォンで閲覧した際にも文字が大きく見やすいデザインを採用し、ストレスなく利用できる環境を整えることが大切です。

SNS連携と地域情報の発信

SNSを使うと、クリニックの雰囲気やスタッフの人柄をより身近に感じてもらうことができます。院内で実施する健康イベントやセミナー、地域の季節行事に合わせた健康対策の案内などを投稿し、コミュニティとの交流を深める場として活用しましょう。写真や動画を添えて投稿すると印象に残りやすく、いいねやコメントを通じてリピーターや口コミの拡散が期待できます。投稿内容が一方的にならないよう、利用者からの質問やメッセージにも丁寧に対応すると信頼性が高まります。

医療広告ガイドラインへの対応

医療機関は他業種と比べて広告表現が制限されやすいことを理解しておく必要があります。実績の誇張や科学的根拠のない断定的な表現は、医療広告ガイドラインに抵触する可能性があるため注意が必要です。たとえば「絶対に治る」という言い回しは避け、客観的なデータや根拠に基づいて内容を説明するようにしましょう。こうした法規制を遵守しつつ、患者が安心できる情報を提供する姿勢がクリニックの信用を高めます。

オフラインでの集客施策と注意点

デジタル技術が発展しても、直接人と関わる機会を通じた信頼獲得は依然として効果的です。地域とのつながりを強化し、口コミが広がる土壌をつくることがリピーターの安定確保にもつながります。

ターゲット別チラシ・パンフレットの活用

高齢者向けには文字を大きくし、色使いを控えめにするなど、読み手の特性に合わせたデザインを心掛けましょう。ファミリー層にはイラストや写真を使って親しみやすさを高め、子どもが怖がらないようなビジュアルの工夫も有効です。連絡先や簡単なアクセスマップを掲載すると行動につなげやすく、興味を持った人がすぐに問い合わせできるようになります。

院内イベントや健康セミナーの開催

フッ素塗布の説明会や糖尿病予防のミニ講座など、クリニックで行うイベントを通じて地域住民に医療や健康情報をわかりやすく伝えられます。専門的な話題だけでなく、季節性の病気や普段の体調管理など一般的なテーマも人気です。こうした催しに参加した住民は、医師やスタッフの人柄を直接感じ取りやすいため、「また相談してみよう」という気持ちを育てやすくなります。

地域イベントや行政との協業

自治体主催の健康相談会や地元企業の福利厚生イベントに参加すると、普段来院しない層にも自院を知ってもらうきっかけが増えます。とくに高齢化が進む地域では、行政や介護事業者と連携して健康測定会を行うと、大きな集客効果を見込めることがあります。こうした場でクリニックが地域の課題解決に寄与していると印象付けられると、信頼度が高まり、今後の紹介やリピートにつながりやすくなります。

患者・スタッフからの紹介を促す方法

来院した患者が自然と口コミを広めてくれるような仕組みづくりも大切です。例えば「いつでも気軽に相談できる雰囲気づくり」や「スタッフの丁寧なフォローアップ」があれば、満足度が高まり、自分の家族や知人におすすめしやすくなります。スタッフにもクリニックのビジョンや強みを理解してもらい、必要に応じて地域住民へ積極的に情報を伝えてもらうよう促すと、紹介がさらに活発化します。

集患におけるスタッフの教育と組織づくりについて

医療現場はチームワークが非常に大切です。スタッフがやりがいを感じながら仕事をすることで、患者に対してもポジティブなエネルギーが伝わります。組織としての一体感を高めるには、日々のコミュニケーションと教育が欠かせません。

スタッフの接遇研修と情報共有

受付での言葉遣いや身だしなみ、看護師の説明の丁寧さなど、患者がクリニックに抱く印象を左右するポイントは多岐にわたります。スタッフ向けの接遇研修を定期的に実施し、「患者の不安を和らげる声掛け」「正確な情報提供」などの基本を全員で共有すると、チーム力が向上します。新人スタッフへのフォロー体制を整えておくと、早期離職を防ぎつつ、組織の安定にもつながります。

意見交換の場づくりとモチベーション向上

朝礼や定期ミーティングで情報共有するだけでなく、スタッフ同士が改善提案を気軽に出せるような環境をつくると、組織として成長しやすくなります。集患施策に関するアイデアをスタッフから募ると、受診者の声や現場での気付きが経営戦略に反映されやすくなるメリットもあります。成果を上げたスタッフやチームには適切な評価を行い、モチベーションを保ち続けられるようにすることが大切です。

クリニック集客で陥りがちな失敗例

多様な施策を組み合わせることで効果を高められますが、気を付けるべき落とし穴も存在します。せっかく投資をしても、やり方を誤ると十分な成果が得られない場合があるため、失敗パターンをあらかじめ把握しておくと安心です。

広告予算の偏りや効果測定不足

新聞広告やウェブ広告などに大きな予算を割いても、来院数の増加につながるかは分かりません。費用対効果を測定し、成果が高い施策を特定するためにも、「来院経路を問診票で確認」「GoogleアナリティクスなどのツールでWeb流入を分析」などの仕組みを導入しましょう。定期的に結果を振り返りながら柔軟に方針を変え、無駄な出費を抑えつつ効果を最大化できます。

患者目線を無視したコミュニケーション

医療機関ならではの専門用語を多用すると、患者が内容を理解できず混乱する場合があります。説明不足や不親切な対応が続くと、信用を失ってしまう原因にもなります。受診に関する疑問点に丁寧に答え、症状や検査結果、治療方針などを具体的かつ平易な表現で示すと、安心感を抱きやすい環境が生まれます。

法規制・ガイドラインの見落とし

医療広告ガイドラインをはじめとする法規制や、学会などの自主基準に反する広告表現は避けなければなりません。誇大広告が指摘されると、クリニックの評判に大きなダメージを与えます。ウェブサイトやパンフレット、SNSに掲載する内容は定期的に見直し、客観的な根拠をもって説明できる情報だけを提供しましょう。

まとめ

クリニックの集患を実現するためには、オンラインとオフラインの両方からアプローチする姿勢が求められます。SEOを重視したWebサイト運営やSNSでの発信、地域イベントへの参加やスタッフによる丁寧な応対など、複数の施策を組み合わせると効果が高まります。検証と改善を繰り返しながら、自院の強みを活かしたブランディングを徹底すれば、多様化する患者ニーズを的確に取り込みやすくなるでしょう。法規制にも配慮しつつ着実な発信を続けることで、地元住民から長く愛される医療機関としての存在感を高められます。
ニューハンプシャーMCでは、医療に特化したコンサルティングサービスを提供しております。
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この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 佐藤潤一

株式会社ニューハンプシャーMC 
主任コンサルタント

大学卒業後、複数の職務を経験し、株式会社ニューハンプシャーMCに入職。
これまで、数十件のクリニック開業を支援し、経営難による閉院ゼロという成果を築く。
さらに、院長向け経営マネジメント研修やスタッフ接遇研修を担当し、現場での実践的なノウハウを提供。多くの医療機関から信頼され、患者満足度向上や集患に貢献している。

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