看護師として日々の業務をこなす中で、電子カルテの操作方法に戸惑っていませんか?患者様の状態を正確かつ迅速に記録し、ほかのスタッフと情報を共有できる電子カルテは、医療現場に不可欠なツールです。
しかし「入力に手間がかかる」「必要な情報をすぐに見つけられない」といった悩みを抱える方も多いでしょう。
今回の記事では、看護師に求められる電子カルテの基本操作から、業務効率を高める実用的なテクニックまで幅広く解説します。
さらに導入後に起こりがちなトラブルと対処法もしっかり取り上げるので、現場での不安を解消し、スムーズに業務へ活かすためのヒントが得られるはずです。
電子カルテを正しく・効率的に使いこなし、看護業務の質をさらに高めるためのポイントとして、ぜひ参考にしてください。
電子カルテ導入前に知っておきたい基礎知識

電子カルテは、病院やクリニックで行われる診療情報を一元管理できる便利な仕組みです。導入前に大まかな流れやメリットを把握しておくと、切り替え後の戸惑いが減り、業務がスムーズになります。看護師として患者様のデータ入力や情報共有を的確に行うためにも、まずは基本を理解しておくことが大切です。
電子カルテとは何か
紙のカルテをデジタル化し、コンピュータ上で診療記録や看護記録を保存・管理するシステムを指します。患者様の病状や検査結果、治療プランなどを一覧化できるため、関係スタッフの誰もが同時にアクセスしやすい点が大きなメリットです。従来の紙カルテに比べて情報の検索や更新が素早く、看護業務の効率化にもつながります。
看護師が電子カルテを使うメリット
電子カルテの使い方を身につけることで、看護師の負担を減らしながら患者様に集中できる環境を作ることができます。紙のカルテと違い、記録の見落としや重複が減り、共有したい情報をリアルタイムでチーム全員へ届けられる点も大きな魅力です。さらに時間短縮や記録の一元化が進むと、ミスを防ぎやすくなり、安全な医療体制の構築へと結びつきます。
情報共有の円滑化
患者様に関する重要な情報が電子化されているため、医師や薬剤師、リハビリスタッフなど複数の職種が同時にデータを確認できます。カルテの取り合いで時間がかかるといった問題が解消されるほか、適切な処置を迅速に行いやすくなる点が特徴です。院内全体でリアルタイムに情報を共有しやすいことで、看護師としても効率よく患者様のケアに集中できます。
業務負担の軽減と時間短縮
電子カルテはデジタル上で保管されるため、紙での保管スペースや書類整理にかける時間を削減できます。必要なデータをすぐに呼び出せるだけでなく、入力フォーマットを統一しておけば、記録の抜け漏れも防止しやすくなります。コスト面では初期導入費用がかかりますが、長期的に見ると作業効率の向上やミスの減少が期待できるでしょう。
電子カルテの導入形態と選択ポイント
電子カルテを新規導入する際には、オンプレミス型かクラウド型かを選ぶことになります。医療機関の規模やスタッフがパソコンに慣れているかどうかなど、現場の実情にあった導入形態を検討するとスムーズです。
オンプレミス型とクラウド型の違い
オンプレミス型は自院内にサーバを設置するため、カスタマイズ性に優れています。自分たちのニーズに合った細かい設定が可能ですが、メンテナンスやシステム更新に手間とコストがかかることもあります。クラウド型はインターネット環境を利用し、外部のサーバを使うため、初期費用を抑えながら導入しやすい点が魅力です。どちらも院内の規模や予算、看護師のパソコンスキルなどを考慮して選ぶ必要があります。
コストやセキュリティ面の考慮事項
電子カルテのシステム導入費用は、サーバやソフトウェアライセンス、保守費などを含めると高額になることがあります。セキュリティ対策も欠かせない要素であり、電子データを扱う以上、十分な対策を取ることが重要です。アクセス権限やバックアップ方法などを検討し、現場レベルで無理なく運用できる形を見つけることがポイントとなります。
看護師に求められる電子カルテ操作の基本

スピーディーかつ正確に記録を行うためには、初歩的な操作から応用的な活用まで着実に身につける必要があります。電子カルテの使い方をしっかり理解しておけば、記録業務にかかる時間を短縮し、患者様のケアにより多くの時間を割くことが可能になります。
正確な入力を行うための必須チェックポイント
看護記録は、患者様の経過や安全管理に深く関わる重要な情報です。入力ミスを防ぐには、以下の点を確認するとミスを大幅に減らせます。
- 患者様の名前やID、部屋番号などの照合を徹底する
- 略語や独自表現を使う際は院内マニュアルと照合する
- 入力後、必ず一度は全体を読み返し、文脈におかしな部分がないかをチェックする
これらの作業を習慣化しておくと、万が一の入力エラーを最小限に抑えられます。システム面でも入力フォームの工夫や誤入力防止アラートなどがある場合は、積極的に活用すると安心です。
スムーズな入力を行うコツ
看護師はバイタルサインから処置の経過記録まで、多岐にわたる入力作業を求められます。ここでの作業効率を高めるには、文字入力だけでなく、システム全体を使いこなすことが重要です。
テンプレートを利用した定型文入力
バイタルサインや投薬記録など、日々繰り返す記録内容はテンプレート化しておくと作業時間を節約できます。定型文として登録する場合は、誤解を招きやすい表現を避け、誰が見てもわかりやすい言葉を選ぶことがポイントです。内容を共有する医師や他の看護師からのフィードバックを元に定期的に更新すると、院内全体で利用しやすくなります。
ショートカットキーの活用
多くの看護師はマウス操作が中心になりがちですが、基本的なキーボード操作を覚えるだけでも作業効率が向上します。「コピー&ペースト」「検索」「画面切り替え」など、よく使うショートカットを少しずつ覚えていくと、無理なく入力時間を短縮できます。忙しい業務の合間に練習して習得しておくと、長期的に大きなメリットが得られるでしょう。
効率的に情報を検索・閲覧するポイント
デジタル化の大きなメリットは、必要な情報を迅速に探せる点です。電子カルテでは検索機能を使って、特定の診療記録や検査結果をキーワード・日時・患者番号などで絞り込めます。検索条件を細かく設定できる場合は、あらかじめ使い方を把握しておくと、時間をかけずに目的のデータを見つけやすくなります。多忙な勤務中に少しでも時間を短縮できれば、患者様と向き合う時間を増やせるでしょう。
業務効率を高める電子カルテの活用方法
看護師が電子カルテの使い方をマスターしても、院内全体での連携がうまくいかないとシステム導入のメリットを最大限に生かせません。情報共有のルールや教育体制を整えることで、チーム医療がさらに円滑になります。
チーム間での情報共有をスムーズにする工夫
複数の職種が同じ患者様のデータを扱う場合、記録の仕方や確認ルールがバラバラだと混乱を招きます。入力する順番や略語の使い方などを院内マニュアルで統一しておけば、どのスタッフでも内容を正しく理解できるため、迅速な対応が可能になります。小さな工夫の積み重ねが医療ミスを防ぎ、患者様の安全へとつながります。
マルチデバイス活用と院内ネットワーク整備
最近ではパソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどのモバイル機器から電子カルテにアクセスできる施設が増えています。ベッドサイドで患者様を観察しながらリアルタイムで情報を記録できるため、業務効率が一段とアップします。ただし、ネットワーク環境が不安定だと動作に支障をきたすため、院内のWi-Fiや通信環境を整備しておくことも重要です。
他職種との連携強化のためのルールづくり
医師や薬剤師、検査技師などが入力する情報は、看護師の観察やケアに直結します。チャートやラベルの色分け、入力のタイミングなどをルール化しておけば、複数の担当者が同時に利用しても混乱しにくくなります。定期的なミーティングで運用状況を確認し、改善が必要なポイントを洗い出すと、電子カルテの使い勝手が徐々に良くなるでしょう。
活用例:マニュアル化と研修制度の整備
新システムを導入しても、操作が難しいとスタッフ全員が一斉に使いこなすのは困難です。マニュアルや研修を充実させ、さまざまなケースに対応できる指導体制を整えるとスムーズに普及します。特に業務の合間を縫って学習する看護師も多いので、オンライン研修なども活用すると負担が少なくて済みます。
新人看護師向けの指導ポイント
初めて現場に出る看護師は、カルテの入力そのものに戸惑うことが多いです。システムの概要と基本操作だけでなく、感染症対策や緊急時の処置に必要な記録方法などを分かりやすく教えると定着しやすくなります。先輩看護師が隣で実際に操作を見せながら指導するOJT方式も効果的です。
定期的なアップデート研修の重要性
電子カルテは導入後もバージョンアップが行われることがあり、機能が追加されるケースもあります。使い方の変更点や新たに加わった機能をしっかり習得しないと、せっかくの効率化効果を逃す恐れがあります。新機能を活用すれば、さらに業務短縮や安全管理の向上につなげられます。
導入後にありがちなトラブルと対処法

初期段階で慣れない操作に戸惑ったり、セキュリティ面で思わぬリスクが発生したりと、電子カルテ導入にはさまざまなトラブルが伴います。事前に想定されるトラブルとその解決策を把握しておくことで、業務の混乱を最小限に抑えられます。
セキュリティ対策と個人情報保護
医療情報は極めて機密性の高いデータです。漏えいが発生すると患者様のプライバシー侵害となり、施設の信頼も失いかねません。
対策を徹底するには、下記のような管理が必要です。
- スタッフごとにアカウントを設定し、アクセスできる範囲を限定する
- 定期的なパスワード変更と多要素認証を導入する
- 院外からアクセスする際のVPNなど、通信環境の安全性を確保する
看護師自身も個人情報の取り扱いを十分に理解し、データの持ち出しや画面の覗き見に気をつける必要があります。知識やモラルを高めるために、院内での研修や勉強会を定期的に実施すると安心です。
パスワード管理とアクセス権限の設定
パスワードは誕生日や簡単な文字列を避けるなどのルールを守り、定期的な更新を徹底しましょう。アクセス権限のレベル設定によって、必要以上に広い情報範囲に触れないようにすることも重要です。電子カルテには診療記録だけでなく、検査結果や個人情報など多くのデータが含まれるため、適切な閲覧範囲をあらかじめ決めておく必要があります。
端末の持ち出しや紛失リスクを防ぐ方法
院外で業務を行う際にモバイル端末を使用する場合は、デバイスのロック機能や遠隔操作機能を活用すると情報漏えいを防ぎやすくなります。加えて、持ち出しの際には必ず管理リストに記入し、紛失してしまったときの対応マニュアルを設けるなど、多角的な対策が欠かせません。
システム障害や誤操作時の対応
システム障害や看護師の誤操作によるデータ消失は、患者様のケアに大きく影響します。落ち着いて対処するには、トラブルシューティングの手順を院内全体で統一しておくと便利です。
バックアップと復旧手順の確認
電子カルテのデータは定期的にバックアップを取得し、万が一のシステムダウン時に迅速に復旧できるよう準備が必要です。誰がどのタイミングでバックアップを実施し、どのように復旧を行うのか、具体的なフローを決めておくことで混乱を防げます。夜間や休日にも対応できる体制を整えておけば、患者様への影響も最小限に抑えられます。
トラブル時の対応と問い合わせ先の把握
アプリケーションのエラーや通信不良などが起きた際、院内で解決できる範囲とシステム業者へ依頼すべき範囲を区別しておくと円滑に問題を解決できます。問い合わせ先やサポート窓口の連絡先は常に確認できる場所に掲示し、新人看護師を含む全スタッフが迅速に対応できるよう工夫しておきましょう。
電子カルテのよくある質問
電子カルテの運用をはじめると、看護師の間で似たような疑問が出ることが多いです。ここでは代表的な質問を取り上げ、早めに不安を解消できるよう解説します。
看護師に必須の電子カルテ研修はどのような内容?
基本的な操作方法の習得や入力ルール、セキュリティ方針の共有が中心になります。特に外部からの不正アクセスを防ぐための対策や、患者様情報の取り扱いなどは重点的にカバーしましょう。定期的にアップデートを行い、電子カルテの機能が拡張された際にも適切に対応できるようにすると、看護師全員が安心して活用できます。
他施設から転職した場合、操作に慣れるコツは?
施設によって使用している電子カルテの種類やルールが異なるため、まずは院内マニュアルを確認し、必要な機能の使い方を重点的に覚えることが大切です。慣れたやり方に固執せず、先輩看護師やシステム管理者とコミュニケーションを取りながら、現場特有のルールに合わせて操作を覚えていくとスムーズに適応できます。
電子カルテ導入で看護師に求められるスキルとは?
システムへの基本的な操作能力に加え、正確な記録を残すための責任感や観察力が求められます。さらに、他職種との連携が重要になるため、情報共有のルールを守る協調性やトラブルに柔軟に対応する姿勢も欠かせません。
デジタル機器に苦手意識があっても、身につけたいポイントを絞り込んで習得すれば、現場で十分に活かせるようになります。
まとめ
電子カルテの使い方をスムーズに習得すれば、紙カルテ時代に比べて看護師が抱える業務負担は大幅に減り、患者様へのケアに多くの時間を注げるようになります。基礎知識や導入形態の違いを理解したうえで、実践的な操作やテンプレートの活用、ショートカットキーなどを取り入れると効率的に運用できます。
院内で情報共有ルールを明確にし、研修やマニュアルを整備することも重要です。セキュリティ対策やトラブル対処法を把握しておけば、予想外のトラブルにも落ち着いて対応できるでしょう。看護師同士だけでなく、多職種が連携してメリットを最大限に活かすことが、患者様にとって安心・安全な医療を提供する近道となります。
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