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病院・クリニック経営の課題は?赤字の要因や改善策成功のポイントを解説

コラム

2025.04.25

コロナ収束後も外来・入院患者数が戻らず、診療報酬改定や人件費・光熱費高騰が重なって「気づけば赤字」という病院・クリニックが急増しています。とはいえ資金繰りや人材不足を理由に抜本策を先送りすれば倒産リスクはさらに高まります。
本記事では赤字を招く構造的要因を分解し、収益改善とコスト最適化を同時に進める実践策を解説します。
経営課題の優先順位づけから改善PDCAの回し方、さらに「2040年問題」に備えた地域包括ケアへの転換やDX投資の打ち手も具体的に解説していきますので、これから病院・クリニックの開業を検討されている方や、現在病院クリニック経営で悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。

病院・クリニックを取り巻く経営環境の変化

医療機関を巡る外部環境は、診療報酬改定の方向性、人口動態の変化、そしてDX投資の負担という三つの潮流で急速に変化しています。各要素を俯瞰することで、変化への備え方が見えてきます。

診療報酬改定と地域包括ケアシステム

2024年度改定では外来管理加算が見直され、在宅・急性期・回復期の機能分化がさらに進みました。連携を強化し紹介数を確保できないと稼働率低迷につながります。

少子高齢化と患者構成のシフト

65歳以上人口は2025年に30%を突破。慢性疾患に強い診療体制とリハ・介護連携は不可避のテーマです。

医療DXとデジタル投資負担

「医療DX令和ビジョン2030」を受け電子カルテ標準化が進行中。投資額を3年以内で回収できるようROIを算出した段階的導入が肝要です。

赤字に陥る主な要因

赤字は外部環境だけでなく、内部要因の複合で起こります。以下では収益・費用・マネジメントの三方向から整理します。

収益構造の偏りと外来依存

外来比率が高く入院・自費・予防医療の柱が不足すると、単価の低い外来患者数に経営が左右されます。

人件費・材料費・光熱費の高騰

厚労省の経営管理指標によれば、人件費率は平均41%超。電力値上げで光熱費は年率15〜20%増と報告され、利益を圧迫します。

設備投資と維持費の過大負担

高額機器は償却期間に稼働率が落ちると固定費化。更新判断基準を明確化しないと赤字体質を加速させます。

経営管理体制の不備

部門別採算が取れていない、財務KPIが月次で止まっている――こうした管理の遅れが課題発見を遅らせます。

費用項目医業収益比率 (平均)改善のヒント
人件費41〜45%勤務シフト最適化、タスクシフティング
医療材料費16〜18%共同購買、在庫日数短縮
光熱費3〜5%高効率空調・省エネ補助金
減価償却費5〜7%リース活用、稼働率管理

自院指標との乖離が大きい項目を優先すると最短で効果が得られます。

経営改善を成功させる6つのポイント

赤字要因をつかんだら、以下の6領域をバランスよく推進しましょう。併記するKPIを定点観測するとPDCAが加速します。

診療単価と稼働率を同時に高める戦略

例:夜間・休日手術枠を週2コマ増設し、平均稼働率を75→85%へ引き上げ。単価と回転率を同時に伸ばす施策が鍵です。

コストマネジメントと購買改革

GPO参加による医療材料共同購買で年間8〜12%削減したケースが複数報告されています。リバースオークションを組み合わせるとさらに削減幅が広がります。

人材確保・育成と働き方改革

看護師離職率を下げるには、夜勤専従制度や短時間正職員を導入しワークライフバランスを確保することが効果的です。

デジタルシフトと業務効率化

電子カルテ統合とRPAを組み合わせると医事部門の事務時間が20%短縮した実例があります。システム投資はROI3年回収を基準に決定しましょう。

地域連携と患者獲得マーケティング

ICT連携パスで退院後フォロー情報を共有すると逆紹介率が向上。急性期病院との相互紹介数を20%増やした都心クリニックの事例もあります。

財務指標モニタリングとPDCA

月次でEBITDAマージン・キャッシュコンバージョンサイクルを共有。異常値を検知したら速やかにタスクフォースを設置し改善策を実行します。

経営課題別・改善施策チェックリスト

ここからは「経営課題別・改善施策チェックリスト」を紹介していきます。 自院の取り組み状況をセルフチェックし、未着手項目から優先順位を付けましょう。

収益拡大:診療単価を上げるための5つの打ち手

5施策を組み合わせると、粗利率を平均4〜8ポイント押し上げた事例が多数あります。導入可否はROIシミュレーションで判断してください。

  • 高粗利メニューの導入
  • 保険外併用療養費の活用
  • オンライン診療+物販
  • 在宅医療強化加算の取得
  • 予防医療パッケージの販売

例:プレミアム人間ドック(検査+栄養指導)を導入し、月間利益120万円増を達成した都市部クリニックがあります。

コスト最適化:費用を10%削減する購買・設備リース戦略

購買情報をBIツールで可視化し、品目別単価と使用量を週次でモニタリングすることで継続的削減が可能になります。

人材・組織:確保と定着を両立させる採用・評価制度

ジョブ型評価を導入して診療単価連動のインセンティブを設けると、医師の自費診療提案が活発になり外来単価が12%アップした例があります。

DX推進:投資回収を最短化するシステム選定フレーム

投資回収年数(Payback Period)は導入コスト ÷ 年間削減額で算出し、3年以内を目標に設定します。

地域連携:紹介患者を1.5倍に増やすネットワーク構築

紹介率アップには、定期カンファレンスと迅速な検査結果共有が有効です。ICT連携により紹介〜検査〜報告までを48時間以内に短縮した病院では紹介数が30%増加しました。

経営課題の解決を支援する外部サービス活用

改善策を実行する際、専門家や補助金を活用してリスクを分散しましょう。

経営コンサルティング会社の選び方

医療法42条の認定支援機関、M&A実績、部門別KPI公開の3点が選定基準です。

病院DX補助金・公的支援の活用

主な補助金と対象経費は下表の通りです。重複申請の可否を確認しながら活用しましょう。

制度名上限額対象経費
医療DX導入支援補助金1億円電子カルテ、オンライン資格確認、セキュリティ強化
IT導入補助金(医療枠)450万円SaaS型予約・会計システム
省エネ設備補助金対象経費の1/2高効率空調、LED照明

申請のタイミングを逃すと1年待ちになることもあるため、計画段階で公募スケジュールを確認しましょう。

M&A・事業承継のポイント

後継者不足が深刻な場合は合併・グループ入りでスケールメリットを享受できます。デューデリ時には土地賃借権、医療法人持分、第三者承継後の人事制度を必ず確認してください。

まとめ

病院・クリニックの赤字は収益偏重とコスト膨張の複合結果です。診療単価向上と稼働率改善を両輪に、購買改革・DX・人材マネジメントを計画的に進めれば黒字化は十分可能。自己診断チャートで課題を可視化し、補助金と外部専門家を活用しながらPDCAを継続することが持続的成長への最短ルートです。

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