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開業医が法人化する際の年収の目安は?タイミングやメリット・注意点も紹介

コラム

2025.12.26

開業医として仕事をしていると、いつ法人化したらいいのか、年収の目安ってどのくらいなんだろう?と悩むことがありませんか。法人化には節税や経営の安定、社会保険の充実などのメリットがある一方で、手続きやリスク、年収がどう変わるのか不安も出てきます。

この記事では、年収や売上の目安、法人化のベストなタイミング、理事長の報酬設定や手続きの流れ、法人化のメリット・デメリット、社会保険や福利厚生の変化、相続や資産形成のポイントまで、知っておきたい情報をまとめてやさしく説明しています。医療法人化を考え始めた人、タイミングで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

開業医が法人化を検討するタイミングと年収の目安

開業医として診療や経営に取り組む中で、一定の年収や売上高に達すると「そろそろ法人化を検討すべきか」と悩むことが増えてきます。法人化は節税や事業承継など多くのメリットがある一方、手続きや負担も生じるため、タイミングの見極めが重要です。ここでは年収や売上高の目安、適切なタイミングを判断するポイントについて整理し、法人化を検討する際の指針となる情報を紹介します。

開業医が法人化を考える年収の目安

開業医が法人化を検討する際、目安となる年収水準は大きな判断材料の一つです。一般的には年間の事業所得が1,800万円から2,000万円を超えた頃が、法人化を検討し始める適切なタイミングとされています。この理由は、個人事業主としての所得税が累進課税で高くなり、住民税と合わせて税率が最大50%(所得税40%+住民税10%)に達するためです。一方、法人税率は約23%と一定で、所得が増えるほど個人事業主の税負担と法人化後の税負担との差が大きくなります。

具体的には、事業所得が2,000万円の場合、個人事業主では所得税・住民税で約700万円(実効税率35%)の税負担となりますが、法人化して理事長報酬1,500万円+法人所得500万円に分散すると、合計税負担が約550万円程度に抑えられ、約150万円の節税効果が期待できます。特に、整形外科や内科など収益性が高い診療科で、専従者給与を差し引いた後でも年収が2,000万円を超えるケースでは、法人化による節税メリットが顕在化しやすくなります。年収がこの水準に近づいた場合は、早めに税理士や専門家へ相談し、将来のキャッシュフローやライフプランも踏まえた上で検討を進めることが大切です。

売上高・利益から見る法人化タイミング

法人化のタイミングを判断する際には、年収だけでなく、クリニック全体の売上高や営業利益も重要な指標となります。一般的な目安として、年間売上が5,000万円前後、経費を差し引いた後の利益が2,000万円を超える場合、法人化による節税や経営面でのメリットが得やすくなります。売上が増えるとともに、医療機器の減価償却期間終了や経費の増加なども影響して、個人事業主のままでは税負担が重くなりがちです。

また、社会保険診療報酬が5,000万円を超えると、租税特別措置法第26条で認められている概算経費の特例(社会保険診療報酬7,000万円以下の場合に適用可能)が使えなくなるため、このタイミングも法人化判断の一つのポイントとなります。さらに、スタッフ数が5名を超えて組織的な運営が必要になった時や、分院展開を視野に入れ始めた時も、法人化を検討する良いタイミングです。将来的な分院展開や事業承継も見据え、経営指標を定期的にチェックしつつ、最適な時期を逃さないよう注意しましょう。

法人化の適切なタイミングを逃した場合のリスク

法人化の判断を先延ばしにしてしまうと、さまざまなリスクが発生します。まず、個人事業主のまま高い所得を得ていると、累進課税による税負担が増大し、手取りが大きく減少します。例えば、年間所得3,000万円の場合、個人事業主では約1,100万円もの税金を支払うことになりますが、法人化していれば約800万円程度に抑えられ、年間約300万円もの差が生まれます。これが10年続けば3,000万円もの損失となります。

さらに、医療法人化を後回しにすると、規模拡大や分院展開の制約が生じたり、事業承継や相続対策の面でも不利になることがあります。例えば、個人開業医のままでは医院の資産をそのまま家族に引き継ぐことが難しく、相続税や贈与税の負担が重くなるケースも出てきます。また、法人化の手続き自体も、事業規模が大きくなるほど複雑化し、時間やコストがかかりやすくなります。適切なタイミングを逃さないためにも、経営状況や将来のビジョンを早めに整理し、税理士など専門家と連携を図りながら計画的に準備を進めることが重要です。

医療法人化による年収の変化と理事長報酬の設定

医療法人化すると、これまでの個人事業主としての年収の捉え方が大きく変化します。法人化後は理事長報酬や役員報酬の設定、節税効果、家族への所得分散など、報酬体系や税制面で柔軟な選択肢が広がります。ここでは個人開業医と医療法人それぞれの年収の違いや、理事長報酬の設定ポイント、節税メリットについて詳しく見ていきます。

個人事業主と法人化後の年収の違い

個人事業主として開業している場合、クリニックの利益はすべて院長個人の事業所得となり、所得税の累進課税が適用されます。そのため、所得が増えるほど税率が高くなり、手取りが大幅に減ってしまう傾向があります。一方、法人化後は理事長(院長)としての報酬を給与所得として受け取る形となり、給与所得控除が適用されるため、同じ額を受け取っても個人事業主よりも所得税負担が軽くなります。また、法人に一定の利益を残すことで法人税の適用を受け、税率が抑えられる利点があります。

具体的な比較例を見てみましょう。事業所得2,500万円の場合、個人事業主では所得税・住民税で約900万円(実効税率36%)となりますが、法人化して理事長報酬1,800万円+法人所得700万円に分散すると、理事長の所得税・住民税約600万円+法人税約105万円=合計約705万円となり、約195万円の節税が可能です。さらに、家族を役員に任命し報酬を分散することで、世帯全体の税率を最適化できる点も大きな違いです。退職金制度や生命保険の活用も可能になるため、長期的な資産形成や老後の備えにもつながります。こうした仕組みを上手に活用することで、法人化によるトータルの手取り額や将来の資産形成に大きな違いが生まれます。

理事長報酬の決め方とポイント

理事長報酬の設定は、医療法人経営を安定させるために非常に重要なポイントです。報酬額が高すぎる場合、法人に利益が残らず、将来の設備投資や内部留保が難しくなる一方、低すぎると生活費や社会保険料の負担に影響が出るため、適切なバランスを保つことが求められます。一般的には、法人税と所得税・住民税のバランスを見ながら、税率が最も有利になる水準で報酬を設定することが多いです。

具体的な設定例として、事業所得が2,500万円の場合、理事長報酬を1,800万円に設定すると、給与所得控除約200万円が適用され、課税所得は約1,600万円となります。この場合の所得税・住民税は約550万円です。残りの700万円を法人所得として残すと法人税は約105万円となり、合計税負担は約655万円です。また、報酬額を決める際には「同業他社との比較」「生活コスト」「法人の資金繰り」「役員退職金の積立」など、複数の観点から総合的に判断することが大切です。加えて、家族を役員に登用し報酬を分散させることで、世帯全体で手取り額を最大化できる場合もあります。理事長報酬は毎年見直すことも可能なため、税制改正や経営状況の変化に応じて柔軟に調整し、長期的な視点で最適な報酬体系を設計することが成功の鍵です。

節税面での年収メリット

医療法人化によって得られる大きなメリットの一つが、節税に直結する仕組みの多さです。法人化後は、理事長や役員への報酬を適切に配分することで所得分散が可能となり、各人が適用される税率帯を低く抑えながら世帯全体の税負担を軽減できます。例えば、配偶者を役員にして年間600万円の報酬を支給すれば、給与所得控除が適用され、実質的な税負担を大幅に軽減できます。

さらに、法人名義での生命保険加入や退職金の積立も経費として認められるため、将来の資産形成や相続対策にも有効です。また、社宅制度や福利厚生費の充実、会議費や交際費の計上範囲が広がるなど、経費として認められる項目が増え、実質的な可処分所得を増やすことが可能です。節税だけでなく、事業承継や分院展開など将来の経営戦略にも柔軟に対応できる点が法人化の強みといえます。こうした制度を正しく理解し、税理士などの専門家と連携しながら、最適な年収戦略・資産形成を実現していくことが重要です。

開業医が法人化するメリット・デメリット

開業医が法人化を検討する理由は、単なる節税や年収の増加だけにとどまりません。法人化は、医院経営やスタッフ・家族の将来設計、クリニックの持続的な発展にも直結する大きな選択です。メリットとデメリットをしっかり理解することで、自身のライフプランや経営方針に沿った判断ができるようになります。ここからは、法人化する際に知っておきたいメリットや注意点、経営への影響について詳しく解説していきます。

法人化の主なメリット

法人化の最大のメリットは、税制面での優遇と経営の柔軟性が大きく広がることです。まず、所得が高い開業医の場合、個人事業主では所得税が累進課税で最大45%にもなりますが、法人化すれば法人税率は約23%前後となり、年収が増えるほど節税効果が大きくなります。さらに、家族を役員として登用し報酬を分散することで、世帯全体の税負担を抑えられます。また、法人として社会保険や厚生年金に加入できるため、将来の年金受給額も増え、スタッフや家族の福利厚生も手厚くなります。

相続や事業承継の面でも、法人としての資産管理や理事長交代がスムーズになり、家族への負担軽減や円滑な引継ぎが可能となります。加えて、法人として分院展開や介護事業など新たな事業領域にもチャレンジしやすくなり、経営基盤が安定します。生命保険や退職金制度も経費計上できるため、長期的な資産形成や老後資金の確保にもつながる点が大きな魅力です。金融機関からの信用力も向上し、設備投資や事業拡大のための融資も受けやすくなります。

法人化のデメリットと注意点

一方で、法人化には注意しなければならない点も多く存在します。まず、設立時には定款作成や行政への申請、認可手続きなど煩雑なプロセスが必要で、専門家への依頼費用として100万円〜200万円程度、さらに登記費用なども発生します。運営面でも、理事会の開催(年4回程度)や事業報告書・議事録の作成、資産登記など毎年の事務手続きが増え、事務負担が大きくなる傾向があります。

また、医療法人は剰余金の配当や資産の自由な引き出しができない仕組みとなっており、解散時には残余財産が国等に帰属するため、個人の資産として取り戻すことはできません。社会保険・厚生年金への加入義務も生じ、従業員の人件費や法人・個人双方の保険料負担が年間で数百万円増加するケースもあります。さらに、経営が悪化した場合の赤字補填や、個人的な理由による法人解散が難しいなど、法律上の制約や社会的責任も大きくなります。これらの点をしっかり理解した上で、デメリットを最小限に抑えられるよう事前準備や専門家への相談が重要です。

医療法人化後の経営の変化

医療法人化を実現すると、医院経営の透明性と規律が格段に高まります。個人事業主時代に比べ、収支の管理や経費計上のルールが厳格化され、院長個人の財布とクリニックの会計を明確に分離する必要が生じます。この結果、経営状況の可視化が進み、利益や資産の動きを把握しやすくなります。また、スタッフの社会保険や福利厚生が充実することで、従業員のモチベーションや定着率も向上し、医院全体の安定感が増す傾向があります。

分院展開や新規事業への進出も法人名義で行えるため、将来の成長戦略を描きやすくなります。医療法人独自の会計処理や法令順守も求められるため、経営者としての意識改革や、信頼できる事務スタッフ・専門家との連携が一層大切になるでしょう。こうした変化をしっかり受け止め、経営基盤を強化することが安定した医院運営につながります。ただし、都道府県による監督も厳しくなるため、定期的な報告や理事会の適切な運営など、コンプライアンス意識の向上も求められます。

医療法人化の手続きと流れ

医療法人化を進めるには、行政への申請や認可、登記手続きなど複数の段階を踏む必要があります。事前準備からスケジュール管理、専門家選びまで、計画的な進行がスムーズな法人化のカギとなります。ここでは、基本的な流れや必要書類、専門家に依頼する際のポイントを整理します。

法人化の基本的な手続きの流れ

医療法人化の手続きは、まず都道府県の担当窓口や行政へ事前相談を行うことから始まります。その後、設立趣意書や定款、事業計画書など必要書類を整えて設立認可申請を行います。申請後は、行政による審査や補足資料の提出が求められる場合もあり、認可が下りたら法人登記、健康保険や厚生年金の加入手続き、保険医療機関指定の変更申請などを順次進める流れです。全体として3〜6カ月程度かかることが多く、申請タイミングや手続きの進捗によってはさらに期間が延びるケースもあります。

クリニックの診療や経営を止めることなく、余裕をもった年間スケジュールを立て、必要な準備を進めておくことが成功のポイントです。手続きの各段階で行政や専門家と密に連絡を取り、確認・調整を怠らないことがトラブル回避につながります。特に、都道府県によっては年に数回しか受付期間を設けていない場合もあるため、早めの情報収集が重要です。また、診療を継続しながらの移行となるため、患者への説明やスタッフへの周知も計画的に行う必要があります。

必要な書類と手続きスケジュール

医療法人化を円滑に進めるには、多数の書類を正確かつ迅速に準備することが求められます。主な提出書類としては、設立趣意書や定款、事業計画書、資産目録、役員名簿、就任承諾書、履歴書、登記事項証明書などが挙げられます。これらの書類は行政ごとにフォーマットや記載内容が異なり、提出時期がずれる場合もあるため、事前に必要書類一覧や提出スケジュールを確認しましょう。申請内容や書類に不備があると、審査が長引く原因となり、開業時期や経営計画にも影響が出ます。

認可までの期間を見越して余裕をもった事務スケジュールを立て、こまめに進捗を管理することが安心につながります。書類作成や管理に不安がある場合は、早い段階で専門家へ相談し、ダブルチェック体制を整えることも大切です。特に、財務諸表や事業計画書は、単なる形式的な書類ではなく、法人化後の経営方針を示す重要なドキュメントとなるため、現実的かつ実現可能な内容で作成することが求められます。

専門家に依頼する場合のポイント

医療法人化の手続きは、法的な知識や行政手続きの経験が不可欠なため、税理士や行政書士、社会保険労務士などの専門家にサポートを依頼することが一般的です。依頼先を選ぶ際は、医療法人設立や運営に精通した専門家を選ぶことが重要です。過去の実績や対応範囲、料金体系、サポート体制などを事前に確認し、信頼できるパートナーと二人三脚で進めましょう。専門家に依頼することで、書類作成や行政対応の負担が軽減されるだけでなく、節税や社会保険、福利厚生、相続対策など幅広いアドバイスが受けられるメリットもあります。

定期的な打ち合わせや進捗報告を通じて、法人化後も継続的な経営支援を受けていくことが、長期的な医院運営の安定につながります。専門家への報酬は、設立時で100万円〜200万円程度、顧問契約を結ぶ場合は月額5万円〜15万円程度が相場ですが、法人化による節税効果を考えれば、十分に元が取れる投資といえます。複数の専門家から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較検討することをお勧めします。

社会保険・福利厚生・相続対策と資産形成

法人化は社会保険や福利厚生の拡充だけでなく、相続対策や将来の資産形成にも大きく影響します。経営者自身だけでなく、家族やスタッフの安心やクリニックの持続可能性にも関わる重要なテーマです。ここから、法人化に伴う社会保険・福利厚生、事業承継、資産形成のポイントについて具体的に解説します。

法人化による社会保険・福利厚生の変化

法人化すると、これまで任意だった社会保険や厚生年金への加入が強制となり、理事長や役員、スタッフすべてが健康保険・年金の対象となります。これにより、将来的な年金受給額が国民年金の場合(満額で月額約6.8万円)よりも大きくなり(厚生年金で月額15万円〜25万円程度)、医療費の自己負担も軽減されるなど、経済的な安心感が高まります。また、福利厚生も充実させやすくなり、社員旅行や健康診断、各種手当やレクリエーション費用などを経費に計上できる範囲が広がります。

スタッフのモチベーションや職場への満足度も向上し、優秀な人材の定着や採用競争力の強化にもつながります。法人としての信用力も上がるため、金融機関からの資金調達や分院展開にも有利です。こうした環境整備が、長期的な医院経営の安定と成長の土台となります。ただし、社会保険料の負担も増加するため(理事長年収1,800万円の場合、年間約250万円)、キャッシュフローへの影響も考慮する必要があります。

医療法人化と相続・事業承継のポイント

個人開業医のままでは、院長に万一のことがあった場合、医院の資産や事業を家族へスムーズに引き継ぐことが難しい場合があります。医療法人化を行うことで、理事長交代や役員変更といった法人内部の手続きだけで事業承継が可能となり、相続税や贈与税の負担も軽減されやすくなります。特に、認定医療法人の制度を活用すれば、持分放棄による税額控除や、相続税の大幅な減免が受けられるケースもあります。法人名義で資産を管理することで、個人の財産と切り分けた運営ができ、家族が円滑に事業を引き継ぎやすくなります。

事業承継や相続対策は早めの準備が重要なため、将来の後継者や家族構成、医院のビジョンも踏まえて計画的に進めていくことが大切です。例えば、子供が医師である場合、早期に理事として参画させ、段階的に理事長職を引き継ぐことで、スムーズな事業承継が実現できます。また、医療法人化により、個人資産と事業資産を分離できるため、相続時の財産分割でのトラブルも避けやすくなります。

法人化による長期的な資産形成のポイント

法人化は、長期的な資産形成を目指す上でも大きな選択肢となります。法人名義で生命保険に加入し、保険料を経費として計上することで、将来の退職金や遺族保障の準備がしやすくなります。また、法人として退職金規定を設ければ、勇退時に多額の退職金(例:勤続30年で3,000万円〜5,000万円)を受け取り、個人の所得税・住民税負担を抑えながら(退職所得控除により実効税率10%以下)老後資金を確保することが可能です。内部留保や設備投資、福利厚生制度の拡充なども法人経営ならではの資産形成手法です。

資産形成は単なる蓄財だけでなく、経営者自身や家族の安心、従業員の幸せにも直結します。税制や社会制度の動向にも注意しつつ、専門家のアドバイスを受けながら、短期・中長期の両面で無理のない資産形成プランを描きましょう。例えば、法人で不動産を取得し、理事長社宅として活用することで、家賃を経費計上しながら資産形成することも可能です。ただし、過度な節税スキームは税務リスクを伴うため、税理士と相談しながら適切な範囲で進めることが重要です。

開業医の法人化に関するよくある質問

開業医の法人化について、多くの方が同じような疑問を持っています。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。

Q1. 年収いくらから法人化を検討すべきですか?

一般的には、事業所得が1,800万円〜2,000万円を超えた時が法人化を検討する目安とされています。この水準を超えると、個人事業主の所得税率(最大50%)と法人税率(約23%)の差が大きくなり、節税効果が顕著になります。ただし、診療科や経営状況によって最適なタイミングは異なるため、税理士に相談して具体的なシミュレーションを行うことをお勧めします。

Q2. 法人化すると年収は減りますか?

法人化によって理事長個人が受け取る報酬額は減る可能性がありますが、法人に利益を残すことで、トータルの手取り額は増えるケースが多いです。また、家族への所得分散、退職金制度、福利厚生の充実など、長期的に見ればメリットが大きくなります。短期的な年収だけでなく、生涯収入や資産形成の観点から判断することが重要です。

Q3. 法人化の手続きにどのくらいの費用がかかりますか?

法人化の費用は、専門家への報酬(100万円〜200万円程度)、登記費用(15万円〜30万円程度)、その他諸経費を合わせて、合計150万円〜250万円程度が目安です。また、法人化後も税理士顧問料(月額5万円〜15万円)、社会保険労務士報酬などのランニングコストが発生します。ただし、節税効果がこれらのコストを上回るケースが多いため、トータルで考えれば十分に元が取れる投資といえます。

Q4. 法人化すると社会保険料の負担はどのくらい増えますか?

法人化により、理事長や従業員は厚生年金・健康保険への加入が義務となります。理事長報酬が1,800万円の場合、社会保険料(法人負担分+個人負担分)は年間約500万円程度となります。ただし、将来の年金受給額が大幅に増加(国民年金のみの場合と比べて2〜3倍)するため、長期的には有利といえます。

Q5. 一度法人化したら、個人事業に戻すことはできますか?

法律上は可能ですが、実務上は非常に困難です。医療法人を解散するには、都道府県知事の認可が必要であり、残余財産は国等に帰属するため、実質的に個人に戻すことはできません。また、解散手続きも煩雑で時間とコストがかかります。そのため、法人化は慎重に判断し、一度法人化したら基本的には継続する前提で考える必要があります。

Q6. 診療科によって法人化のタイミングは違いますか?

はい、診療科によって収益性や経費構造が異なるため、法人化の最適なタイミングも変わります。例えば、整形外科や眼科など設備投資が大きい診療科は、減価償却期間終了後の利益増加を見越して法人化を検討することが多いです。一方、内科や小児科など比較的早期に安定収益が見込める診療科は、開業後3〜5年で法人化を検討するケースもあります。自院の経営状況に応じた判断が重要です。

まとめ|開業医の法人化は年収・タイミング・手続きの総合判断が重要

開業医の法人化は、節税や年収面のメリットだけでなく、経営の安定化、社会保険や福利厚生の充実、将来の相続や資産形成まで幅広く影響します。年収(事業所得)が1,800万円〜2,000万円を超えたタイミングで法人化を検討し始めるのが一般的ですが、診療科や経営状況、家族構成、将来のビジョンなど、あらゆる要素を総合的に考慮することが重要です。法人化により年間150万円〜300万円程度の節税効果が期待できる一方、社会保険料の増加や事務負担の増加などのデメリットもあるため、専門家と連携しながら、納得のいく判断を重ねていくことが大切です。医院・家族・スタッフの幸せを見据え、後悔のない法人化を実現してください。

この記事を書いた専門家(アドバイザー)

著者情報 柴田雄一

株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役

米国MBA留学後大手経営コンサルティング会社を経て2004年当時では珍しかった医業経営コンサルティングに特化したニューハンプシャーMCを設立。20年以上にわたる深い知見とユニークな視点からの具体的な支援がクライアントからの高い信頼を獲得し続けている。またそのユニークな視点を言語化した医業のマーケティング、スタートアップ(開業)、マネジメントをテーマにしたプロフェッショナルシリーズをそれぞれ出版し、影虎(本の登場人物の経営コンサルタント)ファンも数多い。
南ニューハンプシャー大学経営大学院(MBA)卒

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