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クリニックの継承者の探し方は?いない場合の対処法や第三者継承を紹介

クリニックを引き継いでくれる「承継者」が見つからない――そんな悩みを抱える院長先生は少なくありません。長年かけて築いた地域の信頼やスタッフとの関係を絶やしたくないと思っても、後継ぎ探しは簡単ではないですよね。
この記事では、クリニックの承継者を見つけるための具体的な探し方や、身近に後継者がいない場合の対処法を紹介します。また、最近注目されている「第三者承継」という新しい選択肢や、スムーズに承継を進めるための準備ポイントについてもわかりやすく解説します。
「どこから探せばいいのか」「誰に相談すれば良いのか」と悩む院長先生が、次の一歩を踏み出すきっかけになる内容になっています。ぜひ参考にしてください。

クリニックの承継者を探す前に知っておきたいこと

クリニックの承継を考え始めたとき、まず理解しておきたいのが「承継には時間がかかる」という現実です。経営の引き継ぎは数か月で終わるものではなく、準備期間を含めると数年単位になることもあります。だからこそ、早めに動き出すことがスムーズな承継への第一歩になります。
さらに、承継は単なる「引き継ぎ」ではなく、地域医療を未来へつなぐ大切なプロセスといえます。経営面・人間関係・法的手続きが複雑に関わるため、流れを理解しておくと安心して進められます。

なぜ今、承継準備が必要なのか

医療業界では近年、院長の高齢化とともに後継者不足が深刻化しています。特に地方では承継先が見つからず、地域医療が途絶えるケースも増えています。もし準備を後回しにすると、突然の体調不良や家族の事情によって、廃業を余儀なくされる可能性もあります。
早めに準備を始めることで、後継候補をじっくり検討でき、職員や患者への影響も最小限に抑えられます。さらに、時間的余裕があると税金対策や契約条件の調整も柔軟に行えます。将来を見据えた承継計画は、クリニックと地域の両方を守るために欠かせない準備になります。

承継を成功させるための基本的な流れ

クリニック承継の流れを知っておくことで、何をいつまでに行うべきかが明確になります。大まかなステップは以下の通りです。
  1. クリニックの現状把握(経営・人材・設備の確認)
  2. 承継方針の決定(親族・勤務医・第三者など)
  3. 承継者候補との面談・条件調整
  4. 譲渡契約書など法的手続きの準備
  5. 職員・患者への説明と引き継ぎ開始
この流れを踏むことで、感情的なトラブルや手続きの混乱を防ぎやすくなります。特に第三者への承継を考える場合は、契約内容や条件調整が複雑になるため、専門家への相談を早い段階で検討しておくことが大切です。

クリニックの承継者の探し方

クリニックの承継者を探す際は、「身近な人から探す方法」と「外部の専門機関を活用する方法」の2つが軸になります。承継の形によって準備や交渉の進め方も異なるため、自院に合った探し方を選ぶことが重要です。
探し方のポイントをまとめると以下の通りです。
  • 信頼関係のある人材から候補を探す
  • M&A仲介会社や専門サイトを活用する
  • 医師会・金融機関・行政などのネットワークを利用する
それぞれの方法にメリットと注意点があるため、目的や状況に応じて選択することが承継成功のポイントになります。

親族・勤務医・スタッフから後継を見つける方法

最も自然な承継の形は、家族や勤務医など、すでに関係のある人に引き継ぐ方法です。親族承継の場合は信頼関係を前提に話を進めやすい一方で、相続や資産分配の調整が課題になることもあります。
勤務医やスタッフから後継を選ぶ場合は、日常業務を通じて能力や人柄を把握できる点が大きな強みです。ただし、経営を任せる覚悟を持ってもらうためには、早い段階で意思確認を行い、教育や経営ノウハウの共有を進める必要があります。
どの方法を選ぶにしても、信頼と誠実な話し合いが承継成功のカギになります。相手の意思を尊重しながら、時間をかけて準備することが大切です。

第三者から承継者を探すには?

身近に引き継ぎ手がいない場合、第三者への承継を検討するケースが増えています。第三者承継とは、血縁や勤務関係のない医師や医療法人に事業を引き継ぐ方法です。この方法では、経営基盤の強化や地域医療の継続が期待できます。
第三者承継では、候補者を見つけるまでの期間がやや長くなる傾向があります。そのため、医療M&Aを扱う専門業者やマッチングサイトを利用して、信頼できる相手を探すのが一般的です。また、譲渡金額や契約条件を明確にしておくことで、トラブルを防ぐことにもつながります。
第三者承継は「最後の手段」ではなく、次世代へクリニックを託す新しい形として注目されています。地域医療を守るという意味でも、前向きに検討する価値があります。

M&A仲介会社やマッチングサイトを活用するコツ

第三者への承継を考える場合、M&A仲介会社や医療専門のマッチングサイトを活用するのが効果的です。これらのサービスを利用すれば、希望条件に合った候補者や医療法人を見つけやすくなります。
活用のポイントは次の通りです。
  • 医療業界に詳しい専門会社を選ぶ
  • 自院の強みや魅力を正確に伝える
  • 複数社を比較し、費用や対応の違いを確認する
M&A仲介会社に相談することで、候補者の紹介だけでなく、契約書の作成や交渉のサポートも受けられます。専門家が間に入ることで感情的な行き違いを防ぎ、客観的な判断がしやすくなります。
また、オンラインのマッチングサイトでは、自分のペースで複数の候補を比較検討できる点も大きな魅力です。信頼できるパートナーと協力すれば、納得のいく承継を実現しやすくなります。

医師会・金融機関・専門家に相談するメリット

承継を進める際には、医師会や金融機関、税理士などの専門家に相談することも欠かせません。医師会は地域の医療ネットワークを持っており、信頼できる医師を紹介してもらえる場合があります。
金融機関では、承継資金の調達や譲渡価格の妥当性を確認してもらえることもあります。また、税理士や行政書士は譲渡契約や税務の処理に関する専門的なアドバイスを提供してくれます。
それぞれの専門家に早い段階から相談しておくことで、承継全体の見通しが立てやすくなります。信頼できる相談先を複数持つことが、安心して承継を進めるための支えになります。

クリニックの承継者がいない場合の選択肢

承継者が見つからない場合でも、クリニックを存続させる方法はあります。近年では、第三者承継や医療法人への譲渡など、さまざまな選択肢が広がっています。重要なのは、「どんな形であってもクリニックを継続させたい」という思いを持ち続けることです。
こうした新しい選択肢をうまく活用すれば、地域医療を守りながら、自分の想いを次の世代へつなげることができます。

第三者承継という新しい選び方

第三者承継とは、親族や勤務医ではない医師や法人にクリニックを引き継ぐ方法です。以前は「親族以外に譲るのは不自然だ」と考える院長も多くいましたが、現在では医療現場でも一般的な選択肢として広まりつつあります。
この方法の大きなメリットは、経営能力や医療方針が自院と合う相手を選べることです。また、後継者がいない場合でもクリニックを残せるため、スタッフの雇用や患者への医療提供を継続できます。
ただし、第三者承継では条件交渉や契約の透明性がとても重要です。信頼できる専門家のサポートを受けながら、納得のいく形で進めることが成功のポイントになります。

廃業を回避するための最終手段

どうしても承継が難しい場合、クリニックの資産や経営を譲渡することで廃業を回避できるケースもあります。たとえば、地域の医療法人や新規開業を目指す若手医師に施設や設備を引き継いでもらうことで、医療の継続が可能になります。
また、同業の医師と協力し、共同経営の形を取るという選択もあります。廃業は最終的な手段ではありますが、その前に相談できる機関や支援制度は多く存在します。焦らず、現実的な方法を見極めながら進めることが大切です。

スムーズに承継を進めるための準備と注意点

承継をスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。特に経営情報の整理や法的なリスク管理を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。ここでは、承継準備の際に意識しておくべきポイントを紹介します。
  • 経営状況や資産の見える化を進める
  • 法務・税務のリスクを洗い出す
  • 専門家と連携して計画的に進める
承継は短期間で完了するものではありません。段階的に準備を進めることで、より円滑な引き継ぎが実現します。

経営情報・財務データの整理方法

まず取り組むべきは、クリニックの経営状態を正確に把握することです。収益構造やコスト、患者数、スタッフ体制などを整理することで、承継後の経営計画を立てやすくなります。
具体的には、財務諸表や契約書、医療機器のリース状況などを一つのフォルダにまとめておくと良いでしょう。また、経営上の課題を明確にしておけば、譲渡時の交渉を有利に進められます。
こうした情報整理は、承継者にとっても安心材料になります。経営の「見える化」を進めることで、信頼関係の構築にもつながります。

契約や税金など法的リスクへの対処

承継の際は、契約や税金に関するトラブルを防ぐための準備も重要です。譲渡契約書の作成や譲渡価格の設定は慎重に行う必要があります。
たとえば、クリニックの資産価値を過大または過小に評価してしまうと、譲渡後に不満やトラブルが生じるおそれがあります。また、所得税や贈与税の処理を誤ると、余計な税負担が発生してしまうこともあります。
こうした法的なトラブルを避けるには、医療承継に詳しい弁護士や税理士へ早めに相談するのが安心です。専門家の力を借りることで、安心して承継を進めることができます。

専門家チームに依頼するタイミング

承継を円滑に進めるためには、専門家へ依頼するタイミングがとても重要です。多くの院長先生が「ある程度話が進んでから相談しよう」と考えがちですが、実際はもっと早い段階で動いたほうが結果的にスムーズになります。
税理士・弁護士・M&A仲介会社などの専門家は、それぞれ異なる視点から支援を行います。早めにチームを組むことで、契約内容の整合性や税務面のリスクを事前に把握でき、後からの修正を減らすことが可能です。
さらに、承継計画の全体像を整理してもらうことで、自身の希望と現実のギャップを埋めやすくなります。専門家を「最初からの伴走者」として頼ることが、安心して次のステップへ進むための大きな力になります。

クリニック承継の成功事例から学ぶポイント

承継を成功させたクリニックの実例を知ると、自分のケースに置き換えて考えやすくなります。ここでは、親族承継と第三者承継、それぞれの成功事例から学べるポイントを紹介します。

親族承継が上手くいったケース

ある個人クリニックでは、院長の長男が医学部を卒業後、勤務医として経験を積み、5年後に正式な承継を行いました。このケースでは、早い段階から親子で話し合いを重ね、経営の数字や方針を共有していたことが成功の要因でした。
承継前に親子で共同診療を行い、患者にも自然に代替わりを理解してもらえたため、混乱はほとんどありませんでした。親族承継は、信頼関係と時間的な余裕を活かせる点が大きな強みです。早い段階で意思確認と教育を進めることが、円滑なバトンタッチにつながります。

第三者承継で医院を存続させた例

一方、地方都市の内科クリニックでは、承継者が見つからず閉院を検討していた院長が、医療M&A会社を通じて若手医師と出会いました。面談を重ねる中で診療方針や地域医療への考え方が一致し、第三者承継を実現しました。
この事例では、医療法人がバックアップに入り、承継後の経営サポートも行いました。その結果、スタッフの雇用が守られ、地域医療も継続しています。
このように、第三者承継は「譲る側」と「受ける側」の価値観を丁寧にすり合わせることが成功のポイントです。信頼できる仲介者の支援を受けながら、双方が納得できる形を目指すことが大切です。

まとめ

クリニックの承継は、単なる経営の引き継ぎではなく「医療を未来へつなぐ」大切な取り組みです。親族・勤務医・第三者、どの形を選ぶとしても、早い準備と誠実な話し合いが成功の基盤になります。
承継者探しの方法には、身近な関係からの紹介やM&A仲介会社の活用、医師会など専門機関への相談など、いくつもの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、自院に合った方法を選ぶことが大切です。
また、経営情報の整理や法的リスクの確認を進めることで、引き継ぎ時のトラブルを防げます。専門家チームと協力しながら、自分の想いを形にしていく姿勢が、安心してクリニックを託すための最良の道になります。
最後に、どの選択をしても「地域医療を守りたい」という想いは共通しています。未来へ安心してバトンを渡せるよう、今日から一歩を踏み出してみましょう。
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