導入院長インタビュー


新潟でクリニック開業、 「失敗しない開業」を実現した秘訣

新潟三条ささき内科・消化器内科クリニック
佐々木一之院長インタビュー

クリニック開業は医師にとって人生の一大決断です。開業後に「失敗しない」ためにはどんな視点が必要なのでしょうか。新潟県三条市でクリニック開業に踏み切り、現在は月間約1,600名の患者さんが訪れる盛況ぶりを実現した佐々木一之院長に、開業までの道のりと開業コンサルタントとの取り組みについて伺いました。

医師として理想のクリニック像を描き、信頼できる開業支援のパートナー選びから開業準備、そして開業後の経営まで――その体験から、「クリニック開業で失敗しないためのポイント」が見えてきます。記事の最後には、これから開業を目指す先生方への力強いメッセージもいただきました。

開業を決意したきっかけ

Q. 開業を考え始めたきっかけは何でしょうか?

「一番のきっかけは、長男にハンディキャップがあったことです。もともと地元ではない新潟の地で、自分の生業(なりわい)となるものを創りたいという思いがありました。
またもう一つの理由として、新潟県は人口当たりの医療施設が非常に少なく、地域医療構想で病院の統廃合が進む中で、開業によって地域の医療需要の受け皿になりたいという強い思いもありました。

ちょうどいくつかのタイミングが重なり、「ここで独立開業しよう」と決心しました。さらに、将来的には障がい者の就労支援施設にチャレンジしてみたい気持ちもあり、自ら独立してクリニックという形でビジネスを立ち上げようと考えたんです。

理想のクリニック像と
待ち時間ゼロへのこだわり

Q. 理想のクリニックを思い描く中で、課題や不安に感じたことはありましたか?

私の理想のクリニック像は、まず「待たないクリニック」であることでした。長男の医療体験から強く感じたことでもありますが、新潟では受診してから2~3時間待つのが当たり前という状況があります。患者さんを長時間お待たせしないクリニックにしたい――これはクリニック開業にあたって最も重視した点です。

また「患者さん、スタッフ、そして自分自身の時間を大切にするクリニック」にしたいとも考えました。時間は限られた資源ですから、無駄を省き効率的で質の高い医療提供を行いたいという思いが強かったですね。

Q.その理想を実現するために、具体的に
工夫したことはありますか?

予約の導線や予約システム、患者さんの動く動線を徹底的に考えました。その中で特にこだわったのが院内処方にすることです。院内処方とは患者さんが診察を受けた医療機関でそのまま薬を受け取る方式のことで、院外処方(処方箋を持って薬局に行く方式)に比べて患者さんの待ち時間や負担を減らせます。

クリニック側にとっては薬の在庫管理など手間もかかりますが、患者さんの時間と経済的負担の両方を節約できるメリットがあります。自分自身の理想実現のため、多少手間がかかっても院内処方を採用しました。このように理想のクリニックに近づけるための工夫を重ねる一方で、その実現には様々な課題が伴うとも感じていました。

開業コンサルタントに依頼した理由

Q. 開業準備を進める中で、開業コンサルタントを必要としたのはなぜですか?

独立を決めた当初は、自分でできることは全てやろうと考えていました。実際に開業関連の本を何冊も買い込み、事業計画書も自分で作成して銀行に持ち込んだんです。
しかし、土地を購入し建物を建てるという大きな計画だったため、予想以上に総工費がかかる見込みでした。そうした中で銀行の担当者から「クリニック開業コンサルタントを付けてみてはどうですか?」と言われたんです。その一言で、自分一人の力だけでは難しい部分もある、専門の力が必要だと理解しました。

また、私の父が会社経営者なのですが、「有益な情報はお金を払ってでも買うべきだ」と教わって育ちました。開業コンサルタントに支払うフィーも事業規模から見れば妥当な金額でしたし、父に相談したところ「それだけの価値があるなら支払うべきだ」と背中を押されました。そういった経緯で、専門の開業コンサルタントに依頼する決意を固めたんです。

Q. 開業コンサルタントはどのように探されましたか?

正直なところ、最初はどのように探せば良いか⼿探りでした。調べてみると、建築会社や医療機器の卸業者、薬局チェーンなど、様々な所が「開業コンサル」のサービスを提供しているんですよね。それぞれにメリット・デメリットがありますが、私⾃⾝こだわりが強く「独創的なクリニックを作りたい」という思いがありました。

ですから、自分の理想に真剣に寄り添って自由にやらせてくれる信頼できる開業コンサルタントを選ばなければいけないと感じていたんです。

インターネット検索で開業コンサル会社を調べたり、実際にコンサルタントを利用した他の開業医の先生に話を聞いたり、口コミサイトや開業ノウハウ本を読んだりと、あらゆる手段で情報収集しましたね。

中には実際にお会いした際に営業の押しが強すぎて合わないなと感じる方もいました。ですから最初はできるだけふんわりと情報に触れるところから始めたいと思い、本を読んだりセミナーに参加したりするなどして雰囲気を掴むなど、慎重にステップを踏んでいきました。

しかしハウスメーカー系でも医療機器系でも薬局系でも、自分のやりたいこと全てにマッチする相手がおらず、「どうしたものかな」と悩んでいました。

そんな時、たまたま大学時代のラグビー部同期から連絡がありまして、その友人に紹介されたのが柴田さん(ニューハンプシャーMC代表)の著書『“開業”プロフェッショナル』と『“集患”プロフェッショナル』でした。早速その本を読んでみたところ、小説仕立ての構成で非常に読みやすく、それでいておそらく実体験に基づいた理論で内容が固められており、「これはすごい」と圧倒されましたね。

他の開業本とは一線を画す内容でしたし、何より著者は特定の建築や機器・薬局などのしがらみがない独立系のコンサルタントだという点も、自分のニーズに合致しました。この出会いが決め手となり、「この方に相談してみよう」と思ったんです。

初めての面談で受けた衝撃のアドバイス

Q. ニューハンプシャーMCの柴田さんと初めて会った時の印象はいかがでしたか?

初回面談の日のことは今でもよく覚えています。実は私、とても緊張して臨んだんです(笑)。柴田さんの本を2冊とも熟読していて、その本の中に登場するコンサルタント「影虎さん」の本物に会うわけですから、「一体どんな方が来るのだろう」と期待と緊張で前日からそわそわしていました。

普段は滅多にスーツを着ない私ですが、その時ばかりはスーツにネクタイで身支度を整え、独立を決めた記念に奮発して購入した腕時計も付けて臨みました。銀行から融資を引き出すためにも経営者としてきちんとした身なりでいよう、と気持ちを引き締めていたんです。
実際にお会いした柴田さんは、こちらが想像していた雰囲気とは良い意味で違っていましたね。

とても穏やかながら芯のある方だと感じました。面談の中で衝撃を受けたのは、「ライフプランを作成した方がいいですよ」とアドバイスされたことです。開業の相談に行ったはずが、いきなり「佐々木先生が80歳になった時、どんな生活を送っていたいですか?」「あなたにとって幸せとは何ですか?」と質問されたんです。

一瞬答えに詰まりましたが、この問いにはハッとさせられました。自分の人生最終章まで見据えて逆算しなければ、開業後の幸せな人生も描けない——そんな視点を与えられた気がします。その質問への答え方で「開業後どのくらい頑張る必要があるか」が見えてくる、と言われまして、「なるほど、ここまで深く考えて計画するのか」と目からウロコが落ちました。

コンサルタントへの期待と現実

Q. コンサルタントに依頼する際、どんな期待や不安がありましたか?

実は依頼の前に柴⽥さんの本を隅々まで読み込み、「このストーリーのように⾃分を鍛えてくれるかもしれない」という期待がありました。開業コンサルタントというと事務⼿続き代⾏のようなイメージもあるかもしれませんが、柴⽥さんにお願いすれば経営者として厳しく指導してもらえるのではと考えたんです。

⼀⽅で、建築会社や機器業者などと違って利害関係がない独⽴系のコンサルタントである点は⼤きな安⼼材料でした。第三者的な視点で本当に必要なアドバイスをくれるだろうと信頼してお願いしています。特段⼤きな不安はなく、「これで⾃分の開業に万全のパートナーができた」という⼼強さの⽅が⼤きかったですね。

Q. 実際に開業支援サービスを利用してみて、どんな印象を持ちましたか?

私のクリニックの開業⽀援サポートスタッフの⽅は、こちらの質問に対し即座に的確な回答をくださる頼もしい⼈でした。開業準備で発⽣する様々なタスクについて知識も経験も豊富で、特に費⽤の相場感を的確に把握されている点に驚きましたね。

「この業務をアウトソーシングすると⼤体これくらいのコストがかかる」「この地域でこの規模のクリニックなら、この設備にこれくらい投資するのが相場」といった具合に、全国的な事例を踏まえた数字感覚をお持ちなんです。新規開業をする過程では意思決定の連続です。

様々な業者(⼈)が関わる新規開業で、経営の素⼈である私たちが不安に思う点の⼀つに「適正な価格でモノやサービスが受けられるのか」ということがあります。ただ、サポートスタッフさんのおかげで常にコスト感が適切か判断できましたし、「それは全国的に⾒ても⾼いですね」「これは安いくらいです」といった客観的なアドバイスをもらえたので安⼼して何でも相談できました。

「伴走型」コンサルティングで得られたもの

Q. コンサルタントからの支援で、特に助けになったことは何ですか?

開業準備の期間、あらゆる局⾯で本当に助けていただきました。まず精神的なマインドセットやビジョンの整理から、複数業者への相⾒積もりの取り⽅・選定⽅法、効果的なマーケティング⼿法、スタッフ採⽤計画の⽴て⽅に⾄るまで、経営者として下すべきあらゆる決断について相談できたことは⼤きかったです。

もちろん最終的に決断するのは⾃分⾃⾝ですが、その過程で専⾨家の意⾒を聞き客観的なデータや尺度を⽰してもらえるので、⾃分の選択が平均より上なのか下なのかも含めて判断材料が増え、迷いが減りました。おかげで常に⾃信を持って決断し前に進むことができましたね。さらに、開業準備中から開業後にかけて困った時には電話やメールですぐ相談に乗ってもらえたのも⼼強かったです。

ただし、⽀援を受けるとはいえ何もかもお任せというわけではありません。実際、コロナ禍真っ只中の開業準備で物理的な距離もあったため、サポートスタッフさんに現地に来ていただく機会が限られ、⾃分で動かなければならない場⾯も多々ありました。でも逆に⾔えば、それが⾃分の⾎⾁になったと感じています。

必要に迫られて⾃分で⽴ち回った経験のおかげで、「たとえ逆境が来ても⾃分で切り拓いていける」という覚悟と⾃信が⾝につきました。コンサルタントは常に伴⾛者として寄り添い⽀えてくれましたが、最終ゴールに向けて実際に⾛るのは⾃分⾃⾝なんだ、と実感できたことは⼤きな財産です。

自分で決断する大切さと「失敗しない開業」の真意

Q. 開業準備を通じて、当初のイメージと違っていたことはありますか?

振り返ってみると、想像以上に「⾃分で決断しなければいけないこと」が多かったですね。もちろんコンサルタントから助⾔はありますが、業者選定にしても融資交渉にしても物件オーナーとの調整にしても、最終的には院⻑である⾃分が判断を下して動かしていく――その積み重ねでした。
幸い私は事前に柴⽥さんの書籍を熟読していたことで、そういう覚悟はできていました。もし何も読まずにいきなり依頼していたら、「もっと全部やってほしい」と不満に思ってしまったかもしれません。でも、何でも⼈任せにしてしまったら⾃分⾃⾝の成⻑にはつながらなかったでしょう。
開業医として経営者の⽴場に⽴てば、スタッフをマネジメントし患者さんを診療する傍ら、経営判断もし続けなければなりません。開業準備の段階で⾃ら考え決断するトレーニングができたことは、そのまま開業後の糧になっています。
柴⽥さんの書籍の中で、開業医が⾃分のクリニックをどう発展させるかアイデアを練るシーンがありますが、まさに「経営者マインド」をもって臨むことの⼤切さを学び、実体験として⾝につけることができました。何でもかんでもコンサルタント任せではなく、⾃分で舵取りできているという安⼼感もあります。
ニューハンプシャーMCさんの掲げるコンセプトに「失敗しないクリニック開業」というものがありますが、私はまさに開業準備を通じてそれを体現できたと思います。開業には不確実性やリスクがつきものですが、「失敗しない」ためには院⻑⾃⾝が成⻑し、正しい判断⼒を⾝につけることが不可⽋です。
コンサルタントはおせっかいなくらいサポートはしてくれますが、決してなんでも丸抱えで代⾏してしまう存在ではありませんでした。そのおかげで、開業後に直⾯する様々な課題にも⾃分で⽴ち向かえる⼒がついたと感じています。

逆に「全部コンサルタントにやってほしい」というスタンスの医師の場合、開業後に思わぬ困難が次々に押し寄せて挫折してしまうかもしれません。開業準備段階から経営者として⾃⽴する意識を持つこと――これこそがクリニック開業で失敗しないための重要な視点だと実感しました。

開業後の手ごたえと継続支援

Q. 開業後、経営は順調にスタートしましたか?

おかげさまで開業直後から多くの患者さんに来ていただきました。開業して最初の10⽇間で延べ約270⼈の患者さんが受診され、⼿応えを感じましたね。現在では⽉間で1,600⼈前後と、想定以上の患者さんにご利⽤いただいています。

事前に⾏った診療圏調査のデータを上回るペースで推移しており、⾃分でも驚くほどです。ありがたいことに地域の皆様に受け⼊れていただけた結果ですが、時には忙しすぎて嬉しい悲鳴を上げることもあります(笑)。

Q. 開業後も経営面でサポートやアドバイスを受けていますか?

はい、開業後も継続して経営⽀援のコンサルティングをお願いしています。経営が軌道に乗った後も、定期的に⾯談(経営カンファレンス)を⾏い、売上や利益率などの数字⾯のチェックから将来の戦略まで相談に乗ってもらっています。印象的なのは、開業後もまず「あなた⾃⾝の幸せの根っこはどこにありますか?」と問いかけられることです。

つまり「何があってこそ⾃分は幸せなのか」を常に考えさせられるんです。そのうえで、「理想とする⽣活を実現するにはクリニックの売上がどのくらい必要なのか」「今あるお⾦をプライベートで使っていいのか、あるいはクリニック経営のために再投資すべきか」といった具体的なアドバイスをいただいています。

こうした指導を受けることで、単にクリニックを儲けさせること⾃体が⽬的なのではなく、⾃分の⼈⽣プランに沿って経営を考えるようになりました。財務に明るいプロに定期的に⾒てもらえるのは⾮常に⼼強いですね。おかげさまで現在、当院の経営は順調そのものです。

将来の展望:内視鏡をさらに強みに

Q. 今後、クリニックをどのように発展させていきたいとお考えですか?

当院はクリニック名にある通り消化器内科・内視鏡を専⾨としています。将来的にはこの内視鏡検査の件数をさらに増やし、地域⼀番の内視鏡クリニックとしての役割を強めていきたいですね。
ただし開業当初から内視鏡ばかりに注⼒したわけではありません。実は経営の安定を図るため、開業から2年半ほどは⾼⾎圧や糖尿病などの⽣活習慣病や難病指定の消化器疾患など、継続受診が必要な慢性疾患の患者さんにも幅広く⼒を⼊れてきました。というのも、経営カンファレンスで柴⽥さんたちに相談した際に「内視鏡検査が中⼼のクリニックは患者数に波がある」とアドバイスを受けたからです。
実際、コロナ禍では内視鏡中⼼のクリニックが患者減で苦戦しているケースもあり、その話を聞いて驚きました。私⾃⾝、「失敗しない経営」を⽬指していましたから、経営を安定させる⼟台としてまずは地域のプライマリケア医として多くの患者さんに来てもらえる体制を築いたわけです。
その結果、現在では⽉900⼈近くの慢性疾患の患者さんが定期的に来院されています。この基盤があるからこそ、これから内視鏡検査にもさらに注⼒していけると考えています。当院の施設や設備も、将来的に内視鏡検査件数を増やしても対応できるような設計にしてあります。今後は強みである内視鏡の分野で地域貢献しつつ、安定経営とのバランスを取りながらクリニックを発展させていきたいです。

開業を目指す医師へのメッセージ

決断を失敗に終わらせないためには情報収集が肝心

開業は医師⼈⽣の中でもものすごく⼤きなライフイベントです。ご結婚された直後やお⼦さんが⽣まれたタイミングで独⽴を考える先⽣も多いでしょうし、まさに⼈⽣の岐路に⽴つ決断だと思います。

その決断を失敗に終わらせないためには情報収集が肝⼼ですが、本当に⼤事な情報というのは残念ながらネット上に落ちているものではありません。私は「価値ある情報はお⾦を払ってでも得るべきだ」という信念で開業に臨みました。そして実際に、⾃分が⽀払った以上の価値あるサポートと知⾒を得ることができ、⼤変満⾜しています。

開業には不安がつきものですが、信頼できる専⾨家の⼒を借りながら進めることで必ず道は拓けます。これから開業を⽬指す先⽣⽅も、ぜひ良きパートナーと出会い、「失敗しないクリニック開業」を実現していただきたいと思います。きっとその先には、ご⾃⾝が思い描く理想の医療と幸せな⼈⽣が待っているはずです。

編集後記

本記事では、新潟三条ささき内科‧消化器内科クリニックの佐々⽊⼀之院⻑に、開業を決意された背景から、理想のクリニックづくり、そして信頼できるパートナー選びの重要性について詳しく伺いました。

「クリニックの開業」は⼈⽣と経営の両⾯における⼤きな挑戦です。診療圏の調査や事業計画の策定、内装‧導線設計、そして⼈材採⽤や集患戦略まで、医師⼀⼈でカバーするのは困難を極めます。その中で、佐々⽊院⻑のように「⾃ら学び、考え、信頼できる専⾨家と⼆⼈三脚で歩む」姿勢が、多くの開業志望の先⽣や開業医の皆様にとって指針となるはずです。

CONTACT

お気軽にご相談ください