Column

不健全経営のすゝめ

※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。

「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」(218)


さまざまな助成制度

コロナ禍において、医療機関や医療従事者などに対して様々な助成制度等が行われています。例えば、国の一次、二次補正予算に追加したものでも新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関への更なる支援として、感染症患者の病床・宿泊療養体制の整備のための新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の増額や体制確保のための経費の補助、感染症受入れ病院等への診療報酬の特例的な引き上げ、インフルエンザ流行期への備えのために発熱外来診療体制確保のための支援や救急医療機関等への支援といったものもあります。

また医療従事者に対する制度も整備されてきました。例えば、コロナ対応の役割を設定された医療機関の職員等へは最大20万円、その他でも最大5万円を給付する「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金給付事業」や医療資格者が感染した際に労災給付の上乗せを行う医療機関に対しての民間保険料の一部補助といった制度もあります。随時情報は更新されるため見逃さないようにチェックしたり、顧問税理士や社労士、コンサルタントなどから定期的に情報収集したりして漏らさないようにしてください。
今回は助成制度の中でもすべての医療機関へ当てはまるであろう、「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」について触れていきます。これは2020年4月1日から21年3月31日における新型コロナウイルスにより、医療機関内・薬局内で感染拡大防止対策や診療体制確保等に要した費用について、病院200万円+病床数×5万円、有床診療所200万円、無床診療所100万、そして助産院、薬局、訪問ステーションが70万円まで助成するというものです。新型コロナウイルス感染症疑い患者を積極的に受け入れている医療機関においては、全然足りないという声もある一方で、そうではないところは何に使って良いかわからないという声が多く聞かれます。使うことがなければ補助金を使わなければ良いだけなのですが、せっかくなので最大まで活用したいと思うものです。

感染拡大防止のために100万円をどう使うか

新型コロナウイルス感染症患者受け入れに消極的な一般的な市中の無床クリニックのケースですと、消毒液やマスク、防護服などの消耗品費だけでは、100万円には届きません。せっかくの補助金ですから残りの予算上限までを有効に使い感染予防強化を図りたいものです。そこで受付と患者の間におくようなクリアパーテーションの購入設置費用や空気清浄機、空気循環のためのサーキュレーターといったものが候補として真っ先にあがる印象でした。それ以外では消毒・滅菌による感染対策としてオートクレーブなどの消毒滅菌装置、非接触対応のためのディスポタイプの電極や吸引機等といった製品などもあります。

また、院内に感染疑いの患者を入れないための一つの方法として、来院時に検温する医療機関も増えています。そこでサーマルカメラや顔認証での温度検知システムの導入されたところもありました。また患者と職員ができるだけ接触を減らすことも重要な対策の一つです。そこで自動再来受付機や自動精算機などの導入も一手です。ただ導入コストが数百万円と予算をオーバーするためにIT導入補助金や働き方改革推進支援助成金といった他の補助金と組み合わせるなどして導入していたりします(これらは申請期限が過ぎている場合があるのでご確認ください)。自動釣銭機であれば予算内に収まるのでこちらを導入するところもあります。
待合室で密にならないための方法ということで、診療Web予約システムや受付順番取りシステム、Web問診システム、受付後の患者を呼び出すためのシステム、そしてオンライン診療システムの導入というのも補助金対象となります。Web予約や受付の自動化、精算の自動化、更にはキャッシュレス決済まで含めて、業務効率化や業務改善を行ってみる良い機会ととらえてみるのも良いのではないでしょうか。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一

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