ジェネレーションギャップという言葉があります。時代背景などによって起こる世代間の価値観や思想の相違はあって当然のことですが、ここ最近の技術革新のスピードは人類誕生以来最速だと思うのは私だけでしょうか。特にパーソナルコンピュータ、携帯電話、そしてインターネットなどのデジタル・通信技術は我々の生活にとっても身近なものということもあってか、それを一層強く感じます。逆を言えば、“身近”でない人にとってはそのスピードすら感じずに、そのギャップはさらに大きなものとなってきます。
ここにこそ、ジェネレーションギャップがはっきり現れます。1970(昭和45)年生まれの私が大学4年に所属した研究室にGUIといって今のPCのようにプログラムを組まなくてもマウスで直感的な操作ができるアップル社PCのマッキントッシュが1台導入されていた程度で、それ以外はまだプログラムを組みながら動かすPCが主流でした。また携帯電話は身近なものではなくポケベル全盛の時代です。就職する頃になると、現行のマイクロソフト社ウィンドウズの原点といってよいWindows3.1で動くパソコンを会社で初めて導入してもらった記憶があります。その頃はワープロ全盛期です。携帯電話の普及もそれからです。インターネットに関しては、更に数年あとのことです。
何を申し上げたいかといえば、PCが若い頃から身近にあるモノとして感じられるのがちょうど私の世代までです。この世代は小学生から高校生くらいまで任天堂のファミリーコンピュータに親しんだファミコン世代ともいって、“デジタル”に近かったこともあり、“デジタル”に対する抵抗感や劣等感を持たずに、すんなりと受け入れられた世代なのだと思うのです。
実際にクライアント先の先生や周囲を見回すと、45歳を超えてくるとインターネットへの理解や今時のツイッターやフェイスブックを活用する人、スマートフォンを持つ人がぐっと減って、ネット利用率も下がってきます。
私自身はネットやデジタル信望者ではありません。ただ便利で使い勝手のよいツールの一つとして良いと感じています。それは医療経営を含めたビジネスにおいては、活用すべきモノだと考えています。マーケティングの視点で申し上げれば、これほど費用対効果の高いツールもありません。
例えばホームページですが、さすがに病院ではレベルの差はあっても、自院のサイトを持たないところはほとんどなくなりました。一方、診療所ではまだ普及が遅れています。なぜ普及しないかといえば、その理由は2つあります。1つめは「必要ない」からで、2つめは「必要性を感じていない」からです。
必要ない診療所とは、もう広告宣伝など何もしなくても待合室に患者さんがあふれているようなところや、これ以上患者を増やす気持ちがないところです。それこそ、お金をかけてまでする必要はありません。ただし、2つめの「必要性を感じていない」場合は、経営者判断が適切に行われていないことになり、健全なことではありません。ホームページを含めたデジタルを活用することで、どれだけの投資とそれに対するメリットがあるかを知らないまま、そのメリットを取り逃しているといえます。
もちろん、医療経営において“デジタル”への投資はホームページだけでなく、予約システムのような比較的小さな投資から、オーダリングシステムや電子カルテ、PACS(医療用画像管理システム)などの大きな投資までさまざまです。前述した1つめの“必要がない”ケースを除き、不得意だからといって目をつぶっていては、周りの医療機関では受けているメリットを享受できません。
「デジタルビハインド」といって、ネットやPCを使っている人といない人との情報に格差が生まれています。ネットの力を体感してみてはいかがでしょうか。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一