医療機関を選択するにあたって、大半の人はインターネット上にある情報を参考にしています。特にローカルビジネスと言われる地域密着型の来店型の店舗で提供するビジネスにおいては、Google検索利用のユーザーならば検索キーワードとなる業種名称や地域(例えば内科、小石川)もしくはユーザーの位置情報から地図上に、店舗の位置情報などを表示するローカルパックと称する検索結果に大きな影響を受けるようになりました。
Googleのローカルパックといわれる検索結果表示ではデジタルマップとともに3の関連する候補施設がリストアップされ、施設名の他、営業時間やウェブサイト、道案内を示すルートへのリンクボタンが表示されます。またそこには、ビジネス情報を取りまとめたGoogleマイビジネスというツールに投稿されたクチコミの評価が★の数とともに点数で掲載する仕様となっています。このような表示形式では、5段階評価で1点、3点、そして5点となっていれば人情としては最高評価の5点のところが第一候補先となり、必然的に最低評価のところは候補から外されてしまう可能性が高くなってしまいます。
点数で優劣が付いてしまう世の中ですが、だからといってインターネットのクチコミ評価の★3つよりも★5つのほうがその施設として上なのでしょうか。決してそうではなく、人によって同じ事象でも評価対象が違えば、受け取り方、そして感じ方はまちまちです。そもそも何をもって○点なのかすら基準が曖昧な中で、勝手に格付けされて評価されてしまいます。とはいえ、今の時代、経営への影響を考えればインターネット上のクチコミを完全に無視するわけにもいかなくなりました。
そもそもインターネットが普及する前にはクチコミとは人伝いのみで行われていましたが、このクチコミは、ユーザーが商品やサービスなどを選択するための情報がなく、購入する際に何らかのリスクを伴う可能性が高いと判断するような場合に発生すると言われています。
誰もが簡単にインターネットへアクセス可能となったスマートフォンが普及する前は、一般的な市中にある医療機関を選択する際には、新規患者の半数もしくはそれ以上の割合が従来型の会話による人伝いのクチコミでした。また今も形を変えてインターネット上のクチコミを参考にして医療機関選択を行っています。人は、それだけ他者の評価を気にするし、それなりの信頼を置いた情報と見なしています。
ここで、この形を変えたインターネット上の非言語を含めない言語のみのクチコミは従来のそれと何の違いについて改めて考えていきます。従来型では家族や友人、仕事仲間など対人関係の中で行われている一方で、インターネット上では検索性があがりそこから数多くの情報は得られますが、相手のバックグラウンドなどはまったく関与しませんし、受け取り側の都合も関係しません。また従来型では非言語情報といった相手の表情や状態、感情の起伏、声のトーン、ジェスチャーなどクチコミの発言内容以外からも情報を得ることができます。インターネット上では、文字情報のみとなります。ここから、非言語アリのコミュニケーションは人の感情を伝達することに強く、言語のみのコミュニケーションでは、事実や機能について詳細を伝えることに長けていると言えます。
先般の連載で、インターネット上でのクチコミでは、美容師の技術的な部分がなかなか伝わらないというお話をしました。つまり客は、細かい技術的な事実はわからなくサービスや表面的な事実や感想をシンプルに文字にするしかありません。それは医療も同様です。であればインターネットで表現できる伝わりやすい表面上の医療に付帯するサービスについて考えて、高評価を得られるよう心がけることも、これからの医療経営には必要なマネジメントの一項目になるのかもしれません。職員の皆さんと議論してみてはいかがでしょうか。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一