前回の連載で、8月のGoogleコアアルゴリズムのアップデートについて述べました。現在Web媒体の消費者行動に与える影響度が高くなっており、インターネットなしではマーケティングを論じることができなくなりました。インターネットの世界では、すでに神の存在(?)ともなっているGoogleの“意向”に合致することが、重要になってきています。その意向のひとつとなるものが、Googleが発行する検索品質評価ガイドラインです。8月初めのアップデートの前となる7月20日時点で更新していました。ある業者に聞いたところ、Googleアルゴリズムアップデート後にはそれに従って機械的にランキングされますが、その後Googleの意向が反映されているかは、人の目でチェックされるとのことです。アルゴリズムを作る際だけでなく、人の目を介してチェックする際に評価する判断となるものがこのガイドライン(指標)でもあるということです。
7月のアップデートにおいて重要と考える変更点は大きく3つあります。①「低品質」の定義が変更②EATの重視③YMYLの変更です。今回はまず①について説明します。Googleが考えるその「低品質」と評価されるということは、つまり表示の順位が下がるということにつながります。例えばただ他のサイトコンテンツをコピーしただけのようなサイトは、アップデートの前からNGでした。今回追加された例の1つ目は“目障りな広告が多い”サイトです。閲覧中に突然広告がポップアップされたり、本文が読めないくらいの大きな画像・動画や、チカチカした広告が表示されたりすることが増えました。例えばキュレーションサイトなどが対象となりそうです。「○○でおすすめのレストラン10選」や「お肌のトラブルに効く健康食品10選」といったようないわゆる“まとめサイト”です。コンテンツとしては内容が薄いもの、他のサイトを引用しただけのもの、広告を張り付けただけのもので、中々ほしい情報にたどり着かないという経験がある方も多いはずです。
キュレーションサイトがすべてダメということでもないのですが、その多くが自称フリーライターといわれるわずかばかりのお金をもらいながらの素人さんが、他の記事を引用したり加工しただけのものであったり、認識の如何に問わず誤った記事であったりしています。ライター自身の専門領域である知識や自身の経験に基づいて、憑性の高い記事でないことをユーザー自身で認識できれば問題ありません。またおすすめされたレストランが不味くても損した程度で済みます。しかし医療や健康などヘルスケア領域に関してそういった類の情報を信じて行動してしまっては危険です。
それらの問題が表面化したきっかけのひとつが「WELQ」というヘルスケアのキュレーションサイトです。誤った記事や検索したキーワードとは直接結びつかないような記事に誘導されたり、専門知識のないライターがそもそもデタラメな記事を引用したものなどが乱発されたりしたこと、そして管理会社のウソの発表が発覚したなどもあって、結局閉鎖となりました。
「低品質」の評価の2つ目の“ユーザーに間違った認識を与えるページ”に対して評価を下げると書いています。実は、これは変更点②や③にもつながることなのですが、ヘルスケアに関する情報が適切な人から発信されることが評価を上げるということです。
また他の評価例としては、“メンテナンスしていない”、“暴力や増悪を拡散させる”、“有害、悪意ある”“偽のドメイン、タイトル、ロゴ”、“誇張されたタイトル”はGoogleとして低品質と評価します。当然といえば当然なのですが、そういったサイトが横行していたため、一般の常識がインターネットにも適用されただけのことなのです。読者である病医院経営者にもより関係が深くなる②EATの重視、③YMYLの変更については次回に解説してまいります。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一