Column

不健全経営のすゝめ

※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。

コンテンツ・マーケティングの実践② (164)


具体的な読者のイメージをつくる

コンテンツを活用したマーケティングが次の理由で病医院経営への影響が増していると前回お伝えしました。

・インターネットが普及した
・ユーザーのプッシュ広告にうんざりしている
・Googleがコンテンツ重視へ変わってきた
・コストをかけずに実践できる
・マーケティング資産として積み上げていける
現在、商品購買、サービス利用他あらゆる行動の前には多くの人は“検索”して、事前に情報を得ています。医療・施設に関する情報でも同様です。そういったニーズに対してコンテンツを準備し、それに応じる環境を創りあげることで見込み患者に自院を認知させて、来院につなげていきます。医療広告規制に準拠しながらも専門家のつくる適切な医療情報は需要もあり、病医院マーケティング手法としても親和性の高い一つでもあります。
コンテンツ・マーケティングを実践するにあたってまずは方針を立てます。誰に、何を、どのように届けて、そしてどのような結果につなげるか設定してください。例えば、白内障手術を行っている施設であれば、白内障手術適用患者(潜在的患者も含む)に対して、目に関する悩みについての正しい情報や白内障の症状や手術に関する情報を、ネットを通じて、自院の認知を促し来院につなげるというようにしていきます。
次に“誰に”の部分を掘り下げます。この作業を「ペルソナ」を設定すると言います。マーケティング用語としてよく使われる言葉で、商品・サービスを利用する消費者において重要であり狙いとする人物像のことです。実際にその人物が実在しているように年齢、性別、居住地域、職業、地位、年収、趣味や特技、家族構成、価値観、ライフスタイルまで設定します。これによって、方向性がより具体化されて、またコンテンツの内容もそのペルソナに向けて作り込むことができます。一方でペルソナ設定がズレていたり、曖昧になっていたりすると、そもそものところがズレるので注意が必要です。

“知りたい”“解決したい”への対応

ペルソナ設定の次は、発信媒体の選定です。少し専門的な話にはなってしまいますが、CMSと呼ばれるコンテンツ管理システムを利用します。HTMLやCSSといったWebサイトづくりに必要な言語を知らなくても運用できるソフトウェアです。新規にホームページを開設するならばCMSベースかどうか制作業者へ確認してみてください。また開設中のホームページがCMS対応であれば、病医院側でも少しの知識で更新可能となります。無料のブログを活用するということもできますが、自院サイトへの誘導ということであれば、ホームページ内に置くことが望ましいでしょう。

媒体選定を行い、いよいよコンテンツ制作に入ります。その際にキーワードの選定を行いますが、ここでペルソナが“知りたい”、そして“解決したい”と思われるキーワードを設定していきます。
知りたいキーワードとして眼科を例にとれば、『目がぼやける』、『目がかすむ』『目がチカチカする』とします。症状や主訴から入るパターンです。これを「目がぼやける原因は?」といったようなタイトルで記事を書き進めていきます。“解決したい”に対しては『白内障』『白内障 治療』など病名と絡め、治療方法となる解決策を中心に内容の構成を行います。このキーワードは、多いほうが検索される確率があがるため、できるだけ関連性のあるワードを抽出することが必要です。“知りたい”、“解決したい”のいずれでも、抱えている問題に対しての解を提供してください。それによって潜在患者は記事に共感し、それを書いた先生のところで診てもらいたいと思い、来院につながってきます。
なお、ホームページのように都度更新の必要性がないコンテンツもあれば、定期的に更新するブログのようコンテンツもあります。ブログを定期的に書いていける自信(?)がなければ、まずは病名、症状などを中心に自院のホームページをアップしてみてください。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一

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