Column

不健全経営のすゝめ

※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。

コンテンツ・マーケティング (144)


広告宣伝費用対効果の高い媒体は?

広告宣伝費用対効果が最も高い媒体は、何ですかという質問を受けます。その際には、まず立地だと答えます。事業において立地コスト(賃料や地代等)は、それこそ広告宣伝費として捉えるべきものでもあります。これが高くても患者が集まれば採算は取れます。なお立地というのは、駅前だから良いというわけでもありません。駅前が良いと考えるのは、潜在患者である地域住民や駅利用者への視認性が高く、医療機関が認知されやすいからだと考えるからです。しかし、都市圏になればなるほど駅近の競合関係性は高くなります。つまり競合する医療機関が多くなり、結果として良い立地とは言えなくなってしまうケースも散見されます。

よって、視認性、診療圏人口や人口動態、競合医療機関数、アクセス性、地勢など複合的な要素からの立地となります。ただクリニック開業において最も重要な意思決定の一つともいえる立地選定は、経営者としての経験を積む前に行うため、その判断を誤ってしまうこともしばしばです。だからと言って、開業場所を動かすことは容易なことではありません。よって、視認性を高めるために自院の看板を改善するなど行いますが、良い立地ほどの効果は得られません。
ただ、動かせないものをどうこう言っても意味がないので、次に広告宣伝費用対効果の高い媒体をお答えします。それがWeb媒体です。ここの連載でも最近何度も取り上げているように、直近で劇的に変わりました。正直申し上げて、私は医療マーケティングにおいては、もう数年先かと踏んでいたくらいの早さでもあり速さでもあります。当然、ホームページすらなくても立地条件であったり、長年の蓄積で固定患者やそこからの口コミだけでもやっていけたりする医療機関があることも承知ですので、当院は必要ないと言われれば反論することはありません。ただ新規開業や医業収入水準を維持、向上させなければならない医療機関においてはWeb媒体を活用は必須です。

コンテンツの充実が来院動機につながる

何をすべきかといえば、ホームページ開設から始まり、ユニバーサルデザインと言われるようなパソコン、タブレット、スマートフォンなどでの最適表示への対応、Web予約、Web検索での表示対策のためのリスティング広告、マップ対策、上位表示対策、ディスプレイ広告、LineやInstagramなどへの対応等やれることは多岐に渡ります。詳細説明をするにはもっと多くの字数が必要なのでここでは省かせていただきますが、いずれにしても立地を除く他の広告宣伝媒体と比べれば、費用対効果は高くなります。また他の業種から比べれば、まだまだWeb対策は遅れており、やればやっただけの効果は得られると言えます。

医療は、製品と違って目で見ることも、触れることもできません。だからこそ患者は、医療機関を選定する判断基準を欲しています。マーケティングでは医療(医業)はサービスとして捉えます。サービスの差別化の重要な要素として、製品・サービス(Product)そのものから、場所(Place)や人(Personnel)など7つの要素から7Pとして連載77回でご紹介いたしました。その一つに物的証拠(Physical Evidence)も含まれています。これは資格や学歴、経歴といえば理解しやすいかと思います。それは出身大学や専門医で医療の質の担保要素の一つとして判断する患者も少なくありません。また以前はあればよかった程度のホームページでしたが、ホームページの中身も物的証拠になりうります。つまりコンテンツを充実させることで患者の選定判断材料が増えていくため、より選ばれる医療機関となってきます。またコンテンツを読み込んでくる患者ほど、固定患者になる可能性も高くなります。ただし、何でも書けば良いわけではありません。読み手側の視点に立ったコンテンツでなければなりません。
その切り口としては、読み手の緊急性と顕在・潜在ニーズです。次の連載でお伝えします。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一

CONTACT

お気軽にご相談ください