人は何かしら“やるコト”に追われています。仕事はもちろん、プライベートでも個人の趣味、家事・法事、家族サービス、そして財形に至るまでありとあらゆる“やるコト”を抱えているものです。それが特に経営者ともなれば、“やるコト”の幅が広がってくるものです。趣味も本気で取り組めば“やるコト”の深みが増します。更には、家庭を持って家族が増えてくると、その分“やるコト”も比例して増えてきます。それが、やりたいコトばかりであれば自然と一生懸命になれるはずです。しかし現実には、やりたくないコトも当然あるものです。また、日々の中で別の“やるコト”が積みあがってきます。それらすべてを完璧にこなすスーパーマンもいるかもしれませんが、ほとんどの人は、限られた時間の中で“やるコト”を取捨選択してこなしていくしかありません。
唯一人に平等に与えられた平等なモノ、それは時間だと言われます。余命は人それぞれなので完全なる平等ではないのですが、1日24時間は年齢、性別、人種、貧富の差で違いは生まれません。そのような中で、成功する人もいればそうでない人もいます。それこそ貧富の差も出てきます。当然ながら、資産家の家庭に生まれるなどバックグラウンド自体に恵まれた人や、一流のスポーツ選手など人より飛びぬけた才能がある人など、スタート時点で優位に立つケースもありますが、私を含めてそういったものを持ち合わせてない人が大半です。とはいえ、そこでも結果が違ってしまいます。
経営コンサルタントという職業柄、多くの経営者と仕事をします。その中で経営者としての成功を収めている先生もいます。また筆者は、医師を対象とした職業紹介事業も展開しており、経営者以外の多くの医師との接点もあり、そこでもキャリアとして立派な先生もお会いすることもあります。そういった人には、共通する思考があります。“やるコト”の選択が適切だということです。有限時間の中で最大の効果をあげるために必要な要素なのだと考えられます。
その選択の方法を皆が意識して実行しているわけでなく、自然と身についている場合がほとんどです。その方法については一つのチャートを使うことで説明できてしまいます。有限資源の効果を最大にする基本は、選択と集中です。つまり“やるコト”の中から本当にやったほうが良いコトを選択し、そこに資源(人・モノ・資金・労力・意識など)を集中させます。本当にやったほうが良いコトとは大きく要素わけすると2つあります。『緊急性』と『重要性』です。それをチャートにするだけです。このチャートに“やるコト”を主観でプロットしていきます。図のエリア①となる『緊急性』も『重要性』も高ければ、当然最優先されるべきことです。その逆にエリア②のどちらも低ければ“やるコト”は“やらなくても良いコト”にもなり、判断はそれほど難しいものではありません。差がつく判断はエリア③とエリア④です。エリア③について『緊急性』が高いため、“やるコト”として意識をもっていかれてしまい、『重要性』が低いにもかかわらず時間を費やして非効率となってしまいます。成功者が一番意識をもっているところがエリア④です。『緊急性』が低いために、後回しできてしまいます。結果として重要性は高いのにもかかわらず、手つかずという状況となり、成功者との差がここで出てしまうのです。
この思考法について軸を替えることで応用がききます。目的に対する効果性と“やるコト”の難易性という軸で仕分けることもできるのです。いつも“やるコト”に追われてしまっている人は、いったん立ち止まって仕分けてみてはいかがでしょうか?
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一