Webマーケティングの進歩が目まぐるしく、最先端の技術についていくことが筆者もできていません。とはいえ、筆者のクライアントは医業です。他の業種に比べれば、最先端を知らずともそれでクライアントに機会損失を与えてしまうことはまずありません。それでも美容医療や予防医療を含めた自費分野、日帰り手術や高額医療などについては、先んじてやらねばならず最でなくても“先端”くらいにはついていく必要があり、日々更新されていく技術の知識やノウハウを筆者自身もキャッチアップしていかなければなりません。
とはいえ、一般的な保険診療の場合には“先端”技術を使う必要ありません。必要がないというのは、費用対効果がでないという意味です。一般的に先端技術はお金がかかるものです。Webの世界でも似たようなものです。よって、1人の患者の月のレセプト単価が5~8000円を集めるために捻出できる広告宣伝費は、せいぜい数百円から千円程度です。そうなれば月数万円の予算では結局のところ費用が合わない効果を生まないため、必要がないということになるのです。
また、プライマリケアを中心とした保険診療の場合は、対象者が高齢者という理由で、自院のホームページもつくらず、Web関連に一切お金をかけないという医療機関もまだまだ少なくありません。実際にすでに安定した患者をかかえて、口コミだけでも十分患者数を維持できているのであれば、広告宣伝そのものが必要ありません。
しかし、開業して間もない、もしくは時期によって患者数の変動が大きい標榜科や医療機関においては、一定の広告宣伝費をかけてWebからも新患を獲得する必要があります。高齢者の患者が多いからというのも今は関係なくなりつつあります。最近では50歳代のスマートフォンの普及率が高くなっており、その親のために検索して50歳代になる子が医療機関を検索するというパターンが生まれてきているからです。広告宣伝費をかけられない医療機関であるからこそ、できるだけコストを抑えたWebマーケティングを展開するべきなのだと思います。よって、自院サイトくらいは開設するべきです。またせっかくお金をかけた自院サイトですから、最低限どの程度効果が出ているのかくらいは知っておいたほうがよいでしょう。
本連載82回「ホームページを解析する」にて無料にて利用できるアクセス解析ツールであるGoogle Analyticsをご紹介しました。機能も豊富で、情報も多くGoogle社が提供する他のWebサービスと連携も可能ということで解析ツールとしては定番となっています。しかし豊富な機能と情報がわかりにくいといったデメリットにもなってきます。そこで他にも数多ある無料でつかえるアクセス解析ツールをいくつかご紹介していきます。
Googleの対抗馬としては、Yahoo社が提供するYahooアクセス解析ツールです。直感的にわかるようなグラフィックを多用していることもあって、初心者へのハードルを下げています。リアルタイムの解析やユーザー追跡に優れているのでGoogleと併用している方も多いと思われます。ただ設置少し手間取るかもしれません。それがデメリットかもしれません。
Yahoo!アクセス解析と似ており、設置や機能面でより初心者を対象としているのが、USER LOCALです。他にもこちらも初心者向けの忍者アナライズ、シンプル機能のace analyzer、ブログ向けのQLOOK、RESARCH ARTISAN Lite、i2i.jp・・・挙げていったらキリがないくらいです。それこそWebの進歩と同じスピードで、すべて追いかけることなど不可能で、そもそも無意味です。
医療機関が設定するターゲットによってWebマーケティング、アクセス解析の必要性、広告費用も医療機関によって変わってはきますが、それよりもまず何か1つ採用してアクセス解析という初物に触れてみてはいかがでしょうか?
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一