Column

不健全経営のすゝめ

※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。

コンサルティング、メンタリング、コーチング(215)


自分の仕事の役割をコロナ禍で見直す

虚業――私は、医療経営コンサルタントとして自分のキャリアの大半を過ごしてきましたが、この言葉と常に向き合ってきたように思います。同じような思いを持っている経営コンサルタントを職業とする人は少なくありません。「現場を知らないで机上の空論を並べるばかり」、「まやかしの成功事例を売るそもそも怪しい奴」、「成功できるのならば自分でやればいいのに」などといったネガティブなイメージが付きまとっています。そのイメージだけで、高いお金を払う価値もない役立たずとコンサルタントというだけで毛嫌いされる方もいらっしゃいます。コンサルタントという肩書は、誰でもが自由に名乗れてしまいます。故に似非な輩が多いのも現実です。私自身も、過去クライアントが望む成果に対して、完璧にクリアできなかった事案もあり、そういった人にとってはその“輩”なのかもしれません。

そうならないために、また「虚業」とならないよう、付加価値を生み出すプロフェッショナルなコンサルタントとなるよう研鑽を積んできたつもりです。また、ビジョンを共有する医師と医療機関を立ち上げ、医療法人化し現在も地域医療に貢献していけるよう邁進しています。更に、プロフェッショナル像の一端を可視化できるようにと、書籍化しました。タイトルに“プロフェッショナル”を付けています。これらは私なりの「虚業」と向き合った結果の「実業」であるための行動でもあります。。
当然のこと私たちの仕事は、依頼があって成立します。必要性を微塵も感じない人も多いでしょう。また私からその必要性を強く訴えるつもりも、そうしたいとも思っていません。私の書籍や記事、講演、面談で共感を得ることでクライアントの依頼によって、コンサルティングを行い、そこから付加価値を生むために全力を注ぎます。コロナ禍で、短期間で多くの人の様々な価値観が変化しています。これによって、コンサルタントという自分の役割も変化するのかもしれません。改めて役割について見つめなおすこととしました。

コロナ禍の新たな相談ニーズで役割を定義する

コロナ禍で私の携帯が鳴る頻度があがりました。問題が発生して解を求めてくるものだけでなく、不安など解を必要としないものや夫婦関係など解を提示できないものも増えています。コンサルタントという仕事柄、私はクライアントからの相談に対しては常に解もしくはその時点での最適解を出すような思考回路になっていますが、最近その解を提示できないような相談を受けていました。私の思考回路がぐるぐる動いていましたが、理事長から「愚痴ですので気になさらないでください」と言われ、続けて「私のメンターとして(愚痴を聞いてくれて)助かっています」との言葉をいただきました。なお「コンサルタント」と似たような役割(肩書)として「メンター」、ほかにも「コーチ」があります。クライアントにとって最適解であるならばその求めによって私の役割を切り替えることで更にニーズに応えることができるかもと考えました。ただそれぞれの定義は曖昧です。そこで私なりに定義付けてみました。

 【コンサルタント】
潜在的もしくは顕在化した問題や課題、これから起こりうるリスク、に対して、専門知識と経験、事例より策を提供し行動変容につなげる役割
【メンター】
信頼関係が築かれていることを前提としてコミュニケーションによる気づきや自己開示による不安の抑制によって自己解決を促す仕事
【コーチ】
クライアント自身がもつ解決策をコーチングスキルによって引き出すことで行動変容につながる仕事
全ての人がこれらの役割を求めているわけではありません。しかし私のクライアントには最低コンサルタントという役割を必要としており、またその他2つも適宜必要となるタイミングも生じるのかもしれません。それに備えるべくスキルも磨くことが変化への適応だと考えています。皆さんにもそういった役割の方いらっしゃいますか?
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一

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