Column

不健全経営のすゝめ

※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。

ホームページ導入の理由 (148)


10年まと5年前と今の違い

最近の本連載でも、病医院におけるインターネット媒体の効果度合がここ数年で劇的に上がっているとお伝えしてきました。実際に、新規患者へ“自院を知った理由(媒体)”の結果について、友人知人からの紹介でいわゆる口コミを除く、広告宣伝媒体の順位が10年前と5年前、そして今年では明らかに変動してきています。

10年以上前までは、まだまだ電話帳広告、駅看板が上位を占めておりインターネットなどはそれらを補完する程度の存在でした。また5年前でさえも、インターネット媒体は各媒体の組み合わせの一つとしての立ち位置でした。もちろん、都市部や美容や産科などの自費領域、対象の若い世代の小児科などは先に進んではいたものの、内科や整形外科など高齢者率の多い施設においてはそんなものでした。しかし、今は昔です。概算経費適用を前提としたクリニックや慢性疾患の患者が定着しており、また口コミだけで新規患者が来院する病医院においては、集患目的だけでみれば不要かもしれませんが、一定数の新規患者を獲得していく必要がある病医院においては、ホームページの開設だけでなく、電子媒体の活用が経営を左右すると言える存在になっています。ではなぜ5年前とは違うのか、別の角度から検証していきます。
今年度の総務省の統計から、インターネット利用動向をみてみると、2007年の人口普及率は73.0%、2011年79.1%、2016年で83.5%と急激な変化とは言えませんが着実に伸びています。また情報通信端末の世帯普及状況では、固定電話が07年→11年→16年で90.0%→83.8%→72.2%と下落傾向の一方で、スマートフォンでは当該データでは10年にスマートフォン普及率データが初めて登場し9.7%、翌11年で29.3%、16年では71.8%とこちらは急上昇しています(ちなみに07年スマートフォンの走りとなったApple社のiPhoneが発売されています)。従来の携帯電話よりもインターネットへアクセス性が高くなったスマートフォンの普及によって、情報収集方法がまたひとつ大きく変わったと言えます。

スマートフォンの画面大型化の影響力

日本のスマートフォン市場において、iPhoneの進化がそのままインターネット利用環境に直結するとも言われています。その理由としては所有率の高さです。MMD研究所調べでは16年の調査で68.3%と、世界的にみて異常なほどのシェア率です。前述の通り初代iPhone発売が2007年で、最近発売したiPhoneX含めて都合18モデルを発売しています。この進化の過程で、大きな変化が2つあると筆者は考えています。1つ目は2013年にiPhone5s/5Cが発売される際に、これまで日本ではソフトバンクとauからのみの販売でしたが、当時圧倒的シェアを占めていたNTTDoCoMoが扱うことになり、従来の携帯端末からの切り替えが進みました。更には翌2014年にiPhone6/6Plusが発売されました。大画面モデルのiPhone6Plusが5.5インチ(前モデルは4インチ)のディスプレイを搭載します。

これが2つ目の大きな変化ともいえ、iPhone含めて他のスマートフォンも大型化します。これによって画面が見やすくなり情報収集端末としての利用も更に促進されました。冒頭で“ここ数年”という表現を使いましたが、その発売を契機として病医院経営における電子媒体の地位が一気に最上位となったのではないでしょうか。世代別でも総務省統計で40歳代まではすべて70%以上を超えており、50歳代でも54.8%以上です。60歳代になると15.9%と下がっていますが、実際には70歳代以上の世代も含まれているのでもっと高い数字にはなるはずです。ちなみに情報通信端末保有に関して60歳代ではPC53.2%、携帯電話60.4%、そしてスマートフォン28.4%と決して少ない数字ではありません。高齢者への普及傾向も変わらないとなれば、病医院経営におけるインターネット戦略の位置づけは高くなるばかりです。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役・上席コンサルタント 柴田雄一

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