Column
不健全経営のすゝめ
※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。
不健全経営のすゝめ
※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。
2016.08.29
今年の1月下旬、日本では初めてとなるマイナス金利の導入決定が発表となりました。とはいえ、私たちが預けている銀行の預金の利子がマイナスになるというわけではなく、各金融機関が日本銀行に預け入れている当座預金が対象となります。それによって、日本銀行にお金を眠らせておくよりも、貸し付けや投資など市場にお金を回したほうが良いとの判断をするようになって、その結果として景気浮揚につながるという金融政策の一つです。9月末にその効果の検証が報告されるようなので、現時点では具体的な効果のほどは定かではありませんが、私たちの生活おいては、メリットとして住宅ローンなどの金利がぐっと下がってきているという感触を得ているのではないでしょうか。実際には、イギリスのEU離脱などで世界経済の行先に対する懸念もあって長期金利が下がり傾向の中でのことなので、マイナス金利の効果とも言い切れませんが、相応の影響は及ぼしているはずです。ある銀行では10年固定の金利を0.55%から0.5%に引き下げました、他の銀行でも軒並み0.05%前後の引き下げを実施しています。
医療経営コンサルタントの大切な仕事のひとつに、投資案件の吟味とタイミングを計ることがあります。私の基本的な考えとしては、法人・個人問わずに病医院の経営に好影響を与えるような投資案件を最優先とすることとしています。言い方を変えれば、まったく関連性のない株や不動産、先物などへの投資は、小遣いの中で趣味の範疇で行ってくださいということです。
マイナス金利政策でダメージを受けるのは銀行です。そうなれば融資先を見つけようとします。そこで不景気に強い、また全国津々浦々、安定的な収入源をもつ医療機関が真っ先の営業先ともなってきます。まだ借入金が残っているのにもかかわらず更に融資の話を持ってくるわけです。提示してくる金利が1%未満ですから、タダみたいに感じる病医院経営もいて、投資と絡めた融資の話に興味を示すことも多にしてあるわけです。