Column
不健全経営のすゝめ
※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。
不健全経営のすゝめ
※柴田雄一が連載中の『卸ニュース「病医院経営のチェックポイント」(IQVIAソリューションズジャパン(株)発行)を転載した記事となります。
2012.10.22
医業収入をアップさせるには、シンプルに言えば「延べ患者数を増やすか、診療単価を上げるか」です。もともと患者が多くない医療機関であれば、患者を増やすということに関して、私のアドバイスをすんなりと受け入れてくれます。有資格者は、基本的に自分の腕を磨きながら患者を治療していくことが仕事です。よって、人を診る(看る)仕事ですから、単位が“人”である患者数であれば抵抗感は持たないものです。しかし、診療単価について語ると、拒絶反応を示す医療従事者が少なくありません。診療単価となると単位が“円”です。「お金儲けのために医療はあるのではない」といった観念が急に頭の中で発動することで抵抗感を持つのかもしれません。
診療単価をマネジメントすることへの抵抗感が減ったとしても、次の関門が待ち構えています。診療単価は、増やし過ぎすると今度は患者が離れます。それが適正なものでなければ、それこそ過剰診療となってしまいます。私の場合は、そこに誤解のないよう、診療単価については“上げる”ではなく“適正化する”と院長へ伝えするようにしています。そして、かかりつけになっている患者に対するオーダー(検査など)の“モレ”を見つけていくようにします。例えば、患者によって血液検査を定期的に行う必要があります。医師によって頻度は違います。しかし、決められた頻度で行えてなければ、これはモレです。“うっかり忘れ”だけでなく、患者への経済的な負担から気が引けてオーダーを出しにくいという理由もあります。とはいえ、患者を管理していくには必要な行為です。また、超音波検査の類も“モレ”ていることはないでしょうか。例えば、高血圧、糖尿病、脂質異常症の患者やそのリスクを抱えている患者に対する、頸部の動脈硬化病変の可能性についてはいかがでしょう。さらに、同様の患者で動脈硬化の程度や高度圧搾の可能性を調べるPWV/ABI検査も“モレ”ていませんでしょうか。